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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

梅原龍三郎展

大丸心斎橋で梅原龍三郎展が開催されている。
巡回展。
梅原龍三郎の人気は高い。
わたしは安井より梅原が好きだ。

子供の頃から梅原の絵は常にそこにあった。
別に本物でなくてもいい。カレンダーでも何でも、目に付くところに梅原龍三郎の作品があった。
それは北京風景だったり、薔薇や裸婦ということもある。
豊饒な色彩。デッサンが正しいのか狂ってるのかわからぬが、大きな存在感のある作品。
豪華絢爛・天衣無縫・空前絶後
四文字熟語で梅原龍三郎のイメージを表すと、こんな感じだ。

師匠のルノワールも大好きだが、弟子もまた豊かに明るいのが素敵だ。好悪を越えて巨大な存在感のある画家。

梅原が'86に大往生したとき、まだ学校に行っていた。
確かラグビーの日本選手権のすぐ後くらいの日で、新聞をチョキチョキ切ったことを覚えている。

今回、何度目の展覧会なのだろうか。
とにかく大正このかた梅原展は人気だ。
ところでわたしが最初に『梅原展』を見たのは'91の西宮大谷記念美術館でのことだ。
既にそれ以前からあちこちで見ているが、まとめて数を見るのはこれが最初だったのだ。
そのとき、電車の社内釣りポスターに使われたのがこの『霧島(栄之尾)』だった。
img320.jpg

この世の景色ではない、と思った。
異常な衝撃に打たれた。
風景画でこんなにぶちのめされたのは、この後ホテルオータニでのアートコレクションで見た小出の『六月の郊外風景』まで他にない。

今回の大丸展のコンセプトは知らない。
どこのコレクションをメインにしたのかも知らない。
しかし行かねばならなかった。
行く価値のある画家だからだ。

会場の最初のコーナーは、花瓶に活けられた花を集めていた。
薔薇、アネモネ、薔薇、チューリップ、とにかく薔薇。
円でも楕円でも渦巻きでも盛り上げでも、形がわからなくても薔薇は薔薇だと強く思い知る絵。
花瓶も何がなんだかわからないが、花瓶だ! と思う。
img322.jpg

見ればわたしと今日一緒に見ている友人と同い年の作品があった。
・・・色褪せず、剥離もせず、綺麗なままの薔薇に、なんだか背中を推された気がした。
がんばるぞ!(なにがや?)

若い頃の人物画が少しある。たった一年で画風が変わっている。
三日会わざれば括目せよ、を地でいったらしい。
それから北京での姑娘たち。
中華の大ご馳走を満漢全席というが、梅原の絵にはその風格がある。食べる側も胃弱では立ち向かえない。
後で中毒しようと寝込もうと、とりあえず向き合おう。

知らない奥さんがイキナリこの絵の色合いが雪青色でとても綺麗ねと言うので、そうですねと答えたが、画像ではその<雪青色>は再現できそうにない。img321.jpg


今回気に入ったのは裸婦のシリーズ。それもいつもの本格的な洋画ではなく、簡単に彩色を施したものと版画と。
'30年代の連作。
この時代の大正新版画運動と梅原がどのような関わりを持っていたかは知らない。
しかし会場を見て回るとパリのムルロー工房や長谷川潔、河野通勢らとの交流が示されているので、やはり何かしら版画で作品を生み出したいと思ったのだろう。
『虎と女』というモチーフを見ると谷中安規を思い出す。小説では『女か虎か』という傑作もあった。
こうした作品は見ていてとても楽しい。

梅原と交流の深い人々の作品のコーナーへ回る。
まず師匠ルノワール。
豊饒なる師弟。
女の顔とバラの二枚が出ていた。それを観ただけで豊かな気持ちになる。
それからブロンズ像『ヴェールを持つ踊り子』。これは鋳造でいくつも他に作れるので、この大丸の御堂筋側、少し先に設置されてもいる。高村光太郎やザッキンらと共に御堂筋を美しく飾ってくれている。

ピカソ、マチス、ルオーと見て、白樺派に移る。
武者小路実篤の書がある。
『無比』 本当にそのとおりだ。実感がある。褒めすぎではなく、実感としてのリアルな『無比』なのだ。
木下利玄の短冊がいくつもある。
わたしはこの人の短歌はあまり知らないが、里見の随筆に現れる姿に好感を抱いている。
特に志賀、里見、木下の三人の関西ツアー『若き日の旅』が楽しい。
大正の頃の白樺同人寄せ書き色紙が良かった。
劉生の寒山拾得や蝙蝠を呼び寄せる人物や三酸図、河野の生け花、富本の皿の下絵のような風景などなど。

