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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

梅の佳人

梅の妖精・化身である美女たちに集ってもらった。
仙女・僊女・羅浮仙たち、そして。

春草の羅浮仙。img720.jpg

春草の描く<人物>はこの世に在りながら世の人ではない存在が多い。この羅浮仙の他にも菊慈童などを描いている。八犬伝の伏姫も春草は描いているが、最早神域にある女人という風情が漂っていた。

こちらは大観の羅浮仙。img721.jpg

そっと梅香を楽しんでいる。

少し艶かしい方々にもご登場を願おう。
上島鳳山の羅浮仙と安田靭彦の羅浮仙。
img722.jpgimg723.jpg

梅の精である羅浮仙。梅の艶麗さをまとった美女たち。

一方、古径の描く羅浮仙は枯れ木を蘇らせるような風情がある。
img724.jpg

そして吉川霊華の羅浮仙は消えてしまいそうな神秘さに満ちているため、画像がどうしてもあげられなかった。
梅の香は永続するものではなく、木々のまにまに漂い流れ、やがて消えてゆく。それが羅浮仙の本当の正体なのかもしれず、彼の描いた絵が載らないのはそのためかもしれない。

梅の木の精は即ち<埋めの気の精>と解釈するのをみた。
長らく続く美内すずえの名作『ガラスの仮面』の主要な要素に<紅天女>という幻の芝居がある。
紅天女は梅の精である。昨年能で『紅天女』が演じられた。
梅若六郎による演能。tennyo206.jpg

本編の中でも月影千草は能面を付けて演じていた。
ここからは梅の美女ではなく、梅と美女にかわる。

まだ現実的ではないような入江波光の『追羽子』 紅梅は羽根突きをする女の頭上に開くだけでなく、その着物の裾にも散っている。
img725.jpg

遡り、古代。『額田女王』の梅見。

母上とは又ちがう美人画をも描く松篁。

清方と深水の師弟にも梅に美人は多い。
徒然に梅花美人。
img726.jpgimg727.jpg

梅は暖かくなればそれを感じて開くことから「南枝」とも呼ばれている。
img728.jpgimg729.jpg

梅が咲けば外へ出ようという気持ちにもなる。
img730.jpg

わたしも遊びに行こう。

春の便りは梅に始まる。
中村貞以『春信』 はるのぶ、ではない。これは春のたより(信には便りの意がある)なのだ。
img731.jpg

梶原緋佐子『清香』。img732.jpg
 
梅には馥郁たる香がある。切花にして活けてもこうして静かな喜びを与えてくれる。

梅は着物の柄にもなる。
伊藤小坡の舞妓の愛らしさを引き立ててくれる梅。
img733.jpg


その梅の着物をいくつか。
抱一の筆による小袖。浮世絵的な絵柄の小袖。色合いの好ましい小袖。
img734.jpgimg735.jpgimg736.jpg

クリックしてください。

浮世絵からも。
国芳『梅の春』img737.jpg

おチャッピィな感じの娘が梅林に来ているようだが、視線の先には何があるのだろうか。
三枚続きの右端だけがわたしの手元にある。

泉鏡花の最後の作品集は『薄紅梅』だった。三作収められたこの本の装丁は小村雪岱、口絵は清方、三人の最後の、友愛の証である。
梅の佳人の〆にこの本をあげておく。
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コメント
梅の化身に梅を見る女、そして梅を身に纏う女、どの作品もとても魅惑的ですね。
梅の佳人からは「妖艶」ではなくて「清冽」な美を感じます。
やはり冬の寒さに耐えて咲く花だからでしょうか?

