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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

出光の肉筆浮世絵・前期

出光美術館の肉筆浮世絵を見るのは久しぶりなので、嬉しい。
大阪に出光があった頃、もらったチラシと同じ構成のそれを見て、ちょっとした感慨にふける。

前後期に分かれた展覧会のうち、前期はぐるパスで見て、後期は割引券で行くことにした。
コンセプトがいくつかに分かれている。
そして肉筆浮世絵ばかりでなく、そこかしこにそれらと同時代に生まれた工芸品(陶磁器や蒔絵ものなど)も展示されていて、気持ちを豊かにしてくれる。
見た限りのものを書くので、だいぶ長くなります。

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全期間展示作品を先に挙げる。

江戸風俗図巻 宮川長春 江戸時代 前期・後期で場面替え  橋がある。その橋を渡る人々がいる。舟遊びの優雅な人々もいる。行き交う小舟は花火を見ているのか。手にした花火に火をつけ、楽しむにいさんたち。花火の光はきらきら煌いて、画面の上の金箔になるようだ。
船宿から出た舟の名前は「川一丸」。

隅田川舟遊・雪見酒宴図屏風 歌川国久 江戸時代 宮川より後の時代の歌川派の絵師が描くのも舟遊びである。ここも先と同じような光景がある。花火を手にして楽しむにいさんたち、そしてやはり同じく「川一丸」の名を持つ舟が行く。
江戸の夏の遊びが舟遊びなのは古人の本にもあることだが、それを活写した時代小説がいくつも思い浮かぶ。意外なことに石川淳の『至福千年』でのそれが一番ナマナマしく江戸の舟遊びを描き出していた。
一方、対になった雪の日の遊びも見過ごせない。
外の雪はしんしんと静かに降り積もったろうが、部屋の中ではにぎやかな歌舞音曲が続いている。かむろも太鼓を打ち、笛、三味線、琴の女たち、尺八を吹く男などが合奏する中、烏帽子をかぶった女が優美に踊っている。そちらをのぞくのも楽しそうだ。

美人鑑賞図 勝川春章 江戸時代 女児を入れて11人の女がいる。猫も二匹いて、座敷がわいわいしている。カラフルな女たちが手にしているのは掛け軸。墨絵のシブイのを掛けようとしている。仙人図を掛けるつもりらしい。
このタイトルは誰が付けたのだろう、そしてそのココロはどちらにかかるのか。
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更衣美人図 喜多川歌麿 江戸時代 重要文化財  チラシになった美人。先日天王寺でギメの名品を色々見たところだが、歌麿の女のよさに何とも言えず惹かれている。耳朶の薄い紅色、開いた唇、蕩けそうな目つき、白い二の腕・・・鬢の具合のよさ。
実にいいおんなだ・・・

吉原通い図巻 鳥文斎栄之 江戸時代 前期・後期で場面替え  大きい提灯が目立つ。太夫が行く。ひやかしの嫖客がいる。よくある光景に違いないが、何故か提灯が目に残った。

亀と蟹図 葛飾北斎 江戸時代 初公開  扇面に描かれている。余興で描いたのか何なのかは知らないが、亀も蟹も色は薄いが、まるでその扇の上にいるかのようだった。

樵夫図 葛飾北斎 江戸時代 初公開  対幅。一つはまっすぐな杉がダッと立っている。ダッとしか言いようがない。奥行きも何も、とにかく木が立っている。いつからか。大昔からだ。森の中の一本に過ぎないかもしれないが、この木はまっすぐに立っている。
そしてわらじを締め直すのか、股のぞきをするのか、樵夫がそこにいる。

鍾馗騎獅図 葛飾北斎 弘化元年(1844) 85才の北斎が描く力強さ。獅子の身体の柄はなんとなくあの虎たち同様ぬめぬめしている。有り難味のない獅子で、どことなく気持ち悪さも漂う。しかしその背に乗り、鍾馗は疾駆する。

