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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

京の風雅

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(逸翁美術館門前)
奈良で『応挙と芦雪』展が開催されていた頃、池田の逸翁美術館でも『京の風雅』展が開かれていた。
逸翁・小林一三は昭和の大茶人として名高く、そのコレクションもすばらしい。
雅俗山荘を美術館に転じたので、洋館に京都画壇の絵画や京焼が飾られていて、それがとても素敵なのだ。

玄関すぐには応挙の『月雁図』がある。月に飛ぶ雁一羽。味わい深い作だった。
左手第一室には応挙『雪月花』がある。これは早春の情景で、雪に埋もれた梅のつぼみはまだ固く、月の光は薄く青い。
そしてその同じガラスには古清水色絵花文暦手四方水指がある。
古清水のわりに赤がよく出ている。千代紙に似たような柄のものがあり、わたしはそのことで嬉しくなった。

向かいのガラスには応瑞の『藤花図』と、本居宣長の賛が入った『朝顔図』。
朝顔の賛はこうである。img560.jpg


われはまだ かがみも見ぬを いつのまに つくろひぬらむ 花のあさがほ

藤花図は、先ごろ改修工事のため3年間休館する根津美術館に、応挙のそれがあり、多分この絵はそれを手本に描いたように思われる。
花の房のリアルさと枝と蔓の画法・付立法とたらしこみ それが共通している。
弟子たちは皆師匠の手を真似し、そこから修行が始まるのだった。
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(師匠の藤)

呉春と景文がある。
『松下遊鯉図』と『岩上孔雀図』は対幅だったそうで、逸翁の下でやっと再会したそうだ。
どちらも墨絵に近い作品で、淡彩が施されている。

『秋夜擣衣図』は俳味漂う絵で、月下に農婦がトントン砧を打つ音が聞こえてくるようだった。

景文の『菊花図』は三幅対で、チケットに使われている白菊のほかには、紫のデイジーのような菊、黄色や薄紫の小菊たち、などである。
シンプルでとてもきれいだった。
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(第二室の吹き抜け空間)
階段を上がると、狙仙の『雪中燈籠猿図』がある。
寒いので何基かある燈籠の灯りの空間に猿たちがお篭もりしている。
2,3匹ずつ。雪を松から下がる蔓で払おうとする猿の手が可愛い。ちょっと哲学的な猿もいる。

徹山の『雪中南天図』 雪の中にぽちぽちと赤い実が見える。ぽちぽちだからきれいなのだ。これが雪を割っていたら案外よくないように思う。

応挙の弟子の中でも美人画に長けていた源の和・唐美人それぞれがいる。
『玄宗楊貴妃弄笛図』 二人並んで座って仲良しさんしている。着物の裾にもきれいな模様が入っている。沓はお揃い。

『大石良雄図』 これは奈良展に出た師匠のを写したようだ。着物の柄も同じ。夏なのか涼しい姿。共に眺めると微妙な違いを感じて、なかなか面白い。


奥文鳴という絵師は知らなかった。
『花鳥図』三分割された構図。上にはバラの木と四十雀。中には色鮮やかな金ケイ鳥、下には白い<長春花>と雀たち。
この構図は弟子たちの間で流行っていたのかもしれない。

狩野派の養子から円山派に入った東東洋は別名「白鹿園」と名乗ったほど鹿が好きらしく、『雪中鹿図』を描いている。可愛い鹿の目。なんとなく陶板で欲しくなるような作品。

『古清水籬椿文手鉢』 青い椿がとても綺麗だ。見込みに青い椿が二輪・・・いいなぁ、欲しいと思うような綺麗な椿だった。

『酔美人図』山口素絢 二人の美人が酔って崩れている。手前の女は暑いのか胸を大きくはだけているし、後の女もにやにや笑っている。
二人の会話がはっきりと聞こえてくるようだった。

わんこ登場。img559.jpg

『降雪狗児図』芦雪 粘り気のある絵の具で描かれたわんこ。とても可愛い。
こちらはにゃんこ。
上田公長の猫はしなやかで若い猫。表装の中廻しが鹿の子の着物を使っている。いい感じだ。猫も表装も。
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応挙や蕪村、池大雅らと仲良しさんの張月樵ゑがく応挙肖像画。人柄のよさそうな丸まっちぃオジサンの姿がそこにある。

数年前、クラークコレクションで牛の背に乗る子供の絵が人気だったことを覚えている。
描いたのは上田耕冲。ここにも似たような絵があった。
『桃花牧童図』牛がこって牛系なのは芦雪と一緒だ。
絵はクラークコレクションから。
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クリックしてください。

絵はこれくらいにして、京焼に移る。

家庭画報という雑誌がある。
休憩室には色んな本があるが、いきなりそれがおかれ、あるページが開かれていた。
逸翁美術館の焼き物に、辻留がお料理を載せていた。

つまり、湯木美術館でも見たように素敵なコレクションを使っての懐石なのだった。
しかしのっけから乾山にニヌキとトマトとは、なにかの判じ物かと思ってしまった。
わたし、この二つを見ればサンドイッチを作りたくなるな。

