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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

世界遺産『危機遺産』写真展

世界遺産の写真展に行った。
世界遺産のすばらしさを味わう展覧会、と言うのではなく、世界遺産に迫る危機を知る為の展覧会である。

危機遺産。
そんな呼び方をするらしい。
なぜ世界遺産に登録されたものが失われつつあるのか。
理由の多くは人災である。
紛争、生活の改変に拠るゴミや排気ガス、都市化へ移行した為の廃棄などなど。

一番ひどい例がアフガンの仏像爆破。
その模様が何枚もここに展示されている。
イスラームの全体の中の一部が拡大化されて、過激な行動に走る。そのためにイスラムフォビアとでも言うべき現象が広がっている。
おとなしいイスラムの人への迫害や蔑視をどうするのか。
この先どうなるのか全くわからない。
良くなる見通しなどどこにもない。


次にアンコール・ワットがある。
ポル・ポト政権下の大量虐殺。
220万人以上の自国民の虐殺。
・・・アンコール・ワットの現状と内線前夜の写真とが併並されている。
人の手が入らぬとすぐに森に飲み込まれる遺跡、というのは想像を絶するが、自然の繁殖力を考えると、まだマシなのかと思いもする。
しかし今現在のアンコール・ワットはその自然をも破壊しつつある。
大量の観光バス・大量の排気ガスなどのほか、略奪と盗難という破壊が大きい。ワットやトムは世界遺産登録されたことで警備もされているが、ほかに政府も場所を特定できないような遺跡があといくつもあり、それらが悉く剥ぎ取られ、東南アジア各地と日本人向けに秘かに売買されているそうだ。
大英帝国の昔、海賊行為・植民地化などで略奪した宝物を本国に持ち帰り巨大な大英博物館に収めた頃の話ではない。
今現在での話なのである。

上智大学がプロジェクトを組んで、カンボジア人の自前修復などへの道を開いた。
この成果は既に'03年に『アンコールワット拓本展』として現れている。それを見たとき、深い感銘を受けたことを思い出す。

また'65年のアンコール風景を観た。人々が機嫌よくカメラに向かって笑っている。しかしこの人々は40年後の今日、生きているとは思えぬ状況にある。説明文から類推して、恐らく内戦の犠牲になったようだ。


またチベットのポタラの風景がある。
すばらしい城壁。チベット仏教と土着宗教と更にいくつもの宗教が混合した独自の宗教。それが人々の文化だけでなく倫理観をも規定していた時代。
しかしその時代は最早過去に過ぎない。
衛星回線がつながったことで急速に都市化が進み、大事にされてきた宗教的建造物が次々見捨てられ忘れられてゆく現状がある。

ところでこの写真展を見た翌朝、つまり今朝TVで日本人の海外協力隊のおじさんが、現地に『ナマステ体操』を広めているというニュースを見た。子供からお年寄りまでこのナマステ体操をすることで朝に活力が湧くそうだ。つまりラジオ体操のような存在になりつつある。
めでたいことである。みんな喜んでナマステ体操をしている。
その子供らの服装。可愛いギンガムチェックの揃いのシャツ。制服なのだろう。動きやすくて結構だと思う反面、民族衣装の急速な廃れというものをここでも見たように思う。

インドのサリーも今では年配女性ばかりの服装になってきているらしい。文化的側面からゆけばなんとも残念なのだが、その一方、女性の地位向上や教育の広がりと言う観点で考えれば、やはり動きやすい今風の服装になることが良いようにも思う。
・・・難しい問題だ。

また天災による危機遺産も多い。
これらを見ているとどうにもならない無力感に襲われる。


写真を見ることで、実際その場に行き、感じることとは又異なる問題に気づかされた。
パンダも虎も世界遺産も近代建築も、等しく保存しなければならない。

展覧会はそごう心斎橋で。

見た後に屋上へ出た。
茜色の雲が空に広がり、なんとも美しい光景が視界いっぱいに広がっている。台風の影響か、風が強い。
六甲山脈・生駒山脈・金剛山脈が遠い影として目に映る。
ただただ、きれいだった。
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コメント
わたしもこれ、行くつもりです。
あと、ハービスでやってる毎年恒例の世界報道写真展も。

この年末年始はカンボジアだったんです。アンコールワットとその他遺跡群をみてきました。
目玉のない仏像が多かったのが印象的でした。
目玉は貴重だから盗難に遭うんですって。

サリーはネパールに行った時に作ったんですけど、
着付けが難しくてまったく着てません。。。
ベトナムのアオザイのほうがまだ着る機会が多かったのはやっぱり着易いからかな。

写真展、終わる前に行かなきゃ。
2006/08/17(木) 16:16 | URL | はな #-[ 編集]
どれを読んでも、その実態は心が痛みます。
世界遺産そのものが選ばれる前に政治的な取引に使われるということも聞いたことがあります。
今でも、アフガニスタンのバーミヤンはおろか、カーブルの博物館までも、行く前に爆破されたことは悔しくてなりません。
やはり形あるものは壊れると思わなければならないのでしょうか?