春秋美人図 葛飾北斎 江戸時代  チラシのもう一人の女。青い花柄の女の手には開いた扇子がある。ところでこの青い花がどうもキノコ・・・サルノコシカケに見えるのは何故だろう。もしかしてめでたい柄なのかもしれないが、わたしはこの着物をあまり好まない。
他方、蛍籠を持つ女がいる。大振袖なのでまだ娘だ。紗か絽かの水色の着物の下には白地に花柄の可愛いのを着ている。それがのぞいているのと赤い襦袢の襞が、崩れているようでいて、そうでなく見せているのは、その表情が素直だからだろう。この娘は誘っているわけではなく、暑いなとか思いながら蛍籠をのぞいているのだ。

前期の展示。
ここからは完全に入れ替わるので、6月に後期を見るのも楽しみだ。

<寛文美人>いつも思うことだが、こうした近世風俗の美人画はどうしてこんなにも魅力的なのだろう。着物の柄からそのように区分された美人たちを、まずご紹介する。

花持美人図 無款 江戸時代 表装にも花の縫い取りがある。軸を見るときはその表装にも眼を遣ると、楽しみが倍加する。花を持つ美人は軸と言う世界の中でも花に囲まれている。
考えればとても観念的な眺めなのだった。

読書美人図 無款 江戸時代 書見台に手を添えている。黒地にひまわりのような柄を着ている。その柄を見て思い出した。十二神将像は鎧を身につけているが、花柄の細工物がそこにしばしば見受けられる。奈良博で見た、さる寺の像の一つが同じ柄のバックルを締めている。可愛く思えた。この絵は横長なのだが、軸でなく額装だった。

立姿美人図 無款 江戸時代 赤地に藤柄の着物をまとった美人がポーズを取っている。
この表装も花に満ちている。(中回)そして上下は萌黄の魚子のような感じ。
絵もいいが表装がそうした装いなのを味わうと、なんとなくルネサンス以前の楽器の音色(たとえばわたしの耳にはリュート)が流れてきたりもする。

<菱川派>
東博の見返り美人は一人の女の姿を描いたものだが、菱川派は本当は群衆の中の美人を描くのが巧いのではないか、と思っている。

秋草美人図 菱川師宣 江戸時代 赤い着物の女が裾を少し持ち上げている。その指先といい、豊かな頬といい、こんな女どこかで会ったかな、と思わせる風情がある。

遊楽人物図貼付屏風 菱川師宣 江戸時代 六曲それぞれに楽しむ人々がいる。二枚は花見、後は室内遊楽。花見もそれぞれで、座頭を呼んで三味線を弾かせるのもいれば、武家息女らしき一行もいる。また室内ではうんすんカルタで遊ぶのもいるし、遊女同士で顔を見合わせてにんまりするのも見えた。女同士の体温や匂いなど、こちらに伝わる何かがあった。

遊里風俗図 菱川師宣 寛文12年(1672) 正月のある日。雪投げをして遊んでいる。それを眺める座敷では、野郎帽子をつけた女形がいる。役者が遊郭に上がるのはご法度だったはずだから、客に呼ばれて来たと見るべきだろう。彼らはカルタをして遊んでいる。
三味線を弾く男にもたれる者もいる。なんとも言えず艶かしいムードのある一場だった。
もしかすると師宣本人がこの場を演出したのかもしれない。

三美人図 菱川師房 江戸時代 三人の女の意外にモダンな着物に感心した。鶸色、深緑、と地色は日本の色ながら、柄が面白い。モダンな感じがする。

春秋遊楽図屏風 菱川師平 江戸時代 重要美術品  春は群舞、円を描いて踊る。中には全身赤い男がいる。歌舞伎でなら赤っ面。ちょっと悪役だが、異形の者にも見える。

立姿美人図 古山師胤 江戸時代 これが懐月堂のような感じの着物を着ている。髪は結い上げているから、なんとなく不思議な違和感がある。不勉強なので知らないのだが、一体江戸時代の女はいつから髪を結い上げるようになったのだろう・・・

聞香美人図 菱川友房 江戸時代 二人の女がいる。奥の女は文を読んでいる。手前には香を薫ずる女がいる。ところがこの二人の大きさの対比がこわい。
奥の女の大きさは徒事ではない。手前の女の小ささも普通ではない。二歩ほど離れて再度眺めても、やはりなにやら不気味なまでの圧力がそこにあった。

