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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

京都御所の障壁画

岡崎公園から京都国立博物館まで行くバスを待つ。
さっきまで京都市美術館で『春を待つ』を楽しんだが、バスを待つのは楽しくない。乗り継いでもいいが、待つ。
直通バスが楽でいい。そのバスの名は<洛>号、100番系統。

特別展『京都御所の障壁画』。img680.jpg

特別も特別、こういう展覧会が開催されるのは史上初らしい。
先週日曜美術館で紹介されたのもあって、にぎやかだ。
京都御所は年二回公開されるが、今回の展示されている障壁画は見せないものだったそうだ。
サイトによると、
現在の京都御所の御殿は1855年(安政2年)に造営され、内部の障壁画は、当時のわが国絵画界を担っていた精鋭の絵師達が総動員されて描かれました。それは、いわば19世紀の京都画壇のタイムカプセルともいえる貴重なもので、当時の画壇の全容を如実に物語っています。だそうです。
クリックしてください。img681.jpg

御常御殿と御学問所からの出展。
御常御殿からは、上段の間・中段の間・下段の間・剣璽の間・御小座敷上の間・御小座敷下の間・御寝の間・・・などと名のある間の襖が出ている。
それぞれ絵師も違うし、内容も異なる。
狩野に土佐に円山に鶴沢に岸に・・・とにかく京都画壇総出演だと思えばいい。
小下図も出ているが、こちらがまたすばらしい。正直言うと、本絵よりこちらの方が良いと思うものがいくつかある。丁寧でとても綺麗だった。
自然というか花鳥風月を描いたものが多い一方、御所ということを配慮して、中国の聖賢の逸話や詩に材を取ったものなども多い。

チラシになった狩野永岳『桐竹鳳凰図』 二羽の鳳凰がいるが、先日の番組でも解説されていたとおり、高価な群青色を惜しみなく使っている。
白地に群青を乗せた方は惜しくも色落ちし、もう一羽は鮮やかなまま残されている。飛ぶ鳥に色が残り、たたずむ鳥の胸が白いのだ。
そのたたずむ鳥の顔に「おや」と思った。
けっこう高慢な目をしている。これはTVではわからないことだった。

鶴沢探真『大禹戒酒防微図』 中国の聖王で土木というか治水のカミサマ禹王が、献上の酒があまりに美味なので、これはいかんと却って禁止したという話。禹王と戦って、こてんぱんにやられた果てに変身したのが、我が愛しき饕餮君なのだ。
鶴沢派の展覧会は十年ほど前に京大博物館で開催されている。

座田重就『高宗夢賚良弼図』 なにも帝一人で政治が動くのが良いわけではない。エエ宰相がいれば落ち目の国も復活するさ、というので帝の夢に現れた人の似顔絵を持って、みんなが探している図。
で、その国というのは殷だというから、途中で持ち直しても最後はモノスゴイ破滅が来るのだった・・・

不思議なのが寝室の襖絵。虎です、虎。虎よ、虎。
土佐光文『竹ニ虎図』 三匹の虎。阪神タイガースの誕生はまだこの80年後のはずだが・・・水飲み虎が可愛い!毛並みが可愛い。
にゃあとしている。img682.jpg

わたしなら喜ぶけど、フツーは寝室に虎の絵は描かないらしい。

狩野永岳『奈良八景図』 近江八景ではなく奈良だというのが、京都の前は奈良が都だったことを思い出させる。

中島華陽『常盤木ニ猿図』 常緑樹=松。そこに猿がいる。数えたら五匹いた。

岸連山『谷川ニ熊図』 岸派は動物を多く描いた。その絵の血脈は山口華楊まで続いている。’92に京都でそんな展覧会があった。

住吉弘貫『朝賀図』 これまでいろんな朝賀図を見てきた。主に茶道資料館で見たから、陽明文庫あたりからの出展だと思う。
マンガの『陰陽師』を思い出した。しかし不思議なのは幡の柄。カラスが描かれているが、普通のカラスみたい。三本足のヤタガラスではないのだった。

御学問所の襖に移る。
岸岱『蘭亭ノ図』 川に杯流して歌を詠むのは多いけれど、ここではその杯のセッティングをする童子らも描かれていた。みんなイキイキしている。
たくさんたくさん流してましたわ。

狩野永岳『十八学士登瀛州図』 バルコニーに持たれておしゃべりしたり、けっこう楽しそうな侍童たち。
img684.jpg

原在照『岳陽楼図』 洞庭湖のほとりにある望楼。杜甫などが詩を残しているが、これもリゾート気分なのだろうな・・・
杉浦茂の『マンガ聊斎志異』にもあった。この窓から鶴に化身して湖を眺め、それを絵にする話。

岸連山『芦ニ雁図』 雁がたくさんいる。みんな歩く・立っている。
視線は低くなる。これは御所のものだと当然わかっているが、水上勉『雁の寺』の映画を思い出す。監督・川島雄三の視線は興味深いものだった。

