美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。

雨の中、わたしは奈良の美術館の庭園と、大阪桜ノ宮の大川沿いと、造幣局の通り抜けとを楽しんできた。
雨なので花びらに水滴が浮かぶ。それを見ながら延々と歩いた。

松伯美術館の枝垂桜。
大和文華館の<三春の滝桜>が散っていてのは残念だったが、他にもこんな綺麗な桜がある。
こちらは花海棠。桜の時期に一緒に咲いている。

足元には水仙がある。

夕方、天満橋から大川を眺める。アクアライナーが灰色の水とも空ともつかぬ中へ消えてゆく。

川の両岸には桜が咲いている。

今年の通り抜けは開始以来、いちばん早いそうだ。
満開の花もあれば莟を固くしたままの種類もある。

種類によって花の咲きようも異なる。

覚えていたのは今年の花が「松月」という種類だと言うこと。
しかしどれがその花かは思い出せない。

ソメイヨシノとはちがい、花びらの重なりがレースのドレープのようにも見える。
短冊には桜に寄せる短歌が書かれている。

雨で墨が流れているが、花を祝う気持ちは消えない。

このまま埋もれてしまいたい。
目を閉じても桜、目を開いても、桜。

何かが生まれ来るような予感。
闇を忍ばせて、桜は咲いている。

一重の花が懐かしいような気持ちになった。
葉も緑色。少し細い花びら。

造幣局。明治の頃からおカネを作っている。桜の通り抜けをずっとこの建物は見守ってきていた。

もう完全に暗くなった。アクアライナーのネオンも桜を照らしだす灯りも、どこか遠い。
通り抜けから離れて、ソメイヨシノの道を行く。
その桜並木を写し取りたいと思ったが、自分の求めるイメージと自分の技能との落差を感じた。
そのズレは修整できない。
見上げれば、夜桜。この雨でだいぶ散ってしまうのだろうか。

遠いときめきを胸を残して、桜から去って行った。
- 関連記事
-
スポンサーサイト
« 夢の衣裳 l ホーム l 遊楽と彩宴 »
桜に対する日本人の感性は本当に鋭いものがありますね。
遊行さんは横山大観の「夜桜」ご覧になりましたか?
いま観たいのですが、どこにいけばみられるのだろうか?
大観の『夜桜』何回くらい見たかしら・・・
最初に見たのは多分'90年代初頭かと思います。
>いま観たいのですが、どこにいけばみられるのだろうか?
ああ・・・残念ながらお蔵入りしたところですよ。
3/18くらいまで大倉で展示してたはずです。
それで『夜桜』の考察でたいへん興味深い内容の随筆があるので、ご紹介します。
てつさんのところの記事です。
http://blog.goo.ne.jp/tetsu-t0821/e/120a72d65d4484544d910db6cc2f1f3d
かなりよかったです。
松伯美術館にも、枝垂れ桜があったのは知りませんでした。
いつも、秋頃にばかり行ってるもので・・・(^^ゞ
海棠も好きな花です。
雨の露に濡れている花びらを見ると、美しい女性が泣いているようなイメージを連想します。
私もあと何ヶ所か、お花見に訪れたいと思っています♪
松柏美術館もあります。
http://9029.teacup.com/renn/bbs?OF=30&BD=2&CH=5
下の方です。
昨年の今頃は、桜を追っかけて、関西、北陸、東北をフラフラしてました。
それに比べて、今年は・・・
アップルの「.Mac」と「iWeb」眺めてるけど、「もっと分かり易く書けよ」と、思う。MacもOSXになってから、説明見なけりゃ分からない事が増えたし、説明がまた、わかり難い。
単に、「脳みそが退化しただけ」と、言う話もあるが。
変わりました。すてき…
これが遊行さんがメールに書かれていた
雨の中のお花見なのですね。
どの写真もとても綺麗です。
薄暮の中、雨に霞む桜と遊行さんが見えるよう。
遊行さんといっしょに歩きたいなぁ!
海棠かわいいですよねー。わたしはあんな色合い好きです♪
花の雨はたしかに綺麗な女の人のそんな風情がありますね。そっとくちづけたくなります。
もうすぐ八重桜が本番ですね。
そちらもとても惹かれます。
花が終わるまではなんとかあちらこちらへ出向きたいものです。
☆鼎さん こんばんは
あ、その花ですよ、コレ。
ところで鼎さんの撮影された大山崎の緑色の桜、これも通り抜けに植わっています。でも今年はまだ咲いていなかった。黄桜の一種だったかしら、名前は忘れました。
今年は花も見ずに<りんご>と向かい合いなのですね(笑)
ありがとうございます。でも自分のイメージと技能との差異って大きいものだと思いましたよ。
妄想癖があるからか、現実と折り合えてません。(笑)
九州も東京も桜は散ってしまったようですが、関西はまだ今週いっぱい楽しめそうです。
花の下でお話したいですねえ、しみじみと。(内容は極秘)
造幣局の桜の通り抜けは10年ほど前に一度だけ行ったことがあります。
市立美術館で開催された展覧会を見るために大阪へ行ったのですが、せっかく通り抜けの時期なので行ってみようと思ったのです。
通り抜けでは桜というのは実に多様な姿を持つ花であることを再認識できました。
食いもしないのに、食った痕があるし。
最近は「虫食いだ」と、思ってしまう。
byte(記憶容量の単位。1バイト=8ビット)とbiteをかけたとの事。
東京(と、言っても神奈川だけど)は、もう葉桜です。
桜並木もいいし、何もないところに1本だけ大きく枝を広げているのもいい。
先週までは、この「何もないところに1本だけ大きく枝を広げている桜」を、電車から見る事ができました。
> あ、その花ですよ、コレ。
松伯美術館の枝垂桜(こういう名前があったのは知らなかった)
私は、下から見上げた感じで写してみました。
たしかに通り抜けに行くと、桜の種類の多種さに感心します。八重・一重の花びらの数だけでなく、形や色まで違いますし。
遠目には桜餅の塊に見える種類もありますね。
なかなかそれが楽しいです。
☆鼎さん こんにちは
>「虫食いだ」と、思ってしまう
ビタ一文マケてくれないりんごのくせに?
ビタミンはたっぷりかもしれませんよ。
(byteとbiteにbitaとvitaで対抗しました)
一本だけでも並木でも桜は目立ってきれいですね。
桜、さくら、今年は何故にこんなに桜が綺麗なのでしょう?
段々不安にさえなって参りました。 日の本の國よ大丈夫か…
まさか、この春が最後・・・いやいやそんなことは言うまい。
下から2枚目の写真、大観の夜桜を思い出させます。
狙って撮ったのでしょうか? 神ががりですよ~!
桜繋がりでTBお送りしますね~
>下から2枚目の写真、大観の夜桜を思い出させます
そう言って頂けると嬉しいです♪
やっぱり桜は吉凶の予兆をみる花なので、気にかかります。
地球温暖化を少しでも防ぎたいと思っています。
こちらの記事にリンクするようURLを貼らせて戴きました。
事後報告で申し訳ありませんが、どうぞ宜しくお願いします。
ありがとうございます。
やっぱり植物に詳しい方は花びらを見て、その属性をさとられるのですね。
桜も自分を知るひとに会えて喜ぶでしょう。
歌を二首ばかり送らせていただきました。