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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

谷内六郎の軌跡

阪神百貨店で谷内六郎展が始まった。これは今年の二月に横浜そごうで開催されたものの巡回展だ。今が十二月だから、赤ちゃんが生まれてくる時間くらい、待ったわけだ。
谷内六郎の没後25年を記念して・・・ え゛? ・・・そんなに歳月が?
亡くなったときを覚えている。しかし作品はわたしも世間も忘れていないから、そんな歳月がたっていたことに、驚いた。
チラシを見比べよう。
こっちがそごう。img577.jpg

キャッチコピーは「誰もが胸ふるわす 郷愁の想い」
阪神はこう書いている。
「こどもの頃に出会った、懐かしい風景がよみがえる」
img578.jpg

サウダーデか、ノスタルジィか。ニュアンス的に後者なのだろう。
確か急逝後、甥っ子の谷内こうたさんが続投していたと思うが、今は又違う。

ノスタルジィだけでなく、メルヘンが溢れている。
たとえば『髪の毛スキーヤー』 ちょっちょっと切られた髪の落ちる流れをゲレンデのスキーヤーのようだと空想する女の子。
それから『珈琲カップ』 おもちゃのお人形たちを家の珈琲カップに入れて、遊園地のそれを思う女の子。この絵を見て、わたしも帰宅したらやってみようと思った。
img579.jpgクリックしてください。img580.jpg



谷内六郎に比べてあまり名を知られていない絵本画家に茂田井茂という人がいる。
少し前にちひろ美術館で回顧展もあった。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-635.html
この人の空想と谷内の空想とは似ているように思う。子煩悩だということも共通している。
そして一見「心が和む」ようでいて、ふと冷やりとした恐怖を感じるところもまた。

映画『鬼畜』ポスターがあった。
この映画を見て以来、アタマから離れなくなっているシーンがある。
東京タワーで置き去りにされる幼女。逃げ出す父を振り返る目。そしてようやくタワーから離れて振り向いた男の目に、ライトアップされる姿。
まだある。
男の子を崖下に<手放す>落ちてゆく子供。そしてその後・・・
その映画のポスターを谷内は描いている。
三人の子供がブランコに乗る姿がある。次には子供は二人になり、最後には一人になっている。
ただただせつなかった。

わたしは夜を描いた絵が好きだ。特に童画のそれには、深い興趣を覚える。
谷内六郎の作品も夜を描いたものが特に好ましかった。
ただしそれは個人的趣味。
よい作品は他にも沢山ある。
しかしわたしは好きだ。
img581.jpg


みんながみんな、それぞれの一枚があると思う。
谷内六郎の作品にはそうした広さ・豊かさがある。
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コメント
谷内六郎の世界
横浜美術館に「横浜、そしてパリ  銅版画家 長谷川潔展 作品のひみつ」を見に行った帰りに、横浜そごうに、寄りました。

鬼畜は松本清張ですよね。昔、本を読んで、背筋がゾクゾクした事を思い出します。ポスターは記憶にありませんでした。

某掲示板に「私の年代は、谷内六郎の描く世界を実感できる、最後の世代かなぁ、という感じがしています。」と、コメントしてました。
2006/12/16(土) 00:48 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
鼎さん こんにちは
谷内六郎は日本人のイメージする「古き良き時代」を描いた人ですね。
実感からは少し外れるかもしれませんが、「わかる」感覚はあります。
それだけでも幸せな気がしますね。

長谷川潔は京都国立近代美術館で回顧展がなければ、今日のような人気はなかったそうです。

こうして考えると芸術とは一体なんなのだろうと・・・

ところでわたしは見出しを読むのが大好きなので、木曜の朝刊が嬉しいです。新潮と文春の見出しを比較して楽しんでおります。
2006/12/16(土) 11:51 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
長谷川潔は若くして渡仏し、その後、戦時中も含めて一度も日本に戻らなかった人なので、日本では忘れられた人だったのでしょう。
最初に見つけたのは京近美で、横浜美術館は後だったようですね。ただ、横浜出身だったので、遺族から横浜に寄贈があったようです。
こんな事も、図録を読むまでは知りませんでした。
今春、京近美に行った時も、長谷川潔の展示がありました。

昨年から今年にかけて、フランス国立貨幣賞牌鋳造局が肖像メダルを発行した北斎、藤田嗣治、長谷川潔と、大規模な展覧会が立続けに開催されたのは、何かの因縁でしょうか。

夕方、コメント書いたら、途中で落ちてしまいました。似たような事を書いていたと思うのだけれど(笑)
2006/12/17(日) 02:03 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
鼎さん こんにちは
京近美は「自分とこが発見した」意識が濃いので、ほぼ年中長谷川の作品を展示しています。
わたしは『竹取物語』がかなり好きです。マニエール・ノアールでしたか、そうでない技法での作品なのですが。

>フランス国立貨幣賞牌鋳造局が・・
>・・・何かの因縁でしょうか
ふっふっふっ。ここで「答えはカネだー」なんて言えばシバかれますね。
しかしめでたいことだと思います。
ただわたしは藤田展のときにも思いましたが、再渡仏後のフジタは人物の口が固くと言うかきつく結ばれていることに、意味があるように受け取ってしまうのです。

夕方のコメントは未着だったみたいですヨ。
2006/12/17(日) 11:42 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
横浜の長谷川潔展では、館内スタンプラリーみたいなのがあって、全部回ると絵葉書をもらえました。
私は竹取物語の「御門の求婚」でした。

藤田は、あんなに人気がある画家だとは、思いませんでした。かなり早い時期にいきましたが、混んでました。
遊行さん好みでしょうか。日本画的ですよね。
> 再渡仏後のフジタは人物の口が固く・・・・
気がつきませんでした。でも、キリっと口を結びたい気持ちも、わからないではないですね。

谷内六郎、長谷川も藤田も、図録を買ってしまって、今年、増設した本棚がえらい事になっています。
2006/12/18(月) 01:06 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
本棚の恐怖
鼎さん こんにちは
いいなー長谷川の竹取絵葉書…
わたしは絵葉書コレクターなのです。
それぞれ分類するのが楽しい♪
藤田はグラン・ブランな頃がいいですね、猫と裸婦とか。エコール・ド・パリ真っ只中の時代の作品。
日本に帰らなければ良かったのに、と同情してしまいます。

書き損ねてましたが、谷内の『犬のいっぱいほえる日』は傑作だと思います。
2006/12/18(月) 12:33 | URL | 遊行 #-[ 編集]
私も、結構、絵葉書もっています。
図録が今一な時は、絵葉書を買う事があります。
ちょっと変わったところでは
ジャン・コクトー
エゴン・シーレの裸婦(3枚並べて額に入れたい)
以上は宮城県美術館で購入
谷中安規 これは京近美で購入
松濤美術館であった谷中安規展では、図録が売り切れで購入できなかった。

> いいなー長谷川の竹取絵葉書…
いいでしょう(笑)
京近美のショップにないですかね?
2006/12/20(水) 23:39 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
鼎さん こんばんは
長谷川の竹取・・・あればゲットしたいのですが、そもそもないんです、残念。谷中は奈良そごうの回顧展と、DO!FAMILYコレクションで手に入れましたが、特別展の絵葉書はそのとき限りなのがたいへん残念です。
京都本店の他に神田に出店している便利堂さんは契約している各ミュージアムのを特別販売しているので、行けないところのも色々手に入れましたが、いくらでも欲しくなるものですね、こればかりは。
2006/12/21(木) 22:43 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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