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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

松田権六の世界

松田権六の回顧展が東京国立近代工芸館で開催されている。
権六は蒔絵工芸に長けたひとで、その名を知らずとも作品は何かの折に目にしたことも多いと思う。
漆芸家というのが権六の肩書きなのだろうが、それだけにとどまらず見事な仕事を多く残している。

今回チケットはokiさんからいただいた。
わたしはこの、元は旧近衛師団司令部庁舎だった煉瓦の建物が好きだ。
だから行くたびちゃんと☆型をのぞきに行く。どこにあるか知る人は知るだろう。
正確には五線星型。


さて館内に入ると、えらくお客さんが多い。多いはずだ、この前日にTVで紹介されている。
サイトにはこう書かれている。
工芸界の巨匠松田権六は、近代漆芸に偉大な芸術世界を築き上げた作家であり、わが国の伝統工芸の発展にきわめて重要な功績を残しました。
 金沢に生まれた松田は、加賀蒔絵の伝統を踏まえつつ、正木直彦東京美術学校長や大茶人益田孝(鈍翁)との知遇、室町や桃山時代などの古典研究、朝鮮・楽浪漢墓出土の漆器や中尊寺金色堂をはじめとする数々の保存修復をとおして、漆芸の意匠や様式、広範な技法を鋭い洞察と鑑識とで解明し、自らの創作に応用、発展させました。その創作は、まさに近代漆芸の金字塔といっても過言ではないでしょう。
 本展覧会では、1.主要作品約70点、2.その芸術の形成に深く関わった古美術作品や師の作品、3.松田の芸術を現代に継承してきた作家らの代表作、を紹介し、これまでになかった構想で、松田権六芸術の真髄と現代漆芸に示した真価をご覧いただきます。


一通り見て回って、つくづく感じたことがある。
やはり工芸家には職人性も欠けてはならない。
自分の趣味・嗜好また志向に走るばかりではいけない。
鈍翁に認められたことも権六の芸術を大成させたのは確かだ。
近代最大の数奇者の鋭い<目>に曝され、鍛え上げられたからこその芸術なのではないか。
・・・ そんなことを考えた。
img657.jpg

わたしが一番好きな作品は『蒔絵竹林文箱』。
竹に雀はお約束としても、雀がとても愛しい。チチチと鳴く声も聞こえてきそうでいて、それでいて豊かな静寂がそこにある。竹の囁きも風に乗って届きそうなのだが、優しい沈黙がそこにある。
雀たちは一緒に飛び、一緒に止まり、一緒に生きる。
小さな幸せを感じる作品なのだ。
他にも名作は多いが、やはりこれが一番心に残っている。

実物は当然来ないが、パネル展示されている作品がある。
何かというと、国会議事堂内部の天井や壁紙などの修復作業。
数年前議事堂を見学したが、折上げ格天井のある室内の見事さに感心していたが、それは権六の仕事だったのだ。
しかも権六はその作業を恐るべきスピードと丁寧さとで成し遂げている。
怖いような職人技だ。
見事な仕事だった。
宝相華が連続するのを見るだけでも鼓動が早くなる。

top.jpg

加賀工芸から出発した人だけに、石川県の美術館からも多く出品されている。黒地に有職文を続けたパターンがとても綺麗だ。
日本に生まれてよかったと思うのがこうした作品を見たときだ。

金胎の瓶などまるで天の川のように見えた。砂子で出来た金色の星々・・・
これを撮影して投射すれば、メガスターみたいになるかもしれない。

器も並んでいる。
わたしは技巧に技巧を重ねた作品が好きなので、展示されている懐石の器を見るのも楽しかった。

しかしあまりに繁盛しているので、じっくり眺めるということはなかなか出来ない。

権六は鳥が好きなのか様々な鳥を意匠のモチーフに使っている。
雀はもとより、なかなか逞しい鷺、鶴、などがいる。琳派の末裔のように思われる華麗さがあった。

いつまでも見ていたいと思わせる力がそこにある。
いいものをたくさん見れて嬉しかった。
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コメント
「人に学ぶものに学ぶ自然に学ぶ」がこの人のモットーでしたね。
対象の生命感を引き出すため、自宅の庭に鳥獣を飼育しつつ観察したとビデオコーナーにありましたが、そんな混雑しているのではビデオもごらんになれなかったかな?
実はチケットをきちんと買うと近代美術館の本館の常設も観られるのですが招待券だと観られないのですよ、せこいね、国立なのに。
そんなわけで明日の夜間開館に近代美術館の企画展示と常設両方観て来ます
2007/01/18(木) 22:29 | URL | oki #-[ 編集]
「悩むぜ」ついでに
煉瓦と金沢つながりと言う事で、石川県立博物館。
師団指令部だったかな?、煉瓦造りの外装を利用して、内部を改装しています。
写真張り付ける所があれば貼付けます。
きっと、喜んでいただけると思います。