立姿美人図 伝杉村治兵衛 江戸時代 紫地に柄の入った着物を着ている女だが、随分派手な髪形をしている。
菱川派もこの辺りで衰退したのだった・・・

<鳥居派>
菱川に代わり席巻したのが鳥居派だった。芝居絵看板で始まったその戦いも、代を重ねるごとに完全に鳥居派の独擅場になった。そして肉筆画にも優れた作品が生まれてゆく・・・

立姿役者図 無款(伝鳥居清信) 江戸時代 着物は竜が躍り、裾に波を敷く。刀を前結びの帯に落とし差し。
彼が「鳥居派の初代」なのだ。父・清元がそのようにしたそうだが、その辺りを南原幹夫が大胆な作品に仕立て上げている。『修羅の絵師』はわたし好みの面白い小説だった。

草紙をもつ立美人図 鳥居清忠 江戸時代 この着物の柄が面白い。暖簾が風にそよぐ・行灯が立つ。

勧進帳・弁慶図 二代鳥居清満 江戸時代 いかにも鳥居派の役者絵。気合が入るような大目玉をむいて、勧進帳を<読む>。額に戴く兜巾はなんと、と富樫が厳しく尋ねるその兜巾の下の頭は丸かった。転法輪の柄の着物を身につけて、グイッと立つ姿には力があった。

<懐月堂派と追随者>
おっとり、ぽっちゃりした美人たち。線の肥痩がいい。着物の輪郭の太さと、人物の輪郭線の繊細さが好対照だと思う。ファッションショーのようにも見える。
そしてタイトルが本当にこれなのかどうかは知らないが、似たタイトルが並ぶので、文で書くのは難しい気もする。

立姿美人図 懐月堂安度 江戸時代 ふっ と下を見るような。緑地に輪花の柄の着物。

立姿美人図 懐月堂安度 江戸時代 こちらは先に比べ、小さい女。黒の紋付に蹴出がのぞいて、着物の上に桔梗が咲いている。

観梅美人図 懐月堂安度 江戸時代 入江に近いらしい。背景は薄い彩色(まるでセピア色のようだ)しかし二人の女だけは艶やかな色をまとっている。
この表装は紅型風な梅が綴られていた。

立姿美人図 懐月堂度繁 江戸時代 菊籬柄の着物。ふくよかなこの人には似合う。

立姿美人図 懐月堂度種 江戸時代 大桜に剣菱。鍋島焼の柄にこうしたものがある。

立姿美人図 梅翁軒永春 江戸時代 水色地の格子に花。中に着るのが黄色だと言うのも春らしい。作者は知らぬ絵師だが、名前に梅と春がある。仇吉と米八どちらという風もないのだけれど、この字の取り合わせを見れば『春色梅児譽美』をすぐに思い出すのだ。脈絡があろうとなかろうと。

縁台美人図 梅祐軒勝信 江戸時代 文字柄の着物の女が頭に櫛を差そうとする。ハッキリした顔立ち。仕種だけでなく、目立つ。
文字柄は葦手などがあるが、和歌そのものの柄もある。
しかし白土三平のキャラは「不死身不死身」、石森章太郎のとんぼというキャラは「凧凧凧」と書かれた着物を着ていた。ふと、思い出した。

立姿美人図 東川堂里風 江戸時代 菖蒲柄の着物。これは五月の今、とても気持ちよく見える。時期と言うのはえらいものだ、と実感する。

立姿美人図 松野親信 江戸時代 にっこり笑って佇む女。青い桜の着物もいいが、何よりこの女の表情に―――惚れそうだ。

ここからの区分がなんだったか、ちょっとわからなくなった。
メモを取り損ねたらしい。

中村座歌舞伎芝居図屏風 奥村政信 享保16年(1731) 中村座の内と外が描かれている。
絵看板には「上林」の文字が見えるから、茶舗の老舗として名高い上林を舞台にした芝居なのだろうか。昔、そんなのを見ているが、外題なぞいくらでも変わるので、当てにならない。お客さんが詰め掛けつつある。駕籠で乗りつけた者もいる。奥村といえばわ印とか色子の絵とかばかり思い浮かぶが、この風景画はリアルでわくわくするものがある。