インドのサリーで思い出したのですが、ムンバイでもデリーでもホテルのカウンターで、きびきびした動きで仕事をしていた女性は、皆サリーを身に付けていて、優雅な雰囲気に見惚れてしまったものです
2006/08/17(木) 17:03 | URL | red_pepper #-[ 編集]
☆はなさん こんばんは
20日までですから会社帰りにGO!
年末年始カンボジアでしたね、わたしの妹はその少し前に行ってました。
目玉は宝石か何かなのでしょうか。ガラスなのかな。
むかし、インドかスリランカには44カラットのダイヤを嵌めた仏像があったけれど、盗難と流転の果てに今では2カラット大になってイギリスにあるそうです。

サリーは一枚の布を巧みに曲げたり回したりして着るわけですよね、結局それが動きを制限するからイヤだとOLさんらが言ってました。
服装だけでなく考えまでアメリカナイズドされるのは怖いことですが・・

★red_pepper さん こんばんは
モスリム全体が悪く思われるような破壊行為は本当にイヤです。わたしは別にモスリムではないけれど、胸が痛みます。

略奪行為をなす術もなく見過ごした側にも無力感が湧くでしょうし、文化文明と言うかけがえのない宝を失うことでいよいよ人心は荒廃するでしょうね。
万物流転とは言いながらも、やはり守るべきものは守らないとダメダと思います。

ホテルのフロントの人などは、まずその動作等から訓練を受けますし、職業的な誇りもあるのできびきび動けるのでは、と想像します。
ダメ系のわたしなどには無理なようです。
2006/08/17(木) 22:07 | URL | 遊行 #-[ 編集]
これは藝大美術館ーそごう横浜の巡回ですかな。
問題なのは欧米や日本の一部コレクターの存在ですね。
高値で仏像とか買うから盗掘が後を絶たない。
それを名品展と称してたくさん人が詰め掛けるのもどうかなと。
僕は近代美術館と大原美術館の「名品展」にこれから行ってきます/笑。
2006/08/18(金) 10:30 | URL | oki #-[ 編集]
okiさん 私は今日ウルトラマンと安彦良和の世界におぼれています。
明日は伊藤彦造です。
しばらくどきどきです。
2006/08/18(金) 22:07 | URL | 遊行 #-[ 編集]
今、造られてるもので
遊行七恵さん、こんばんは。
天気のよい夕方、ときどき新宿の西口にある都庁やその近辺のビル群を眺めることがあります。
あの丹下氏による怪物のような都庁の建物、ある時代の英知と財力を結集して建てられたと思うのですが。
将来、世界遺産に登録される可能性は有りやなしやなどと考えてしまいます。
2006/08/18(金) 23:22 | URL | sekisindho #-[ 編集]
おお東京遠征ですね。
八王子夢美術館と世田谷文学館ですか、夢美術館は駅からかなり歩きますがおわかりになりましたか。
僕ははじめていったとき相当まごつきましたよ。
2006/08/19(土) 12:37 | URL | oki #-[ 編集]
おお遊行さん、八王子夢美術館のサイトをのぞいてみると原画展の展示カタログ4200円じゃあーりませんか。
買われたのかな、僕も「ぐるっとパス」で近く行く予定ですがどうしようかなー。
2006/08/19(土) 13:17 | URL | oki #-[ 編集]
☆sekisindhoさん こんばんは
二百年後にまだあのままあるなら、可能性はあるでしょうが、代々木体育館でさえ壊そうかというような都では・・・
私は個人的に都庁好きです。
ガウディのサグダラ・ファミリアのメタリック版みたいで。

★okiさん こんばんは
行きしなは頻発する100円バスで、帰りはぶらぶら機嫌よく歩きました。安彦あんまりよすぎて2時間いたので予定が狂いました。本は買わなかったけれど幸せです。帰阪してから詳細あげます。
2006/08/19(土) 21:45 | URL | 遊行 #-[ 編集]
こんばんは。
行ってきました。

観光産業に頼らざるをえない現状と、
それに比例して失われていく遺産と。。
先進国と言われる国々にはもっともっと
できることがあるんじゃないか、と思いました。
2006/08/20(日) 23:56 | URL | はな #-[ 編集]
はなさん こんばんは
国連も役に立たない現状がある一方、上智大学やフランスなどの援助の方法を見ると、微かな希望が湧いてくるようです。
しかし難しい問題です。
2006/08/21(月) 02:06 | URL | 遊行 #-[ 編集]
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