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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

応挙と芦雪 (前期)

正倉院展でヒトアタリし、フラフラしながら県立美術館に向かった。
ほかの時間帯なら多かったろうが、夜間開館9時までの金曜日、そうはお客さんもいなかった。

応挙と芦雪。
前期と後期の完全入れ替え制(映画館か)。
とりあえず今日は前期である。
img501.jpg


この数年若冲を始め18世紀江戸絵画の人気がとみに高い。
応挙の大展覧会は天王寺で開催されたが、そのときもすごい人気だった。
見た人の反応の声「あー知ってるー」「見た見た、覚えてるー」「カワイイー」
…わたしも多分、どれか・または全部に当てはまる。
つまりブームになる以前から恒常的に応挙の絵は普段絵を見ない人の意識にも入り込んでいるわけだ。

応挙の絵との最初の出会いは幽霊だという人が多いはずだ。
わたしはてっきりお化け専門の絵師だと思い込んでいて、四条円山派の祖だと知ったときには「う-む---」だったのだ。
子供にとっては水木しげるも応挙も一緒だったのだろう。

師弟の展覧会。
破天荒な弟子とまじめな師匠。これが逆なら弟子は大成しないものだ。
何が目当てというのでなく、全部が目当てでやってきただけに、たいへん楽しめた。
展示換えリストを見るとOが応挙、Rが芦雪で番号が打ってある。
つまりO-157とかR-25なのだな。
気に入った作品だけ任意に書く。
一応展覧会では人物・花鳥・山水と分かれてはいる。

チラシ裏。クリックしてください。
img511.jpg
いきなり大石内蔵助の伏見撞木町の遊興図がある。
本心からか韜晦からか、実のところ私は疑っている。
大石はお大尽遊びをして「サテ帰ろうかの」という風情である。
実際は遊女の持つ文を眺めているのだが。
これは芝居で言えば仮名手本というより、真山青果の実録もののようにも見える。
その点がやはり応挙らしい気がする。
この絵の所蔵先は・・・板宿にあるのか。

唐美人。ああ、きれいな女だなと思った。墨に薄い彩色だけなのに、色香が漂ういい女だった。
文具を前に座る女だが、これはもしかすると対になる女がいるかもしれない。そんな構図。
芦雪の美人画。

もう一点芦雪を選ぶ。チラシのあやつ。
トラ。
もう本当にかわいくて仕方ない虎。立派な虎なのに目も尖ってるのに、可愛い。
耳がちぃちゃくて可愛い。串本の無量寺の襖絵だが、そこから飛び出しそうな筆勢。
いつか虎特集を組もう。そのときはART&BELLのとらさんに教えを乞おう。
わたしは猫と暮らしているので、虎の爪とか肉球とかにドキドキ♪
・・・この虎は有名な虎なのだった。

元は萬野にあり、今では相国寺に遷った七難七福図がある。水難の天災と追いはぎの人災と。
今回はこのシーンしか出ていないが、わたしは以前模本ではあるが全巻見ている。
京都造形大で見たのだ。
模本、つまり応挙が描いた原本をそこに写しているわけだから応挙が描いた情景と言うものがどんなものかは伝わる。
ウワ・・・という感じだった。応挙が生きた天明時代は飢饉があったり悲惨な事件が多かったようだが、彼にこの絵を描くように依頼した高僧は、このリアリスティックな絵巻を見てどう思ったことか。
しかし所々妙にわたしの気をひくものがある。
びっくりして眼を見開いているわんころたち、にゃんこもひっくり返っている。
こうした絵はどういう状況で人々の目に触れていたのだろうか。

数ヶ月前京都の『18世紀の京都画壇』で見た芦雪の巨木があった。
咆哮しそうな木の洞。それを黒く塗りつぶしているのが強い。
『白梅図』 墨の濃淡が風を起こし、花の匂いまでこちらに運ばれてくるようだ。

二十四孝を描いた屏風仕立ての作品を見る。
応挙だからこそマジメに書いているが、既にこの時代でもこの物語が「うむうむ立派だ、こうでなくてはいかぬ」と受け入れられていたかどうかはわからない。
なにしろ西鶴が『本朝二十不孝』を書いているし。
蛍雪あたりはまだしも、雪の筍とか酒を体に吹いて蚊寄せをした倅とか、老親にその老いを忘れさせようと<子供>を演じる老人とか…なんだか不憫だなぁ。
間違いなく私も西鶴のキャラのクチだな。
(ふと、この画題を蕭白が描いたらモノスゴク不気味な作品に仕上がるだろうなと思った)

唐子たちが手習いをしている。薄墨。子供らはどいつもこいつもころころ可愛いし、いたずらばっかりしている。賢そうなことしているより、こんなの方が可愛くて楽しい。
わんこもころころいる。
こいつらもわんこも変わりがない。
私の甥っ子はまだ二歳だが、母が飼い猫と孫とを眺めて「違いがないなぁ」と言ったのを実感として思い出す。
麿眉の子供が隣の子供の頬にいたずら書きしたり、手のひらに墨をつけてペタペタ触る子供もいるし、不細工で可愛いカラスを描くちびこもいる。
そうしてわんこたちも機嫌よく遊んで、どこかへ走り去ってゆく…
芦雪はどんな気持ちでこの愛らしい襖絵を描いたのだろう。

しかしわんこといえばやっぱり師匠の応挙に尽きるかもしれない。
このわんころの寝顔!麻呂眉が愛しい!!応挙自身は猫を飼うていたようだが、隣家のわんこたちをよく写生したそうな。当然弟子たちもみんなでわんこを描く。
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芦雪のわんこはおしゃべりしそうで可愛い。雀が集団でいるのを見てもさえずりが聞こえてきそうだ。

応挙『四季の月図』 四幅の月図。描き表装。白鶴美術館蔵なので見ているはずだが、記憶がない。
この四つの月の前でわたしはかなり長いこと立ち続けた。
滲み方・ぼかし方、濃淡・位置。
凄い絵だと思った。
これは文で書いても伝わらない。見てくれないとわからないように思う。

一方芦雪の『月夜山水図』 頴川美術館のだが、これは以前から好きな作品だ。今年の四月にも見に行き大満足したのだ。本当にいい感じ。
私は月が好きなので嬉しくなる。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-470.html

そうだ、もう一点芦雪の『牛図』 
描き表装の梅がいい感じで、絵から牛がはみ出そうな感じ。
これは京都の鐵斎堂の所蔵だが、以前から見ている楽しい絵だ。
牛に梅と言えば北野天満宮だな。もしかするとこの黒牛には<舎人・梅王丸>がついているかもしれない。


40点ほどの作品をいい感じに並べていて、一回りした後はまた一回りしたくなるような気分にさせてくれる。ここの建物の構造はあまり評価していないが、機嫌よくぐるぐる回った。
後期は11/7から12/3まで。
わたしはたぶん12/2に行くだろう。
ああ、いいものを見た。
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