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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

応挙と芦雪 (後期)

文化の日から一ヵ月後、再び奈良県立美術館へ。
『応挙と芦雪』後期を見に来たのだよ--

先月図録購入していたので後期概要はわかっていたけど、やっぱり自眼というかナマ眼で見たいのでとりあえず、大阪駅前第二ビルのチケットショップへ。
・・・ありました、一店だけ半額になってた。はっはっは。
奈良&斑鳩チケット(指定交通機関乗り降りフリー)で近鉄奈良につきバスに乗った途端えらいこと雨です。
しかし雨でも閉幕間近の土曜の昼だからか、人気(ニンキでもヒトケでもいい)あります。
→人気の前に大つけたらオトナゲと私はうっかり読んでしまうことがある。

マクラが長かったけど、以下、感想。

前期はこちら

応挙と芦雪それぞれの肖像画がある。応挙、置物みたいな感じの人でヒゲ跡が濃い。
実はこの展覧会を見た翌日、池田の逸翁美術館でやっぱり応挙や芦雪の絵を沢山見たので、応挙がどんな感じのオジサンなのかがわかるような気がする。

前後期完全入れ替え制なのでイメージは重ならなくてすむ。

『楚蓮香図』応挙 白鶴所蔵だから何度か見ているが、やはりなよなよと小さくて可愛いひとだと思う。戯れる蝶にそっと手を・・・差し伸べるわけでもなく、やや不自然な手つきで追うのか・払うのか している。

彼女に対抗するのが、芦雪の『美人図』。
机に向かう唐美人。しかし前期の『唐美人図』の方が私は艶かしくて好ましい。
とはいえこの美人もそれこそ<雲鬢花顔>なのである。
鏡を見るともなしに見ているような、物思いに耽っているような・・・

しかし何より『大原女図』にクラクラッとなった。
アタマに柴など乗っけて手甲脚絆も甲斐甲斐しいのが、こちらを見ている。
朱唇の隙間の闇。軽くひそめた眉、切れ長の二重の眼は妖艶としか言いようがない。
こんな大原女がいると周囲も困ったのではなかろうか。
髪のほつれがまたなんとも言えず、艶かしい。
いい女だなぁ・・・多分、低い声の女だと思う。(思いたい)
img549.jpg


こういういい女ばかり見ていると「喝!」が来る。
『波上白骨座禅図』応挙 いきなりホネです。リアル・ホネ。白骨座禅と言うテーマは江戸文学や宗教的な伝説の中にも色々書かれているし、ずっと後年河鍋暁斎も竹内栖鳳もホネダンスを描いている。虚しさの象徴なのか、道心堅固なのか、ただのホネ好きなのかは知らない。

次は子供。『芭蕉童子図』応挙 こちらは大乗寺の金色の襖絵のフルカラーとは違い、シブい墨絵と淡彩。葉陰にいる子供の眼差しが可愛い。

『唐子琴棋書画図』芦雪 前期に出た無量寺の襖絵で墨絵の『唐子遊図』から数年後のカラフル屏風は、そうそういたずらもしないし、むしろ静けさを感じるほどだ。
左手に赤い糸をつけて幼児を用心しながら<寿老人>を描く子供の横顔を見ると、なかなかの美童だと思う。 
そのそばで書き上げられた書を持ち上げている子供、この子は前回の居眠る友達の頬に落書きするあの子ではないか。麻呂眉に覚えがある。
賢そうな女の子たちの見る前で碁石を隠す男の子。そして追いかけっこをしてシモテへ消え行く子供たち・・・
金粉の流れが、この情景を現実から乖離させている気がする。
つまり、無量寺のは寺子屋風景みたいなもので、先生がいない間にめちゃくちゃ遊んでいる、と言う感じがあるのだが、この屏風はそうした背景と言うものを一切排除しているように思う。ただ、左端(しもて)にいる子らはそのまま二度と戻らないように思うのだ。
何かしら不思議な感覚を覚える屏風だった。

『陶淵明図』芦雪 <拙ヲ守ッテ田園ニ帰>ったのはいいが、先生きこしめしすぎ。
「おーい、まだ足りねー」とか言いそうなオヤジさんにしか、見えない。
そして後の松の枝の腹にパンダのような柄がある。中国だなぁ。

『山姥図』芦雪 帯に<花>と<月>の字が見える。着物も裾に桐や菊がある。しかも唐草も。昔はきっとええべべに見合うた山姥だったのかもしれない。
『やまんばのにしき』という昔話もあるくらいだし。しかし今は怪優・伊藤雄之助みたいになっているが。(あたしも古いな)
ところでこの絵は厳島神社蔵なのだが、'05の正月に災害復旧祈願の特別展が奈良であり、展示はされなかったが絵葉書の販売をしていたように思う。

『七難七福図』応挙 は福寿の巻が出ていた。前回も書いたが、模写ではあるが私は全巻見ている。しかしやはりこうした公の会場では、展示しないほうがいいようにも思う。
世相も暗いし。伊藤晴雨もびっくりな情景もあるし。
で、この福寿の巻だがこれは今春、京都文化博物館の『京の食文化』展にも展示されていた。めでたさでぬりかためよう。