>能『紅天女』
能の世界を題材にした漫画は数多くあれど、漫画が能の題材になるとはおそらく初めてでしょうね。
私は学生時代に『ガラスの仮面』の劇中劇『忘れられた荒野』の舞台を見に行ったことがありますが、その迫力には本当に圧倒されました。これまでに見た舞台の中でも最も印象に残っているものの一つです。
2007/02/07(水) 21:59 | URL | 千露 #GyvMcuCk[ 編集]
まさに、梅の香るような美女が大勢でうっとりです♪
桜をモチーフにした絵はもちろん無数にありますが、梅を用いた絵も意外にたくさんあるのですね!
「紅天女」の舞台、観てみたいです。。。(^^ゞ
着物を着て梅を見に行きたくなりました。

2007/02/07(水) 22:46 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
千露さん こんばんは
>梅の佳人からは「妖艶」ではなくて「清冽」な美を感じます。
私もそう思います。
花自体も桜は爛漫、梅は清澄という違いもある、と言われもしますね。梅の可愛らしさには清さがあるようです。

>『忘れられた荒野』
ああ、見られたんですか。マンガの中では色んなパターンのお芝居をマヤちゃんは演じてましたが、千露さんのご覧になったのはやはりジェーンが人間へと戻り行く葛藤に苦しみ、それでも一歩一歩進みゆく姿だったのでしょうか。
いいお芝居はいつまでも心に残りますね。
2007/02/07(水) 23:17 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
tanukiさん こんばんは
梅と桜は共に美人にふさわしい花のようですが、他の花は案外少ないんですよね。せいぜい紫陽花くらいかしら。
洋画では薔薇と美女ですね。

tanukiさんでしたら彦根の梅が一番ご近所さんですね。
ああ、でも長浜の盆梅・・・そこにもしっとり着物姿が合うのですよね。梅の着物は様式的なものもリアルなものも、どちらもきれいだと思います。枝振りのよさも幸いしているのでしょうね♪
2007/02/07(水) 23:29 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
たびたびお邪魔してスミマセン。(^^ゞ
彦根も梅が有名なスポットがあるのですか?知りませんでした。
遊行さんのほうがお詳しいかも(笑)
私の住んでいるところからだと、石山寺の梅園が近いですね。
紫式部の像もあるし、源氏物語に思いをはせるにはうってつけの場所です♪
長浜の盆梅展も昨年行って楽しめたので、今年も行けたらいいな~と思っています。(^^)

2007/02/08(木) 13:18 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
tanukiさん こんばんは
彦根の梅はお城の裏のところです。昔行った時、なななんと虚無僧がいました。江戸時代に紛れ込んだのかぁ~ と焦りました。

石山寺のそばでシジミご飯とか食べましたよ。おいしかったです。
わたしはご近所の住友活幾園が好きです。
あのお寺の石くぐりとか楽しいですね。

滋賀も楽しいところが多くていいんですが、電車女なわたしには、たどり着けない場所も多いんですよ(泣)
2007/02/08(木) 16:58 | URL | 遊行 #-[ 編集]
美しいですね!
梅の佳人、楽しませていただきました。
僕は、やはり清方と深水あたりが一番好きです。
鏡花の『薄紅梅』で締めるとは流石ですね。
『紅天女』の能も見てみたかったです。
話は変わりますが、「能舞エヴァンゲリオン」というものもあったそうです。こちらも見たかったです。(笑)
2007/02/08(木) 19:26 | URL | lapis #e8.b9ePc[ 編集]
lapisさん こんばんは
清方のうっとりした眼差しのひとや深水のしゃがむひとが、実はわたしのお気に入りなひとたちです。
鏡花全集も源氏香と梅をあしらった装丁でしたね。

能舞エヴァ・・・パチンコにもなるし舞にもなるし忙しいですね♪
わたしパチンコしないので時々どんなんかなーと想像してます。
2007/02/08(木) 22:10 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
 梅が咲き、菜の花忌が来ると、亡くなる1週間前の日、家の白梅の下で草を摘んでいた祖母を思い出します。 祖母は梅の精になったのかもしれませんね。
2007/02/09(金) 16:49 | URL | 山桜 #-[ 編集]
山桜さん こんばんは
梅は永劫に続く花と言うイメージがあります。
この世から姿が消えても、魂は梅の里にあり、ノンビリ過ごされているような気がします。
2007/02/09(金) 21:13 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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