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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

富本憲吉展

富本憲吉回顧展が京都近代美術館で開催されている。
東京の汐留ミュージアムでも違うコンセプトの展覧会が開催されていた。行きたかったが、行き損ねた。残念なのだがカタキは京都で討った。

富本憲吉の陶器は以前からこの近代美術館に多く収蔵され、よく展示されている。
口の悪い言い方をすれば、見る気がなくても見てしまうところに富本憲吉の作品が飾られている。
だから今更、という気があったのだが、行ったことで富本憲吉への意識が変わった。

わたしたちがよく見るのは赤金の羊歯紋様や、青っぽい四弁花のパターニング紋様だと思う。
実際、赤金の羊歯と言えば富本憲吉だという認識がある。
ところがその羊歯紋様は、晩年に近い頃に発明されたものだったのだ。
発明、とわたしは書いた。
そう、発明なのだ。
すべては「模様から模様を作らず」という信念を抱いていた富本憲吉オリジナルなのだった。
img278.jpg


先回りしすぎたので入り口に戻る。
富本憲吉が建築を習っていたとはこの回顧展に来るまで本当には知らなかった。
なかなか素敵な設計図である。
欲しいなと思うような形、いい感じだ。

アーツ&クラフト運動をイギリスで実感しただけに富本憲吉はオブジェを作らなかった。
オリジナルにこだわる富本憲吉。
彼は子女教育までオリジナルな道を選んだ。
奥さんは青鞜に属していたひとなので、夫婦揃って進歩的。
富本憲吉のプロポーズの模様もなかなか素敵だと思った。

模様。
すべてはこれなのかもしれない。
富本憲吉も板谷波山も傾向は違うけれど、うつわの形より絵柄に重点を置いていたのは同じだった。
アーツ&クラフトを実感したことが富本憲吉の思考・志向に影響を与えたように思う。
前述したように「模様から模様を作らず」と決めた富本憲吉は自分オリジナルの模様を作ることに心を注いだ。
やがて四弁花のパターニングを得、ついには彼の代名詞にもなる羊歯紋様も作り上げた。
凄いことだと思う。
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花の次に羊歯。img279-1.jpg


会場で見た作品の中には新宿中村屋がよく使う<春夏秋冬>の文字があったが、あれも彼なのかどうか。
手元にそのお菓子がないので確認できない。
(お菓子くれると確認できるんだがなー)

それはさておき、わたしが一番気に入ったのは筥である。
飾り筥。特別気に入ったのが、青銀羊歯の筥。
画像がないのは残念だが、形はこれと同じ。
img277-2.jpg

ああ、これは用途も何も考えることなく、ただ欲しいと思った。
私はこんな形の、こんな大きさの筥が大好きなのだ。
手に入れば、と考える。
オルゴールにしてもいいなと考える。
綺麗な響きがあるだろう、きっと。


富本憲吉は世田谷に二十年住んでから奈良に帰った。
安堵町。
今でも奈良に記念館があるというのは、鹿のいる奈良ではなく、飛鳥の古墳のある奈良でもなく、こっちの方の奈良。法隆寺の近所。

小さな可愛い印もある。これらも皆富本憲吉の焼き物。
それから娘さんたちの通った学校の卒業記念のブローチ。
img276.jpg

クリックしてください。
いいものをたくさん見せてもらった。
やっぱり富本憲吉はいい。

そういえば彼の息子・壮吉氏はTVドラマの監督になり、『家政婦は見た!』シリーズなどを撮影していた。
俳優でエッセイストの殿山泰司のエッセイの中で、カントクからお父上の作った猪口か何かをもらって嬉しいというハナシがある。
なんだかそれだけでこちらまで、嬉しい。
img279-2.jpg

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