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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

「西洋近代美術に見る神話の世界」をみる その2

続き。

マックス・クリンガー 『オヴィディウスの「変身譚」の犠牲者の 救済』 1879年 高知県立美術館 エッチング、アクアチント
シリアスな絵柄で壮大なパロディ。ギャグになってしまったのがこちら。
・ピュラモスとティスベ  起承転結になっているのかいないのか、アララな展開に。
鼠柄の柱、リュカオンの来訪、けがで寝込んだり…なんやかんやとシリアスな絵で「犠牲者の救済」を謳いながらも全然そうなってないところがミソ。
・アポロンとダフネ  こちらもそう。出会いの後、逃げて月桂樹になるはずの女が、案外乗り気になったところへ牛登場。そのままアポロンは牛に連れていかれてしまう。
まあいろいろあるわね。

フランツ・フォン・シュトゥック 《ミュンヘン造形美術家協会(分離派) 国際美術展》 1898-1900年頃 リトグラフ・紙 77.7 × 37.3 cm サントリーポスターコレクション (大阪中之島美術館寄託)
ミュンヘンのゼセッシォン。宛名の横顔を描く。シュトゥックは妖艶なサロメも描いているが、これはシンプルな横顔。
イメージ (2345)

サントリーポスターコレクションといえば1990年にグランヴィレ・コレクションを入手したサントリーが当時存在していた大阪府立文化情報センターで展覧会をしたのが最初だった。
その後に天保山のサントリーミュージアムで所蔵保管していたが、閉館後は大阪府が寄託されていた。


第Ⅱ章 伝統から幻想へ

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル 《ユピテルとテティス》 1807-25年頃 油彩・カンヴァス 82.0 × 65.0 cm 東京富士美術館
イメージ (2343)
色のはっきりくっきりした作品。巨大なユピテルと細いテティス。ほぼ同じような構図の作品がモローにもあるが、あちらは「ユピテルとセメレー」。
ただしこのテティスはユピテルに誘惑されたのではなく、逆に自分の息子アキレウスの為にユピテルを懐柔しようとする様子。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー 《愛の秘密》 1855-56年 油彩・カンヴァス 33.0 × 61.0 cm ユニマットグループ
寝そべる裸婦の傍らのキューピッドが何かをささやく。女の手は川に少しばかり浸かっている。
コローの数年前「美人画」ばかり集めた展覧会が西洋美術館と神戸市博物館で開催され、多くのお客さんを集めたが、わたしもコローは森林の風景描写より美人画の方が好きだ。
風景画をメインにした人の人物画というのはとても魅力的なことが多い。コローの美人画も英国のターナーの春画もよかったことを忘れない。

ナルシス=ヴィルジル・ディアズ・ド・ラ・ペーニャ 《クピドから矢をとりあげるヴィーナス》1855年 油彩・カンヴァス 67.5 × 39.0 cm ユニマットグループ
この人の絵にも会えるのは嬉しい。アルマ・タデマ同様、いつかまとめてじっくりと見たい画家のひとり。
ちびこから「こらっ」。でもすぐに元の木阿弥。

オノレ・ドーミエ 『古代史』 1841-43年 リトグラフ・紙 伊丹市立美術館
例によっていかにもな展開の絵。
・アリアドネの糸  その糸を巻いてゆく男
・美しきナルシス  どう見てもおっさん。
・ピュグマリオン  「割れ鍋に綴じ蓋」というのが西洋にもあると思う。

ジャン=フランソワ・ミレー《眠れるニンフとサテュロス》1846-47年 油彩・カンヴァス 38.1 × 30.3 cm ユニマットグループ
背を向けて眠る女。闇に紛れて入り込もうとするサテュロス。
ユニマット美術館があった頃にもっと見に行けばよかったなあ。

テオドール・シャセリオー 《アポロンとダフネ(『アルティスト』誌より)》 1844年 リトグラフ・紙 22.7 × 15.9 cm 町田市立国際版画美術館
男の目がじっ とみてくる。

アレクサンドル・カバネル 《狩の女神ディアナ》 1882年 油彩・カンヴァス 106.5 × 75.5 cm 栃木県立美術館
今回のチラシ。頭上に下弦の月の飾りをつける。(黒目に「上弦」とか「下弦」とか入るわけではない)
手に弓矢を持ちつつ休息中の様子。何か物思いにふけっているらしい。
イメージ (2337)

ジャン=ジャック・エンネル 《横たわる裸婦》 1861年 油彩・カンヴァス 69.5 × 93.5 cm ユニマットグループ
こちらを見ている。青い布が少しばかり身を隠す。池のほとりでこんな女がいるだけでも古代的なのかもしれない。

ジャン=ジャック・エンネル 《アンドロメダ》 1880年頃 油彩・カンヴァス 182.0 × 108.0 cm 株式会社フジ・メディア・ホールディングス
ほぼ実物大椎図のアンドロメダ。縛られた両の手首には血がにじむ。白い肌に美しい髪。

エマニュエル・ベンネル 《森の中の裸婦》 1880年 油彩・カンヴァス 182.0 × 91.0 cm ユニマットグループ
二人の少女。立つ少女は髪をまとめようとし、座る少女はその腿をみる。
つくづくユニマットのコレクションはロマンティックなものが多くて素敵だ。

アンリ・ファンタン=ラトゥール 《オンディーヌ》 1880年頃 油彩・カンヴァス 37.0 × 45.0 cm ユニマットグループ
岩の上でちょっとばかり艶めかしい姿態を見せる水の精。顔まではわからない。

