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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

宝塚歌劇と民俗芸能

逸翁美術館からすぐ近くに池田文庫がある。
ここには映画・演劇の資料が集められ、東の早大演劇博物館・松竹図書館と共に日本三大博物館のひとつなのである。
上方浮世絵も多く蔵しているが、今回の展覧会は日本各地の民俗舞踊を集めたものだった。

宝塚歌劇はミュージカルとレビューの二部構成である。
演目は多岐に亙り、決してあきさせない。
ニガテなひとはともかく、ファンには夢の世界なのだ。
P0976.jpg


欧米が舞台のもの、インド・アラブに材を求めたもの、日本の王朝もの、それらが最近の大勢を占めているが、五十年前には日本各地に残る民俗芸能を採集して、それを宝塚風にアレンジもした。
最近では二年前のベルリン公演でそのレビューを披露したと言う。
ベルリンは1920年代、世界一のレビューの聖地だった。
ジョセフィン・ベーカーが大成功を収めたのもベルリンだった。
80年経って、宝塚歌劇がそこでレビューを魅せた。

弧状の日本列島には各地、さまざまな風俗が残っていた。
今では失われたものも、五十年程前にはまだ世に在ったのだ。
それを宝塚の文芸部の人々が精力的に訪ね歩いて見聞した。
歌劇の幅を広げるための採集だったが、結果的に失われゆく日本の民俗芸能を記録に残す作業になった。

以下は池田文庫のサイトから。
宝塚大劇場の1956年4月公演「春の踊り」は、九州地方の棒踊りや臼太鼓踊りなど、現地で取材した芸能が織り込まれ大好評でした。それが一つの契機となり、2年後、宝塚歌劇団内に日本民俗芸能の舞台化と記録保存を目的とした「郷土芸能研究会」が誕生しました。
 研究会は全国各地に出向いて、調査取材し、現地のオリジナルを活かしながらレビュー化に取り組みました。その成果は、「鯨」にはじまり、「火の島」や「ユンタ」など、20年で22作品となって実を結びました。
 一方、取材した民俗芸能資料は、映像テープやスライド、聞き書きや印象メモなど膨大なものです。これらを池田文庫が所蔵することになり、整理を進めてきました。中には既に消滅した芸能もあり、取材資料はいまや貴重で文化的な財産として価値が認められています。
 今回の展示は、膨大な資料の中から宝塚の舞台化へと結びついた民俗芸能資料を初公開いたします。宝塚歌劇を通して全国各地の民俗芸能をご覧ください。



会場ではまず日本地図があった。そこに採集した民俗芸能の名称と地名が書かれている。
宮沢賢治の世界でなじみの深い鹿踊り、剣舞(けんばい、と発音する)、鯨の太地、祇園祭にゆかりのある鷺舞、薩摩に伝わる疱瘡舞、琉球の祀り…
それらの克明な記録(写真と動画と文章)が展示されている。
そしてそこから歌劇にふさわしいものを抽出して、レビュー化した経緯と努力も明らかになる。
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クリックしてください。


VTRが流れている。30分に編集されたもので、捕鯨を芸能化した和歌山各地の踊り、久高島のイザイホー、鷺舞などが記録されている。
そしてそれらを基にした宝塚歌劇のレビューも流れる。
たいへん意義深い、そして重要なフィルムだと思う。
特に捕鯨の踊りには感銘を受けた。
日本の文化よ蘇れと声を大にして言いたい(涙)。

イザイホーは星野之宣の『ヤマタイカ』で主要なシークエンスとして描かれている。日本人はどこから来たのか、どこへ行くのか。
壮大な物語の始まりと終わりがそこにあった。
そして今、とても丁寧な祀りだと映像を見て思う。
神女たちの行列、朝と昼と夜、家への訪ない、そして。

さまざまな神事が日本にはあるが、このイザイホーと能登のアエノコトはいつ見てもなにやら背筋に這うものがある。

記録されていたものからレビューに展開したのは他にお田植えがあった。
(これも考えれば、田植えの弁当運びの早乙女は必ず不慮の死を遂げるという決まりが怖いのだが)

レビューになったもので一番よかったのは、捕鯨だった。
薄い紺色の布の鯨を被る踊り手と、勇魚(イサナ)、まさに鯨はイサナなのだ。そしてそれに挑む人々の勇気と気合が舞台で見事に描かれている。
鯨が倒されると、薄い布は舞台の奥へ流れ行く。中の踊り手は今では他の踊り手と共に喜びを示す。
巧い演出だと思った。音楽はジャズ調で、イキイキと跳ねるようだった。
そしてその後に浜での喜びなどは、民謡がアレンジして使われる。
宝塚歌劇はすべてを吸収し、すべてを夢の世界へと変身させる。
あまりに面白くて、二回見た。
今では多分、国内の舞台では見れないだろう。
本当によかった。

機嫌よく出てから、天保年間に創業したうどん屋へ向かった。
昔は一軒家だったが今ではビルだ。うどんビル。屋上にはどんぶりを伏せたようなドームがある。
吾妻うどん。
そこのあんかけ・ささめうどんが大好きなのだ、わたしは。

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コメント
私は宝塚歌劇の実際の舞台を見たことはないのですが、BSで放映される舞台の様子はよく見ています。
『ベルサイユのばら』『ルートヴィヒ2世』『王家に捧げる歌』のような華やかな歴史物が好きです。
ただテレビでは『エリザベート』が放映されないのが残念です。
(著作権の関係でしょうか?)
>二年前のベルリン公演
以前BSで見ました。オープニングが沖縄のエイサーをもとにした華やかな踊りだったことを覚えています。
レビューではやはりロケットが好きです。あの「ヤッ!」という勢いのよい掛け声と共に繰り広げられる一糸乱れぬラインダンスはとても素敵です。
2006/12/07(木) 22:53 | URL | 千露 #GyvMcuCk[ 編集]
千露さん こんばんは
わたしはご近所さんなのでチケットが手に入れば喜んで見に行きます。やっぱりヨーロッパが舞台の作品の方がドラマチックで華やかで、楽しいです。
>ただテレビでは『エリザベート』が放映されないのが残念です。
(著作権の関係でしょうか?)
多分そうなんでしょうね。
とてもきれいでした。トートはやはり男優さんより宝塚の男役の方のほうが神秘的だと思います。
ああ、エイサー見られたのですか、いいなぁ。
元気がよくて楽しくて、いいですよね。

実はわたしの一発芸は宝塚の男役さんなのでした。
あの発声法で『愛それは』を歌うのでした。
2006/12/07(木) 23:46 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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