マリア・シェルのこと 

 先日ドイツ女優のマリア・シェルが亡くなった。新聞の紹介欄には『ドイツ語圏最後の国際女優、弟も俳優のマクシミリアン・シェル』と書かれていた。
 マリア・シェルと言えば私はヴィスコンティの『白夜』を思い出すが母は『居酒屋』を先に口にした。あと他にデヴィッド・ボウイと共演した『ジャスト・ア・ジゴロ』と『オデッサ・ファイル』。
’50年代によく映画に出ていて、文芸ものが多かった。私は上映会などで見ているから、当時の人気はわからない。
 弟のマクシミリアン・シェルの『誇り高き戦場』は原作より面白かった。アラン・シリトーの原作ラストは高校生だった私にはちょっと悲惨すぎたのだ。昔の名画は上映会などでこまめに見て回った。
 ドイツ語圏の国際女優と言えばあと他には…ああ、ナスターシャ・キンスキーはハリウッドだな。私は彼女の父クラウス・キンスキーがたまらなく好きだ。ロミー・シュナイダーの死は覚えている。息子の事故死の数年後で、母などはアラン・ドロンとの関わりを映画雑誌などから知るだけに『可哀想』とよく言っていた。
 マリア・シェル。
 『居酒屋』のラストでテーブルにしがみつくようにしながら悲愴な顔で酒を飲んでいた。そしてその傍で女の子が遊んでいる。あの子が将来は『ナナ』になるのだ。――暗い未来を予感させるような演出と、マリア・シェルの滲み出るものが印象的だった。
ご冥福を祈る。
 

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