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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

富士と桜 山種から

えき美術館で山種美術館から精選した『富士と桜』展を見た。
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チラシを見ると富士は大観、桜は菊地契月。
この契月の絵は先日『契月名品複製頒布』のチラシにも使われていた。
綺麗な若衆である。
契月は少女も臈たけた女人もよいが、実は少年が一番良いと思う。
img686-1.jpg
クリックしてください。

さて富士と桜。
多くの日本人の心の拠り所。
富士20点桜24点という、見て回るのに丁度良い展示数だった。

わたしは近代日本画が好きで、殊に好きなのは美人画だが、花鳥風月も見る。しかし富士はわたしの中で順位が高くはない。それは関西人だからかもしれない。
わたしにとって山と言えば六甲山脈、生駒山系、登るなら箕面・五月山・信貴山・笠置くらいなのだ。
富士を見るのは空の上から、または大変な好天のときに都内から、横浜以西から、くらいしかない。
あとは絵の中ばかりだ。
富士でもう一つ思い出した。武田泰淳『富士』である。
泰淳最後の大作。
『富士』『森と湖の祭り』『ひかりごけ』は何度読んだかわからないくらいだが、いつ読んでもはまり込んでしまう。
その『富士』の中で面白い情景がある。
富士の山裾にある精神病院で患者たちはそれぞれ富士をモチーフにした作品を作る。作るが色々な表現がある。富士のない『富士』もある。目の前の富士を描かないのだ。
「そこには富士はなかった」
・・・わたしは富士山の絵に囲まれた空間で、何を見ているのだろうか。
img687.jpg

大観の富士、古径の富士、関雪の富士、玉堂の富士。
金子みすずではないが「みんな違ってみんないい」。
どうもわたしは去年の二月に見た横山操のジェラートアイスのような富士が忘れられない。『清雪富士』あの富士山がもう一度みたい。
結局それがわたしの目をそちらに向かせないのかもしれない。
ところで今、わたしの部屋のカレンダーは片岡球子の富士山シリーズだ。激しくハデハデで楽しくなる絵なのだ。

コーナーの最後に川崎春彦『富士』があった。
巨大な日本画。真っ青な絵。胡粉が煌いて、富士は堂々とそこにあった。

桜。
わたしは桜が好きだが、ソメイヨシノより山桜、里桜などが好きだ。
しかし絵になるとその区別なく、桜はいいと思う。

守屋多々志『聴花』 式子内親王を描いている。栄華のあと、若くして世をも捨てた高貴の女人。
守屋の歴史画は、描かれた人の心の流れがこちらに伝わるように思う。感情があるのだと知る。そんな作品。
img687-1.jpg

森田曠平『百萬』 能楽からの作。狂女の子探し。『隅田川』では子は木母寺に埋められていたが、ここでは母と子の再会が果たされる。
この百萬だけでなく歌舞伎の『良弁』などもそうだ。嵯峨野の釈迦堂で再会する母子。あまりのいたわしさに神仏が慈悲を施すのだった。
秋元松代の戯曲『元禄港歌』のクライマックスで、主人公は百萬を演じる最中に惨劇に遭う。光を失くした彼は常民から流浪の芸能民に移る。そこでなら本当の母もいれば、妻もいる。
演じた能と彼の生涯とが同じ線をたどっていた。

物語ばかりを選んでいる。純然たる桜の絵について書こう。

川崎小虎の桜には雀がいた。うっとりと雀が並ぶ。桜の香りに酔っているかのように見えた。

石田武の桜はどこの桜なのだろう。特定の場所の桜ではなく、石田の意識に広がる美を<さくら>という形で表に出した、そんな気がする。

稗田一穂の桜にときめいた。
何度も見ているがその度にときめく。この絵を見るわたしは少し口を開いている。桜を取り巻く闇を欲しがって。
img688.jpg

桜の時期には少し早かったが、富士と桜を楽しませてもらった。
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コメント
こんばんは。

なんだか春のような陽気続いていますね。
この展覧会意外と合っているかもしれません。季節感。
2007/01/25(木) 00:09 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
昨年の春、富山県水墨美術館で「日本画に見る富士と桜」と、言う同じような企画を見ました。森田曠平も出ていて、こちらは「惜春(盲目物語りより)」でした。
冨田渓仙「嶋原の春宵」、奥村土牛「吉野懐古」、吉田善彦「桜」、山本丘人「山の上は花ざかり」なんかがよかったと、メモが残っていました。
前期と後期に別れていました。後期もみたかった。

日本人ですね〜(笑)
2007/01/25(木) 00:24 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
遊行七恵さん、こんばんは。
富士山と言えば、廬雪の描いた富士山は如何でしょうか。
あのデフォルメされたというか、ものすごく切り立った富士山、あんな富士は何処でも見たことがなくて、とても印象的です。
2007/01/25(木) 01:13 | URL | sekisindho #-[ 編集]
☆Takさん こんにちは
確かに陽気が続いてますね、雪も少ないそうですし。
そのうち桜の時期も変わったりして・。・


☆鼎さん こんにちは
富山のチラシ持ってます。ちょっと惹かれてましたが行く根性がなかったです。
森田は文学的な作品が多くて好きです。挿絵もよかった。
今度本当に桜の時期になればわたしの持つ絵葉書集めてwebお花見します。


☆sekisindho さん こんにちは
芦雪の富士はなんとなく活火山ぽいなーと思います。あの富士なら三浦雄一郎さんもスキーは無理だと思います。
2007/01/25(木) 09:33 | URL | 遊行 #-[ 編集]
富士と桜
 富士と桜と聞いて、てっきりコノハナノサクヤヒメのことかと
勘違い。 でものっけから、七恵さん好みの美少年でアレレ?
クリックしたら背?に山桜を差しているじゃないですか、やれ嬉しいな^^

 この辺りでは冬晴れの空には毎日のように富士山が拝めます。
富士山が拝める場所には美人が多いというのは俗説です(苦笑)

 稗田一穂の桜、ほぉ~・・・PCの画面の黒のバックには、
口を半開きにした私が映っておりました。
2007/01/26(金) 14:39 | URL | 山桜 #-[ 編集]
山桜さんを思い出しながら書いてました♪
コノハナサクヤヒメは四月にお出まし願おうかと思っております♪
桜特集で。
多分その頃には山桜さんは本当の桜の写真をブログに上げているはず。
期待わくわく。


2007/01/26(金) 15:26 | URL | 遊行 #-[ 編集]
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