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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

上野彦馬賞と幕末明治の写真展

先日、九州産業大学所蔵の上野彦馬関係の写真展に行った。
開催した尼崎市は近松門左衛門の出身地ということもあって、文化事業には熱心である。近年には食満南北(けま・なんぼく 近代の戯作者)も出ているし、元の尼崎藩主・桜井氏の後裔は初代尼崎市長と洋画家を兼ねていた。櫻井忠剛と関西洋画の先駆者たち
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-105.html
そうした土壌があるからか、ここの展覧会でハズレは滅多にない。

上野彦馬は幕末から明治の写真師で、我々が今日目にする古めかしい日本の風景や肖像写真は多く、彼の手による。
ただし今回展示のすべてが彼の手に拠るものかどうかは、わからない。内容は、長崎風景の写真と、名士(大名や政治家たち)のほか、芸者や無名の女性の肖像もある。

最後の将軍徳川慶喜、大富豪の鍋島直大、昭憲皇太后、大隈重信、福沢諭吉、木戸孝允、西郷従道・・・・・・
名前を列挙するだけで、どういった写真なのかを、想像することができる人々。

そしてある意味日本一有名な肖像写真・坂本竜馬。
今回、大学の調べでビックリな発見があった。
竜馬、写真修整してはった・・・。
出来てから修正したのだろう。データの時点で頬の色を良くして、とかそういったことは不可能だから、出来てからちょちょいのちょいで修正したようだ。
うーむ、そうなのか、という気分。頬を少し直したらしい。
しかし総じて写真はそのまま写し取ったようである。

今回展示されていないが、勝海舟の肖像写真を見たことがある。
実にオトコマエだった。幕末の頃にあんなアクの強いオトコマエがいたことに感心したくらいだ。

さて展示されているのは引き伸ばされたパネル状のものだが、同時プリントというのかなんというのか、当時の写真も併せて展示されている。名刺大の写真。
その当時でも大量に焼き増しできたようで、名刺代わりに配った形跡があるらしい。
面白い。
これは商売人の発想だ。実際にそうしたのは竜馬だったというから大納得だ。

しかしどの肖像もみんな背筋がしゃんっとしていて、気持ちがいい。
実際の画像はこちらのサイトに詳しい。
http://www.sanno.ac.jp/hikoma/uh3.html

そういえば映画『竜馬暗殺』で竜馬最後の数日間、自分を暗殺しようとする連中や女郎たちと記念撮影するシーンがある。
原田芳雄の竜馬、石橋蓮司の中岡、松田優作のテロリスト。
皆仲良く納まって記念撮影。
しかし、条件が悪くて撮影失敗。今日ニハ残ラズ。
・・・いいなあ。

スナップショットというわけではないので、面白みのある写真や表情のある写真はない。みんな肖像画のモデル気分でカメラの前に立ったのだ。瞬撮ではなく、時間のかかる作業の中で。
とは言え、以前人力車のひっくり返る作品も見ているので、あれなどはあのポーズのまま車夫もお客も二時間がんばったのだろうか。
もしそうなら、やっぱり昔の日本人は我慢強いなーと感心だ。


古写真ばかりではなく、彦馬の名を冠した賞も開催されていて、それに入選した人々の作品も並んでいる。中学生から一般まで。
難民の人々の姿もある。現地へ行ったのだろう・・・。
社会的な視線からのもの・ごく私的なもの・動物・抽象的なもの・情景などなど・・・。好悪も巧拙も乗り換えて、真剣な作品が並んでいると思った。

古写真はガラスの乾板で残されていたので今日でも復元可能だが、デジタルもデータさえ破損しなければ・・・。
しかし百年・二百年後に何かしらの関心を、私のような一般客にもアピールできるような作品は、その頃どれだけあるのだろうか。
ちょっと途方もないことを考えながら会場を後にした。

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コメント
上野彦馬という人は、確かに名前を列挙されるだけでその写真がうかんできます。それくらい貴重な記録写真を、これだけ公に残されたのですから、日本の報道者写真家のパイオニア的存在と考えてもいいみたいですね。ただ写される側が意識してい以上、肖像写真と呼ぶべきかもしれないけれど。。。
この時代、写す側も、写される側も共に気合が入っていますね。そうでなければ長時間(?)じーっとしてられませんもの。
2006/08/08(火) 18:35 | URL | red_pepper #-[ 編集]
えらいもんですよねー。
私には出来ない・・・。気が向けばイキナリ歌いだしたり勝手に妄想に耽ったりする私では、モデル無理ですね。
しかし傘を差すのがステロタイプらしく、なんだかそれが面白いです。
2006/08/08(火) 23:28 | URL | 遊行 #-[ 編集]
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