雑誌を見ると、この展示に現れた乾山の器が色々と使われていた。
http://www.kateigaho.com/backnumber.html
ちょっと面白いと思った。
普段無縁な雑誌だが、なかなか素敵な記事が多かった。

さて仁清。柚香合。白くて可愛い香合。小さな葉っぱがついている。少しひしゃげているので、柚子と言うよりミカンに見える。
乾山より今回は道八が多かった。
黒楽鶴亀文茶碗などは、外に鶴が描かれ、茶を喫した後に内側に亀が現れるという趣向だった。
結び文、武蔵野図、桜など、道八のさまざまな器が並んでいる。
雲錦文(桜と紅葉が共に描かれている)の鉢もとてもきれいだった。

また、乾山写しで銹絵雪笹文手鉢も拵えたか、これもよかった。乾山のは湯木にある。
道八は景文と仲良しさんだったか、彼に絵を描かせて自分が焼いた酒次と猪口があった。

他にも古清水で透かしの入った扇状の重箱などもあり、見て回るのがとても楽しかった。
いつきても逸翁では幸せになるのだった。
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コメント
遊行七恵さん、こんばんは。奈良の回顧展で芦雪の“降雪狗児図”が観れることを期待したのですが、所蔵する逸翁美術館の企画展と重なっていたのですね。とても残念です。

昨年9月あった“琳派と文人画展”をみるため、ここを訪問しました。噂に聞いてましたが、流石、質の高いコレクションでした。また、いつか出かけたいと思います。
2006/12/06(水) 16:48 | URL | いづつや #RK0OJ0uw[ 編集]
いづつやさん こんにちは
そう、雪のわんこは池田にいたのです。出張ナシ。
去年のあの展覧会は蕪村の初公開の絵もあり、いいものでした。
池田は大昔から開けていますので、色々面白いものもあります。
落語の「池田の猪買い」もここのことです。
またおいでください。
2006/12/06(水) 20:31 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
この建物に、雅な絵がかけられている様子、和洋折衷のいい感じですね。
応挙師匠の藤、五月に根津がお休みする前に見てきました。
こんな建物の中で、どんな風に展示されているのか、とっても興味津々となりました。
芦雪の動物は、なんかいい感じですよね。動物好きでしか描きようがない雰囲気が伝わります。
2006/12/07(木) 22:07 | URL | あべまつ #-[ 編集]
あべまつさん こんばんは
ここの芦雪と応挙はほのぼの系でした♪
お庭もいい感じですよ、お庭は和風。お茶室もいくつかあり、洋館と廊下伝いに続く茶室は『即庵』。畠山一清による扁額がかかっています。他にも近衛公ゆかりの茶室『費隠』や松永耳庵とも縁深い『人我亭』などがあります。
鈍翁の後の世代での大茶人・逸翁は合理主義精神の人なので、独自の美意識で洋食器なども茶事に使ってはりました。
茶会記の再現も展覧会では行われているので、それを見るだけでも楽しいです。
今回は不昧公の箱書きを見ました。
2006/12/07(木) 23:41 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
お世話になっております 明日渡阪予定でございます

明日午後 仰せの逸翁さん拝見しまして
どこぞで湯豆腐か何かで一杯やって仮寝
明後日の午前に大阪市立を観て 本年の遠征試合終了です
眼目は四条・円山ですが 別項 池田文庫も宜しそうですな
吾妻のうどんまで メシ(失礼)我慢できますかな
(大盛にしないで 「おやつ」にすればいいか・・・)

それでは ご自愛ご健筆を
(さて 「しばわんこ」に 間に合うか?)
2006/12/08(金) 19:41 | URL | TADDY K. #1xXJNkSU[ 編集]
TADDY Kさん こんばんは
こちらに来られるのですか。ちょっと明日は雨ですが明後日はええお天気だといいます。やや寒くなりそうなのでお風邪などに気をつけて。
池田文庫の展覧会は先週で終わったのですよ~~残念。
逸翁と吾妻うどんの距離について。
阪急池田の商店街をずーっと歩き、呉春の蔵元が見える地点で一旦立ち止まりますと、眼前に呉春と五月山。右手に職安の道。そこから標示に従えば逸翁。左手のアーケードのない工事中の道へ向かえば吾妻うどん、途中に辰野金吾の建てた銀行(現・絨毯屋)、映画館があり、横断歩道に出て右前にあるのがそれです。

大阪市立美術館には明日行きます。あそこの地下のレストランも好きです。特に煮込みうどんが。(以前は味噌煮込みがありおいしかったけど今はない)
でも今回はあべのHOOPで中華食べてきます。

みけにゃんこのように何もしない遊行でした。
2006/12/08(金) 22:18 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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