展示は、一般の県立博物館です。郷土の歴史とか、金沢藩のなりたちとか、あんまり興味がないかも知れませんが。
工芸品は、隣の県立美術館にあると思います。
もうちょっと坂を下って行くと、あの21世紀美術館です。レストラン混んでます。昼時過ぎても混んでます。私は食べられませんでした。

裏道に回れば、レトロな看板建物もあります。

古い街並は、弘前が気に入った遊行さんには、気に入っていただけると思います。

と、誘惑してみる(笑)
2007/01/18(木) 22:42 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
okiさん こんばんは
>明日の夜間開館に近代美術館の企画展示と常設
明日から丁度都路華香の展覧会が開催されますね。東京のポスターやチラシはイマイチわたし好みではないのですが、なかなかよい作品がありました。
特に『十牛図』に惹かれましたね。
常設では大観の『生々流転』かしら。

2007/01/18(木) 22:43 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
鼎さん こんばんは
金沢のあの美術館はなかなか私好みですよ。
やっぱり軍関係の建物は素敵です。
金沢も関西からは近い割りに行くのに根性がいるのです。
銀行とか色々よい建物も多いですね。
森八も好き・・・鏡花記念館にも行きたいし、尾山神社の色ガラスも見たいし・・・そうです、実は本当に悩んでるんですよ。
やっぱり今流行の美術館にも行きたいし、カニは食べたいけど雪がどうなってるか・・・
とりあえずデパートの加賀物産展に行って柴舟買ーおうっと♪
2007/01/18(木) 22:56 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
チュンチュンチチチ
2羽の雀、可愛いですね。 日本画や工芸品の中の鳥って、ほのぼの可愛い系を見た記憶が無いので、とても新鮮に思えます。

雀のまわりだけパァーと光っているのが上品な中にもどこかマンガっぽくて、ニンマリしてしまいます(^ー^* )
2007/01/19(金) 10:13 | URL | 山桜 #-[ 編集]
山桜さん こんにちは
そうです、そうです。
この可愛さがいいんですよねー。
名作アニメに出演OKという感じです。

ほかの鳥たちは逞しいです・・・
2007/01/19(金) 13:00 | URL | 遊行 #-[ 編集]
松田権六展
七恵さん、こんにちは。“扇面散蒔絵手箱”(重文)が展示される1/23以降、もう一度いくつもりです。

“蒔絵竹林文箱”の向かい合う雀が可愛いですね。ほっとします。松田権六の作品は日本美術の宝。本当に魅了されますね。
2007/01/20(土) 13:41 | URL | いづつや #RK0OJ0uw[ 編集]
いづつやさん こんにちは
後期のも見てこられるのですね、いいなあ。松田権六は長生きして、後輩たちの良き手本にもなってくれたのが、凄いですよね。
こういう幸せな展覧会は、本当に癒されます。


2007/01/20(土) 21:33 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
この蒔絵竹林文箱の雀たちもさることながら
竹の葉の先の真珠の雨粒まで、芸が細やかなだなぁと
感心して眺めておりました。
こんな箱を手元におきたいものですねぇ~
2007/02/23(金) 08:28 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
一村雨さん こんにちは
その通りです、手元にあればとても気持ちが豊になりますね。
和の力ってすごいなぁとしみじみ思います。
工芸品はやはり日本がすばらしいです。
キラキラときれいでしたね。
2007/02/23(金) 09:30 | URL | 遊行 #-[ 編集]
こんにちは。

雀にメロメロです。
芦雪の雀が府中にやってくるので
その時にこの作品思い出しながら
観てきたいと思っています。

それにしても「うつくし」
2007/02/24(土) 10:32 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
Takさん こんにちは
「うつくし」は愛し(うつくし)ですものね。
雀の愛らしさにくらくらしましたよ。
雀本当にかわいいです。
2007/02/25(日) 04:20 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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