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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

大阪人が築いた美の殿堂

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(大阪市立美術館・正面入り口へ)
何年間かごとに、大阪市立美術館では名品展を開催する。
’96 美しの日本・崇高の中国
’98 咲くやナニワ津
近年で大掛かりなのはこの二つの展覧会で、あとは常設展の入れ替えなどで虫干しがてら展示している。

膨大な数の所蔵品をいかに展示するか。
集客率や宣伝効果など色々なことも考えねばならない。
京都市美術館は永い間殆ど宝の持ち腐れ状態にあった。
しかし数年前からコレクション展として、年に数期ずつテーマごとの展覧会を作っては、なかなかの成果を挙げている。
大阪市も大いに見習わねばならない。
どちらの市も不要なことにばかり金を使い、必要なところに厳しいのだが、そろそろ考え方を改める時期を迎えている。


大阪市立美術館は天王寺公園の中にある。
複合施設である天王寺公園には動物園もあり、住友家から寄贈された庭園・慶沢園けいたくえん などがあり、その昔真田幸村が奮迅した茶臼山も圏内にある。
考えれば大坂方が夏の陣で敗れ、天下が江戸に移行して、上野に東叡山も出来たのだ。
… …
とにかく、気を取り直して天王寺の美術館へGO!
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(この中にあるのだ)

大阪人が築いた美の殿堂 館蔵・寄託の名品から
http://osaka-art.info-museum.net/special017/denndou/spe_dendou.htm
img563.jpg


天王寺の美術館のスターといえば『星を見る』女の人だ。
北野恒富のあっさりした美人。
わたしは彼女が好きで、一緒に物干し台にあがって夏の夜空を眺めたいと思う。しかし今は冬だ。冬の北斗…北斗は冬だったっけ?
冬はオリオンが美しい…(by諸星大二郎)
彼女と一緒に見る星がなんなのかは、今のところ未定。
ついでにいうと、場所も未定。
それどころか、実は展示換えになり彼女とは会えなかったりする。残念。

ところで500点も展示するのでいくら前後期入れ替えとは言え、書ききることはおろか、見ることも途中でへたる可能性がある。
で、リストはアクロバットリーダーで転写しにくいし、向こうがくれるとはちょっと思えないし…(100円で販売していた)→(図録購入者はプレゼント)←ほっといたる??

ところでこちらのサイトには場内写真もあるのが嬉しい。
http://plaza.harmonix.ne.jp/~artnavi/05-artscene/00-mus-exhibition/181102-osaka-binodendo/02osaka-binodendo.html
img564.jpg

クリックしてください。
わたしは仏像関係がニガテなのだが、いくつかじぃっ とみつめる対象もあった。
奈良薬師寺の地蔵の円満な顔がそれだ。上記のサイトにはその写真がある。
薬師寺か・・・すぐに『凍れる音楽』という言葉を思い出すが、そこにきこんな柔和なお地蔵さんがいてはったわけです。いつから大阪にいるかは、あえて聞かないことにしよう。

四天王のベルトを噛むのは獣なのかなんなのか。
わたしは四天王や十二神将が好きだ。多分、衣裳とかで。
12の神将はそれぞれ干支の動物をモチーフにした装飾品をつけている。
ここにいる四天王はなにをモチーフにしているのか。
それにしてもなんだか横山光輝の三国志や殷周伝説辺りに現れるようなスタイルに見える。
(どちらが先か後かは考えない)

螺鈿の箱がいくつかあるが、梨地に細かな・濃やかな意匠が施されている。昔のひとはそんな装飾を愛でたのだ。装飾ナシならとても淋しいだろう。逆にうるさいと思うことがあっても、日々眺めるうちにそれが自然なものになるのだ。それが日常品であれ、神仏への供え物であれ。

青銅器と堆朱などがあった。景徳鎮の水差しもある。
これらはおなじみなので、ちょっとだけ目礼した。

中国彫刻のコレクションは夙に有名だが、改めて仏頭の並ぶ情景を見ると、なんだかこわい。
だからパスして、小さな像を見る。写真にもある『太子半跏思惟龕』は北魏の時代に生まれた。
シッダルタと愛馬カンタラの別れを描いている。
馬と主人の別れといえば昔なら塩原多助だな。「コレ青よ、よく聞けよ・・・」
それから√悉達太子と別れたる 車匿童子の悲しみを??
・・・しばらく歌舞伎も文楽も見ていないな。

ある三尊像の裏には木を境にした二体の半跏思惟の仏がいる。これは意味の深い図像に思えた。
とはいえ、仏伝や説話とは違う話で、諸星大二郎の『孔子暗黒伝』でのリグ・ヴェーダのなぞなぞを思い出したのだ。
この木は知恵の木、木の実は知識なのかもしれない。

仏画を眺める。今回、かなりマジメに見て回った。
国宝の六道絵『念仏証拠』が面白かった。
地獄の図で、釜茹でされていた罪人が南無南無と念仏を唱えると、地獄の釜が割れて熱湯が外へダーーッ(猪木ではないけど)。
しかも罪人たちは首から下が蓮華につつまれている。天使の種類で何番目かの位の<顔に羽根>のあれと同じ。
釜が割れてびっくりしてるのが鬼たち。
地獄に鋳掛屋はいるのだろうか。余計な心配をするほど、鬼たちは焦っている。

『太子孝養図』 16歳の厩戸王子。美少年でした。そればっかり集めての展覧会がみたいものだ。古代から現代へとか題して、守屋多々志に山岸涼子までの美少年・厩戸王子を集めるのだ。
絶対楽しいと思うが、まずむりですね、はい。
羅漢絵も当然あるが、トラと仲良しの羅漢がやっぱり気に入った。
今になって言うのもなんだが、前期の方が私の好みの作品が多かった。しまった という感じ。