『紅葉小禽図』応挙 大体こうしたタイトルは箱書きに書かれて決まるわけなのだろうが、円山派はこのタイトル作品多すぎるのだ。いやとにかく本当に。
(何しろ翌日逸翁でも同じタイトルの絵を何枚も見ているし)
パターニングされているから仕方ないとは言え、本当に多いので、区別どうしてるのか気にかかるところだ。クリックしてください。
img552.jpg


それはさておき、この分は四十雀が腹を見せている。こんな構図初めて見ました。
なんかすごく可愛い。撫でたくなるくらい可愛い。

『芭蕉図』応挙 小さな襖。金に緑の大きな葉。これが拡大化すると大乗寺の襖になるのかもしれない。三井記念館蔵だが、三井と応挙の関係を考えると、描かれた当初から動くことなく三井にあったのかもしれない。南か北かは知らないが。

ところで道草だが、前期に出ていた応挙のわんころべえたち(高津古文化蔵)あやつら、去年出雲伝承文化館まで出開帳(!)に行ってたようだ。チラシが出てきた。
どこででもスヤスヤ寝てるみたいです。

『朝顔図』応挙 青くてとても綺麗な朝顔だ。江戸時代朝顔の品種改良などが進み、色んなオバケ朝顔が生まれたそうだが、こんなシンプルな朝顔が一番いい。
そういえば『天上の青』という小説もあったな・・・
img553.jpg

三年前、会社で朝顔を育てたら、日当たりがよすぎたか巨大化して、一階の窓ガラスを割ってしまった。花の直径は大きく掌を広げてきっちりくらい。こわかったなぁ・・・

『鵜飼図』芦雪 鵜飼遠景。烏鷺(白黒)でなく烏鵜な黒々とした姿。夜間勤務ですわな。
働くオジサンと鵜たち。(関係ないが関西人は1文字発音が出来ない。ウは宇宙のウではなくて←レイ・ブラッドベリ 鵜はうぅ・手はてぇ・蚊はかぁである)
「鵜は鵜匠の弟だ」とある鵜匠が言ってたが、鳥と人とはいえ信頼感が伝わってくる絵だった。

『龍図』芦雪 前期のトラのツレ。勢いがあって実にいい。トラちゃんには可愛らしさがあったが、この龍にもそれがある。しかし目や鼻は意外に鋭い。力がみなぎっている。

『猛虎図』芦雪 京都の鐡斎堂さんは本当にいい絵を沢山持ってはります。前回のズンとしたこって牛もそうですが、この墨滲みに目だけ黄色い張子の虎 みたいなトラちゃんも可愛いて仕方ないです。やん、咆えなや。可愛い??
丸く寝そべるトラちゃんの絵もあるが、こちらは毛並みが可愛くてリアルで、巨大猫じゃらしで遊びたくなるくらいだ。

『月竹童子』芦雪 童子って言う割には『一休宗純似絵』かナガブチツヨシみたいな奴だな。・・・もしかして寺院の方の意味での<童子>か?いや、中国風な風体か。とすると寒山拾得の同類?どうもよくわからない。

『竹に月図』芦雪 155cmらしい。長???い(ローカルCm by京都銀行)

『薔薇図』芦雪 猫の可愛いこと。リアルな動き。師匠も弟子もこぞって隣家のわんころを描いたけれど、実際には応挙は猫と暮していたそうな。それがこういうときのリアリズムになるのかもしれない。

『群猿図』芦雪 芦雪の猿は狙仙の猿と違い、妙なトボケ顔をしているのが多い。なんていうかサルノコシカケとか猿酒とか拵えそうな連中。モンキーカンパニー。

『厳島八景図』芦雪 そのうちの鹿の絵が特に気に入った。わたしは厳島に行ってないからよく知らないが、ここも奈良と同様に鹿の国なのだな。走る鹿の群がなにやら影絵のように薄れてゆくのがいい感じだ。一方くつろいだりツノ合わせする鹿もいるし。なんとなく楽しい。

『方広寺大仏殿炎上図』芦雪 これは大倉で展覧会があって、そのときに見たものだ。
コレクターの人が出してくれたのだ。一旦表に出ると、わりとツアーするものだ。
墨と朱のにじみ具合がやっぱりいいと思った。

『昔噺図』芦雪 これはあれだ、「おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」だな。ただ、咲いているのが桃なのか山桜なのかよくわからない。
どちらにしろ春の日ののんびりムードがよく伝わってくる。

『大瀑布図』応挙 ・・・ああ。この絵はかつて大阪の萬野にあったのに。
『萬野美術』として篠山紀信が萬野の美術品を萬野山荘で<自然>とコラボレートさせて撮影した展覧会がある。そのときこの大きな滝は滝のすぐ横の芒との間にかけられていたのだ。みごとな情景だったなぁ・・・
img554.jpg

前後期を見れて、本当によかった。
すごく満足した。こういう展覧会が来年もありますように・・・・・・。
雨の中次々やってくるお客さんたちみんなも満足しているようでした。
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