最後に梅原の描いた『横山大観像』 これはその当時名だたる日本画・洋画の大家達が『横山大観先生を描く』会というのを催したそうで、多くの画家がこのときの肖像画を残している。
わたしもいくつか見てきたが、梅原の大観はやっぱり梅原の絵なのが面白く思えた。

場内には梅原の写真がいくつかあった。
としどしの自画像を描き、『ナルシス』としての自画像を描いた画家は他者に肖像を写されるのがあまり好きではなかったそうだ。
しかし、ここにある一枚はとても可愛いし、ご本人もポーズを取っている。
「撮ってくれよ」と機嫌よく自分から声をかけたのかもしれない。
img323.jpg

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コメント
この展覧会に私も出かけました。一番好きだったのは『富士山図』でした。帰りにそのカードを買おうとしましたが、色合いが実物に遠く及ばないと思って、そのまま出てきてしまいました。
梅原龍三郎の交友関係が、一目で分かるような展示の仕方も面白かったです。
2006/09/12(火) 19:34 | URL | red_pepper #-[ 編集]
これは、東京日本橋三越でひらかれたやつですね。
大阪では大丸に変わったのですね。

絶筆の浅間山の絵が印象に残ってます。
巨人ついに力尽きる。最後まで絵描きだった人だと感心しました。

幅広い交友関係があって、目を見張りました。
長谷川潔の年賀状がとってもよかったことを覚えています。
2006/09/13(水) 07:48 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
★red_pepper さん こんにちは
梅原の山の絵は富士でも浅間でも霧島でも、とにかく雄大でそのくせカワイイと思います。
なんだか山そのものがバンザーイな感じ。
梅原の交友関係の賑やかさがいいなーと思いました。
みんな梅原が好きだったのね、と思いました。


☆一村雨さん こんにちは
そうです、三越からの巡回は大阪、京都、札幌の大丸です。
ていうか、東京だけ三越なのですかね。
デパートの展覧会、大好きです。
国の内外を問わぬ交友関係がいいです。
絶筆、色こそ塗れていませんでしたが、絵の格は最後まで大きかったな、と思いました。
2006/09/13(水) 09:57 | URL | 遊行 #-[ 編集]
日本橋三越はカタログを買うと招待券をいっぱいくれるから好き。
梅原は白樺派と一緒にたしか鎌倉に住んだのですよね。
で白樺派の面々が揮毫した屏風?みたいのが展示されていましたがなぜか梅原のはないのですねー不思議だったな。
個人的には白樺派との付き合いがどのくらいだったのかもっとしりたかった。
遊行さんはお金払って展覧会観たのですか?
それとも大丸のアートミートアートとかいう宣伝のフリーパスを使われたのかな。
2006/09/13(水) 10:19 | URL | oki #-[ 編集]
okiさん こんにちは
わたしは大丸からはありがたくもチケットが届くのです。
三越はいいですね。店内撮影にもにこにこで。
白樺派は好きでした。だから白樺派側の資料を読むと、梅原との仲良しこよしぶりがよくわかります。
白樺派の母胎も学習院の仲良しさん仲間からですし、『友だち耽溺』を標榜してましたので、付き合いも深かったようですよ。
2006/09/13(水) 11:42 | URL | 遊行 #-[ 編集]
遊行七恵さん、こんばんは。やっとブログに復帰しました。これで落ち着いてくれればいいのですが。

梅原龍三郎展が大阪の大丸で開催されているのですね。記事をみて、図録をまたぱらぱらめくってます。取り上げられている“薔薇”がいくつかある薔薇のなかでは一番ぐっときますね。これまで、梅原の代名詞である“薔薇”をみる機会がなかったので、夢中でみました。とにかく、目に焼きつく赤ですね。
2006/09/16(土) 22:48 | URL | いづつや #RK0OJ0uw[ 編集]
いづつやさん こんばんは
PC復帰よかったですね。
梅原のバラ、本当によかったです。
生命力を感じる赤でした。

戸板康二が『ぜいたく列伝』に描くだけあります。
2006/09/17(日) 01:12 | URL | 遊行 #-[ 編集]
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