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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

赤毛のアンの世界

叡電一乗寺の駅は小さくて可愛い。無人で、木のベンチには少しのお客さんがいる。
線路の枕木が古い色になっている。
ここから出町柳経由で七条へ行くのだが、その前に百万遍の思文閣美術館へ向かう。
以前ここには九条さんというご年配の素敵な女性がいた。
九条さんに会いたくて訪れた展覧会も何度かある。今は違う方が受付にいた。やはりご年配の感じの良い方だ。ここや東京の庭園美術館では上品で落ち着いたご年配の方々が勤めておられる。

『赤毛のアンの世界』 
L..M.モンゴメリーと村岡花子の幸福なコラボレーション。
私が勝手に付けた副題だが、はずれてはいないと思う。
http://www.shibunkaku.co.jp/artm/anne/
img163.jpg


私が小さかった頃、世界名作アニメシリーズがあった。
ハイジ、ラスカル、マルコ、ロッキーチャック、そしてアンなどが一年ずつ放映されていた。
面白かった。
わたしはハイジからアンまでは熱心に見ていた。
アンのedは今も名曲だと思う。
岸田衿子の詞にピアニスト三善晃が曲をつけているが、間奏曲の展開のすばらしさが今も忘れられない。
アニメのアンについて語ることはいくらでもある。
またいつか。

赤毛のアン。
むかし、殆どの少女が読んだことのある小説。
女優の檀ふみがアンのことを「腹心の友よ」とアンがダイアナに言ったように呼びかけていた。
村岡花子の翻訳が今も素敵だ。
出版から五十年が過ぎていた。
しかし古くない言葉はいつでも読める。

ところで最近わたしは'56の岩波版漱石全集小型本を読んでいる。
その注釈が面白くて仕方ない。ナンナンダ、コレハな注釈。
ほぼ同時期の翻訳と注釈と。
村岡花子の翻訳は今も尚わかりやすく、楽しい。

中学になった頃、隣の学区の友達に誘われて可愛らしい喫茶店に行った。
グリンゲイブルス。アンの住まいの名前と同じ店名。
そこでクレープやフラワーティなどを愉しんだ少女の頃。
店は私が高校の頃には終わってしまった。

8年前カナダに出かけた。
アンのプリンスエドワード島に行きたかったが、バンフとナイアガラがメインになった。
いろんな人の話を聞いたり読んだりすると、そこを訪れるのは、アンのように三つ編みをして帽子をかぶった日本人女性がヤタラメッタラ多いそうな。
うん、わかるゾ。多分わたしもそうするだろう。

展覧会を楽しんでいるのは年配のご婦人方ばかりだった。
一番若いのが私だから、少女はいない。
しかしガラスケースの向こうには、いま少女である人々のための新しい本が並んでいた。
アンの魅力は周囲の人物たちの魅力を知ることでもある。
マリラ、マシュウ、ダイアナ、ギルバート。
メインキャラの名を上げただけでもどきどきしてくる。
アンの起こす様々な騒動。
村岡花子の読みやすい文。
声に出すとますます親しみやすい。

作者のモンゴメリの少女時代と密接な関わりのあるアンの物語。
訳者の村岡花子はカナダ系の東洋英和女子で学んでいた。
戦時中敵性語になった英語を使える花子は苦労していた、と資料は語る。
学校に勤務していたカナダ人の教師から花子は”Anne Of GreenGables”を託され、この翻訳に熱中する。
それが『赤毛のアン』として世に出たのは1952年だった。
出版社の社長から「『赤毛のアンってタイトルどうです」「エーいやです、絶対!」ぷんぷん。
それを娘さんに話した途端、「あー、それそれすてき」
あやうく『夢見る少女』か『窓による少女』になるところだったアンも、娘さんのおかげで世の少女たちに受け入れられたのだ。
しかしアンも少女から女性になり、家庭の人になり、周辺の人になっていったが、もし花子のつけたタイトルのままなら・・・ううーむ??
夢見る・・・ううううう。わたしもいずれ「おタンビばーさん」なんて呼ばれる日が来るのだろーな。

モンゴメリはアンによる世界的大成功を必ずしも喜んでいたばかりではないようである。
一つの物語・一つの文体に縛られていることに深い苛立ちと焦燥感とがあった。
しかしそれでもモンゴメリは世の人々の需めに応じてアンの娘リラまで8作を世に出したのだ。
えらい、それだけでもえらいと思う。
わたしはシリーズが長引き、違うキャラがメインになるとつらくなるのだが、書く側も読む側も本当にえらいと思う。
Fハーバート『デューン』もポールが沙漠に消え去るまでが好きだった。
佐藤さとるのコロボックルシリーズはどれもこれも愛しているが。
アンも実はギルバートとの往復書簡で一度リタイアしたのだ。わたしは書簡態・日記体の小説はあまり好まないのだ。
谷崎の『鍵』『瘋癲老人日記』横溝正史の『車井戸はなぜ軋む』は別としても。
夢野久作はあれはなんだろう、告白体とでも言うのだろうか・・・・・・。

村岡花子は自宅をオープンハウスにしている。事前連絡が必要だが、えらいものだ。
http://club.pep.ne.jp/~r.miki/index_j.htm

大森にあるようだ。

キルティングの実物、プリンスエドワード島の風景、アヴォンリーの景色写真、アンの物語から起こした銅版画。
モンゴメリの他の著作、村岡花子の他の翻訳。ヘレン・ケラー女史の通訳を務めた写真もある。
200点近い資料を飽きずに眺める。


会場にはグリーンゲイブルスのドールハウスがあった。
可愛く出来ている。私はドールハウス大好きだ。会社の後輩が作るのをみるのも好きだが、わたしは小さいものを集めること自体が好きなのだ。グリコのオマケに始まって。

最後にわたしの持つアンに関連したグッズ。
飛び出す絵本ならぬ開くと家になる絵本だ。
ちゃんとアン、マリラ、マシュウの寝室や食堂や納戸がある。嬉しいわ。
写真は取れているがなぜかPCにつながらない。例によってなにか欠けているのだろう。
あきらめよう。

会期はまだ10日ある。楽しい気持ちになれる展覧会だった。
img164.jpg

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