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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

上方浮世絵館

例によってハイカイしている。
法善寺にある上方浮世絵館―アンコールワット展―中右コレクション―川本喜八郎リスペクト。
一貫性のない、ハイカイ。
道順に従い、上方浮世絵から入る。

江戸の浮世絵と上方の浮世絵とは無論、絵師が違う。
絵師だけでなく、描く役者も違うし、構図も異なる。
これは嗜好の問題もあった。
それについてここで云々することはしない。

上方浮世絵を多く所蔵するのは、この美術館と池田文庫とが著名である。
江戸の作品と同様、海外流出もして、ヒゾルフ・コレクション、大英博物館などのコレクションが有名なところだが、共通して多いのは三世中村歌右衛門を描いた作品である。

三世歌右衛門は<兼ねる役者>の称号を得た一代の名人である。
わたしが最初に彼を知ったのは’92.4に池田文庫で見た『役者絵』展からだった。
よし国という絵師の手による役者絵。それが心を奪ったのだ。
彼は江戸にも出て、当時大人気の三世三津五郎と張り合い、双方の贔屓同士がトラブルを起こすくらいだったそうだ。
見栄えはアクが強すぎるようだが、芸達者さは江戸も上方同様、舌を巻くもので、お江戸から上方へ帰るときには、江戸市民は「帰るなー」コールをしたらしい。

わたしが持つのは池田文庫で入手した絵葉書がメインだが、今では絶版モノも多く、その意味でもなんだか嬉しいような寂しいような。
こちらは別な絵葉書だが、雰囲気は伝わると思う。
img289.jpg

さてこの上方浮世絵館は法善寺横町のネキにある。
個性的な建物で、これは賞も貰っているそうだが、インドの田舎にいるような気分の空間である。img290.jpg

秋野不矩さんが描いたインドの建物が立体化したような感じ。
サイトはこちら。
http://www.kamigata.jp/ukiyoe/index.html
ここにある「江戸との違い」がなかなか面白い。

同じ役者絵でも、江戸と上方では大きな違いがあります。上方浮世絵の特徴は、江戸浮世絵のように華美ではなく、粘っこい線でありのままを描くところです。加えて、視線が強く、それが構図の一部になっているのも特徴のひとつです。

 これは東西の文化の違いでしょう。体裁を重んじる江戸と、花より団子、つまり実を重んじる上方。役者はあくまでも格好良くの江戸と、素顔で公演後の舞台挨拶に立つ上方。役者を虚飾された世界に置いて楽しむ江戸と、生身の人間として尊敬する上方。このような根本的な文化の違いが、浮世絵の世界にも明瞭に現れています。

因みに、写楽は「あまりに真を書かんとて・・・」と当時記録されていることから、上方出身者ではないかという説もあります。実は上方錦絵の祖、流光斎(写楽と同時期に活躍)の浮世絵は、写楽の絵にとても良く似ているのです。

ビッグコミック増刊で連載中の一ノ関圭『鼻紙写楽』に現れる流光斎。
ああ、この連載早くコミックスになって欲しい・・・!!

今回は『浮世絵に見る文様』という展覧会だが、あいにく始まったばかりだからか、サイトのほうでもその前のから更新されていないので、ちょっと情報が古い。
とりあえず何を見たか、主なところを書いてゆこう。

いきなり『崇禅寺馬場』 これは池田文庫でも『敵討ち』展で楽しんだ作品だ。
普通敵討ちといえば、苦節何十年後にやっと本懐を果たしたというのが知られているところだが、これは逆。そうです、返り討ち。しかも地元住民が手伝ったという伝説の話。
ここに出ているのは、三世歌右衛門がざんばら髪でおどろおどろな怪火をまとって立つ児雷丸。
やっぱりわたしなんかは、こういうドラマ性の高い浮世絵が好きだな。

それから中村松江の揚巻がいい。
k0175-2.jpg

この口許。なんという色気だろう。ときめきましたね。
当時生きていれば、買いますね。・・・無論、絵の方ですが。

璃寛と翫雀の『四谷怪談』から夢の場が出ていた。
夢の場は伊右衛門が蛇山庵室に避難して転寝に見る、少し綺麗な情景。
若衆姿の自分が瓢箪つらなる民家の軒先に立つと、中から美しい女が現れる。
そのシーン。
(しかし芝居では、この後並ぶ瓢箪が一斉にケタケタ笑い出し、女がお岩さんに変わるのよ)

近松の『毛剃』も外題を『和訓水滸伝』にして上演されたらしい。
それから歌右衛門の菅公もある。道明寺の絵だろうか。

二階と三階が展示室で、以前四階で寝そべった記憶があるのだが、今日は閉まっていた。
屋上では確か古代米の栽培もしていたようだが、今はどうか。


Shopは色んなものが販売されていて、案外安価だったりするので、楽しい。
ぐるっとパス関西版も、ここに来てようやく使い応えを感じたのだった。

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コメント
おはようございますです。

上方、の粘っこさは、落語にも、歌舞伎にも感じていましたが、
粘っこさに寛容になるには、時間かかりました。
高楊枝タイプではあっても、東京のぐるっとパスは渋すぎるなぁって思います。関西版は、使い勝手ありそう~~
2006/09/04(月) 10:00 | URL | あべまつ #-[ 編集]
浮世絵については、何も知っているうちに入りませんので教えていただく一方なのですが、江戸と上方の違いは「さもありなん」と思えて可笑しくもあり、得心しました。
今日のブログでもう一箇所、バチッと引っかかったのは秋野不矩さんの名前です。彼女のインドを描いた展覧会で色んな意味で圧倒されたことを思い出しました。
2006/09/04(月) 11:04 | URL | red_pepper #-[ 編集]
★あべまつさん こんにちは
関西人からすれば東京のパスがよく思え、関東から見れば西のパスがよく思え・・・これはパスの性質なのかもしれませんね。

わたしは南北と黙阿弥が大好きですが、上方芝居の世話物がこれまた大好きです。近松はむしろ異端なのです。
芝居絵も描き込みが多いほうが楽しいです。
ですから江戸の絵師なら国芳、国貞が好きですね。


☆red_pepper さん こんにちは
ここは地下鉄の乗り場からも近いので行きやすいところです。
企画展がなかなか充実しています。
浮世絵は時代と場所により、色々変遷や嗜好の違いがあり、面白いです。

秋野不矩さん、好きです。特に水牛とか土壁とか・・・
インドの空気がそのまま画面に封じられたようで。
2006/09/04(月) 12:34 | URL | 遊行 #-[ 編集]
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