杉戸絵に移る。杉戸絵では門跡寺院・宝鏡寺の蘭陵王やわんころたちが好きだ。

山田龍淵『王質囲碁図』 山中で仙人の打つ碁に見とれるうち、気づけば手にした斧の柄が腐り落ちていたという話から。囲碁が燗柯とも呼ばれるエピソードを描いている。
浦島太郎、リップ・バン・ウィンクル、王質・・・

吉田公均『春夏花車図』 豪華な花車だった。花が零れ落ちそうになっていた。明るくていい。車輪も漆の綺麗な塗りだと感じる。しかし実際にはこういう花車というのは、存在するのだろうか。

近藤梁渓『雪中小鳥図』 二枚のうち、こちらが可愛くて仕方なかった。
img685.jpg


先日、襖を外すところからドキュメント番組で見たが、帝のごはんも猫またぎなひどいものだったというのに、御所そのものはキンキラキンに飾られたのだと思うと、ちょっと考えてしまう。
公家も副業やっても、カツカツだったそうだが。
(だから田舎わたらいをして、地方に蹴鞠の出教授をしたのだ)
儀礼というのは大変だ。
京都と大阪は隣同士だが、全く人種・思想が違うのは仕方ないことなのだ。
・・・とりあえず裏事情は一切考えず、並ぶものを堪能した。
(『王城の護衛者』での松平候からのシャケの話とか、『竜馬暗殺』での岩倉具視の副業シーンなどがアタマの中を駆け巡っている)
常設展にゆく。
この新館もいずれ建て替えられるそうだ。
良いことだと思う。楽しみにしている。
正月だからちょっと華やかな展示もある。
『高台寺蒔絵と南蛮漆器』
園城寺(三井寺)の床の間をここに再現している。住吉風景を描いた障壁画。店屋が並んでいる。今なら東粉浜の商店街かもしれない。
そう思ったらすごく納得できる。今度住吉さんにゆくとき、東粉浜の商店街をぶらぶら歩こう。(もしかすると、住吉絵巻にわたしも加わっていたりしてね)
釘隠しも立派だ。そして蒔絵を施したものたちが、その床の間から見れば畳の上にあたる場に、展示されている。
キャビネットもいくつかある。『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出てきそうな形のキャビネット。それがご丁寧に螺鈿で包まれている。

『なよたけ物語』 わたしは絵巻が目的なので機嫌よく眺めたが、この筋は調べたところによると、こうだ。
ある年の春三月、花徳門の御壺で行われた蹴鞠を見物に来ていたある少将の妻が、後嵯峨院に見初められる。苦悩の末、妻は院の寵を受け入れ、その果報として少将は中将に出世する。帝が人妻に執心し、人妻が受け入れることでその夫が出世する。
夫もいやだけど帝のストーカーぶりがたまらん絵巻でした。
文は読めないが絵は見える。絵は綺麗だが、どろどろだなー。

『文正草紙』 打って変わってこちらはめでたい。大体正月だからうそでもめでたいものにした方がいい。

神仙特集。
めでたいけど、なんとなくばっちぃオジサンばかりの寄り集まりなので、どうかなぁ、と感じもする。
蝦蟇・鉄拐図と寒山・拾得図が目立った。
蕭白の怪しい絵も他の作品の中で見ると、何故かハッとなる。
怪しさにハッとなるのでなく、「すごいー」という感じ。
蝦蟇を頭に乗せた鉄拐がなんとなく安藤▲夫先生に似ていたり。(おかっぱというかボブというか不思議な髪型で彫りが深いからか)
かなり面白いが、見ようによっては魘されそうでもある。
img683.jpg


機嫌よく博物館から出て行った。次は京都駅まで日本画を見に行くのだ。
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コメント
午前10時、混んでいましたよ
障壁画は難しかったというか、全体が掴み難かったと言うか・・・・
まぁ、普段、見れないものを見る事が出来たといことで。
歴史好きとしては、朝賀図がよかったです。
人物が面白いですよね。「こら、よそ見をするんじゃない」と、注意したいのもいたりして。

常設は曾我簫白でしょうか。寒山・拾得図、蝦蟇・鉄拐図、無気味でした。安藤先生。なるほどです。

福田平八郎展、確認しました。えみ丸さんが取り上げていました。
http://star.ap.teacup.com/aoisora/
2007/01/23(火) 22:19 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
鼎さん こんばんは
朝から混んでたのですね。わたしは昼から見学しましたが、やっぱり混んでました。大絵巻よりはましでしたが。

けっこうこういう朝賀図って面白いですよね。サボりみたいなのもいたりで。
ここにはなかったですが、門外に待つ牛飼いたちとかも面白いのが多くて好きです。

福田のお墓に行ったことがあるのですが、谷崎の本当に真正面でした。
2007/01/23(火) 23:31 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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