『當麻曼荼羅』があった。中心部に三尊がおわし、周囲には物語もある構図に変異はない。
その隣に『兜率天曼荼羅』があり、二つ眺めると、極楽はアミューズメントパークなのだと言う感慨が湧いてくる。絵としては地獄図の方が面白いのだが、地図または案内図と言う視線で眺めれば、境内図と曼荼羅はわくわくしてくる。そんな要素がある。

『涅槃変相図』元代と『涅槃図』南北朝が並んでいる。ああやはり違うな、と言う感じがした。とはいえそんなに時代もかけ離れていないのだが、海を越えると意識が変わるのが実感できるような<違い>だと思う。蓮の葉っぱのような耳の象も青い唐獅子も泣き喚いているが、この違いと言うのは文化だけではないのかもしれない。

四天王寺の『釈迦八大菩薩像』は1587年の朝鮮製だが、この絵がどういう経緯で日本へ来たかはなんとなく想像が・・・しかし民画と仏画を描く絵師は当然別々だったはずだが、なんとなくほのぼのトボケた味わいがあるのは共通しているように思う。
はっきり言うと、可愛いのだ、ほとけさまたちが。

近世絵画へ。
土佐の源氏物語図があった。他にも桃山時代の源氏絵屏風。
藤壺や箒木などの情景のほか、明石などがある。
しかしこうした平安貴族の優雅遊びより、町衆の楽しい遊びの方がわたしは好きだ。

金地院所蔵の『日吉山王祭礼図屏風』 神輿が沢山出ている。人も大勢。ところが左端の神輿には本当に山王さんのお使いの猿がおる。作り物なのか、神様のお使いとしてよばれたのかは、わからない。

『藤袴図屏風』 対青軒の印がある屏風だが、これに再会できて大変うれしい。
金地にキラキラ煌く金粉がはしり、無限に藤袴が咲いている。
夢幻のような心持ちがする。
今年の二月、パークコレクションで大麦図屏風を見たが、それを知る人には伝わるような気がする。なんだか中空を飛ぶ気分。

時々みかげる光琳の図案集も出ていた。
こういうのを見ると、やはり光琳と言うのは稀代のデザイナーだったと思い知る。
服飾・工芸・パーティ、トータルデザイナー光琳。

岸駒の『牡丹孔雀図』の牡丹は異様にリアリズムで、正直言うと気持ちがよくない。
違和感がある。しかし孔雀も細密描写なのだが、こちらはそうそう異様さもない。
ちょっと言葉に出来ない何かがここにある。
天明五年、何があったのだろう。

抱一『牡丹』 白牡丹。シンプルでそしてとても綺麗だった。

『春秋遊楽図』 これがかなりあぶないのだ。わりと女の少ない遊楽図。色子に戯れる僧兵。
ご主人の特別な注文。機嫌よく眺めていたのだろうな・・・  わたしもやけど。
しかし碁でケンカしたり、座頭四人が一枠に納まってなにやらゲームをしていたり、どちらかと言えばナマナマしい内容だった。

カザールコレクションという凄いコレクションがある。小さな根付やなんだかんだと幕末から明治の職人の精緻な技を集めに集めたモノスゴイ・コレクションなのだ。
あんまり凄すぎてどうのこうの書けない。
小さくて可愛くて精巧なものが好きな人には垂涎もの。
親指の爪の大きさで小宇宙があるのですから。

洋画や日本画もあったが、最初にあげた『星』がなくて淋しいのと、やっぱり前期の方がよかったみたい、と言う感じが強い。
なんとなくここらははしょってしまおう。←あかんたれ。
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(美術館の側面)
窓の意匠もきれい。20061210193205.jpg
クリックしてください。
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コメント
光に目も眩み
お世話になっております
絵画と蒔絵(からみ)に絞り
端折りに端折って3時間余
絵画に一抹の食い足りなさあれど
(添付サイト観るに なるほど と)
蒔絵他の工芸品のコレクシオンは
謹んで御礼を申し上げたい

極私的3傑
①シャンデリア:やはり感動する
その下で闇市のようにお土産を売っているのが また絶妙な取り合わせ
②狩野探幽筆 「ウナギ龍」:
富士に雲龍と言えばでっかいのを想像
これは・・・直火焼きに包丁入れて
ネギと海苔をまぶして食いたいですな
③あえて岸駒「牡丹に孔雀」:
前夜 某横丁で玉ねぎのフライを肴に
麦酒を飲み過ぎた身には
いい覚醒剤でした(絵としてのつりあいは ご指摘の通りかも)

諸般の事情で うどんが次回になってしまいました 呉春さんの梅図は
補修の必要あるらしく 再来年以降の展示らしいですな
ああ あんかけうどん それでは
ご自愛ご健筆を
2006/12/13(水) 20:52 | URL | TADDY K. #1xXJNkSU[ 編集]
TADDY Kさん こんばんは
おお、端折っても3時間余!
わたしもあそこのシャンデリア好きですが、下の闇市・・・には爆笑です。
いや確かに、ホンマに。
ウナギ、ネギと海苔ですか。むふふ。
わたしは白焼きをショウガ醤油で食べたいです。オリーブオイルで炒めて塩焼きもいいかしら 
って、探幽泣きますね。
あの牡丹の不気味さはなかなか意識から剥がれませんね。
それも力なのでしょうね。

池田も行かれましたか!
呉春の梅の屏風は静かでいいものです。また出るときにぜひぜひうどんを付けてツアーなさってください。
2006/12/13(水) 22:10 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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