オディロン・ルドン 《アポロンの二輪馬車》1907年 油彩・カンヴァス 65.3 × 81.1 cm ポーラ美術館
ロングで捉える。ひっくり返りそうな勢いで駆ける馬車、これを見るとそりゃプロでもこれだから素人の息子が御せるはずもなく、パエトーンは死ぬわなと納得。
ルドンのフルカラーは好きだ。黒のルドンより。

オディロン・ルドン 《ペガサスにのるミューズ》 1907-10年 油彩・カンヴァス 73.5 × 54.4 cm 群馬県立近代美術館
こちらは一人乗り。決して困らない速度。

ラファエル・コラン 《田園恋愛詩》 1910年頃 油彩・カンヴァス 65.3 × 46.3 cm 府中市美術館
ダフニスとクロエの純朴さ。 ほのぼのとした幸せ、牧歌的な喜び。
わたしには全く無縁なものだけに何も思わずただただ楽しむ。

エミール=アントワーヌ・ブールデル 《横たわるセレーネ》 1917年 ブロンズ 84.0 × 74.2 × 26.4 cm 姫路市立美術館
腕の線がとても綺麗。ブールデルはいつも腕の構造の良さを感じる。
イメージ (2346)

第Ⅲ章 楽園の記憶

ピエール=オーギュスト・ルノワール 《泉(横たわる裸婦)》1905年 油彩・カンヴァス 50.2 × 117.6 cm ユニマットグループ
ふっくらゆったり。もう晩年の作とはいえ、この優しさがいい。

こちらはバリバリ描いていた頃
《水のなかの裸婦》 1888年 油彩・カンヴァス 81.3 × 65.4 cm ポーラ美術館
肌が真珠母貝のようなきらめきを見せる。水面の青のグラデーションに暖色がまじることで水の奥行きがみえてくる。
イメージ (2340)

コンスタンティン・ブランクーシ 《ミューズ》 1917年 ブロンズ 43.5 × 24.0 × 20.0 cm 姫路市立美術館
かっこいいなあ。姫路で見たときより、こうしたコンセプトの展示で見る方が興味を惹かれる。

ラウル・デュフィ  アポリネール『動物詩集あるいは オルフェウスのお供たち』 Guillaume Apollinaire, Bestiary or the Parade of Orpheus 1911年刊行 木版・紙 群馬県立館林美術館
ひれは五年ぶりの再会。「デュフィ展をみる」のブログで感想を挙げている
・オルフェウス・亀・アイビス
三点出ていたが、これは楽しくて好きだ。線が多く、可愛くはないのだが、楽しい。
そういえば今汐留でデュフィ展が開催していたが、これも出ているかな。

ラウル・デュフィ 《アンフィトリテ(海の女神)》1936年 油彩・カンヴァス 188.0 × 160.0 cm 伊丹市立美術館
手に貝を持つ。1936年当時の最新のかっこよさ、そんなのを感じる。

ラウル・デュフィ  《ヴィーナスの誕生》 1937年 油彩・板 16.0 × 41.0 cm 宇都宮美術館
こちらもそう。その時代の最先端なヴィーナス。別にモードがそうだというのではないが、 なにかカッコいいのだよな。

ラウル・デュフィ 《オルフェウスの行進》 1939年 油彩・カンヴァス 61.0 × 176.0 cm 宇都宮美術館
こちらは28年後。ゾウも虎も飛ぶトラ猫も…

ラウル・デュフィ 《アンピトリテ》 1945年 油彩・板 16.8 × 50.3 cm 宇都宮美術館  先のと同じAmphitriteなのにこちらはピ表記。
嵐の中の美誕。そしてやはり1945年風なムードがある。海岸がそうなのか、なんなのか。いつもその時代の最先端にいる。そしていつも古びない。

マリー・ローランサン 《三美神》 1921年 油彩・カンヴァス 81.0 × 65.0 cm マリー・ローランサン美術館
トリコロール美人。青・白・ピンク。 仲が悪いわけでも張り合ってるわけでもなさそうなところがローランサン。

マリー・ローランサン 《レダと白鳥(Ⅰ)》 1925年頃 油彩・カンヴァス 54.0 × 44.0 cm マリー・ローランサン美術館
白鳥の下心がな…

マリー・ローランサン 『サッフォー詩集』 1950年刊行 エッチング・紙 21.5 × 13.5 cm マリー・ローランサン美術館
作品から三点さし絵がでている。
ギターを持つ女、スワンと。妖女。いずれも深いところまではわからぬながらも惹かれる。

第Ⅳ章 象徴と精神世界

パブロ・ピカソ  『ヴォラールのための連作集』 1930-37年(1950年刊行) エッチング・紙 北九州市立美術館
このミノタウロスのシリーズは好きだ。
・剣でさされたミノタウロス  相手はなかなかの美男。
・カーテンの後ろのミノタウロスと女  こちらの女も綺麗で肉感的。
とはいうものの、醜いはずのミノタウロスだが、わたしはどうしてか彼を焼いて食ってしまいたくなる。

ポール・デルヴォー 《水のニンフ(セイレン)》 1937年 油彩・カンヴァス 103.0 × 120.0 cm 姫路市立美術館
夜、神殿のようなどこかのステーションの中のような、プールのようなところで女達。
いつも、不思議。

ほかにも神話的な風貌を見せる作品、わたしでは理解できない作品がある。
とても面白い内容だった。
11/17まで。

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