騎馬侍と奴図 奥村利信 江戸時代 白地に葦毛の馬。侍も若いが、奴も白い面をしている。ちょっと三津五郎が踊りそうな奴だった。

聞香美人図 川又常行 江戸時代 柳を描いた屏風の前に立つ女。珍しい髪型をしている。櫛巻きではないが、クルッと頭頂に束ねたのを立てている。(今風ですね、わたしも時々やります)そして胸元に香炉を持っている。肌に香を移らせているらしい・・・

風に悩む美人図 川又常正 江戸時代 この構図は後世の上村松園がよく描くような構図だった。白い足がかすかにのぞく。赤い着物の袖は白い。

柳下納涼美人図 西川祐信 江戸時代 竹の台に敷物敷いて座る女。胸がのぞいている。
この女の体つきは、ルーカス・クラナッハが嬉しがるような気がする。

立姿美人図 西川祐信 江戸時代 水辺の千鳥。江戸の粋(イキ)ではない、上方の粋(すい)を感じる。

騎牛吹笛美人図 月岡雪鼎 江戸時代 牛に乗り笛を吹くのは、何も童子だけではない。
緑の笛を吹く、緑地の着物の女。ちょっとPOPな柄に見える。

縁台納涼美人図 北尾辰宣 江戸時代 これは面白い構図だった。片肌脱いだ女に寄り添う女。なんとなく下母澤寛が書きそうなタイプの女たち。『突っかけ侍』に出てきそうな。

立姿美人図 宮川長春 江戸時代 黒の紋付に菊柄と言えば芸者の装いのようだが、この女がそうなのかそうでないのかは、ちょっとわからない。

蚊帳美人図 宮川長春 江戸時代 これがまたなにやらイワクありげな構図。早く蚊帳に入ればいいのに、女が半身を外に出している。蚊遣りを焚いて団扇で扇ぐ女は、まるで蚊帳の女の追及を逃れようとするかのように、顔を背けている。

吉原歳旦図 宮川一笑 江戸時代 二階建ての見世が並ぶ。和やかなムードがある。道中する花魁もいるし、羽根突きでもしそうなのもいる。

歌留多遊び図 宮川一笑 江戸時代 二人の遊女ともう一人の、これは芸者か。三人でカルタをしている。結い上げた女より、下げ髪の女が艶かしい。一笑はついこないだたばこと塩の博物館で、『色子と客』といういい絵を見ている。

遊女と禿図 宮川一笑 江戸時代 禿は二人いて、花魁になにやら小言を喰うているようだ。

髪梳美人図 無款(伝宮川長亀) 江戸時代 いい絵だと思う。ちょっとみだれていて。
蚊帳の外で女二人がいる。キッとした目にふっくら頬の女は髪を梳いてもらっている。元結を咥える女。なんとなくいい。

石橋図 礒田湖龍斎 江戸時代 赤頭で踊っている。去年、ボストン美術館のモノスゴイとしか言いようのない肉筆がコレクションを見たが、この『石橋図』もなかなかいい。
足の動きが闊達な感じがした。

笠森おせん図 東燕斎寛志 江戸時代 笠森おせんと言えば、春信のそれしか思い浮かばない。この絵師は知らない絵師だが、いい女を描いている。賛がある。蜀山人の賛。
彼らが描いたのはリアルタイムのおせんではなく、40年前の噂の美女の姿なのだった。
そういえば、邦枝完二『おせん』の挿絵は、昭和の春信と謳われた小村雪岱だった。

桜下美人図 山東京伝(北尾政演) 江戸時代 墨と朱でさらっと描いている。いい句を添えて。「西行も 未だ見ぬ花の 廓かな」

羽根つき美人図 北尾政美(鍬形斎) 江戸時代 手に羽根を乗せて、それを見る女。いつゲームするの、なんてことは言わないでおこう。

柳下納涼美人図 勝川春章 江戸時代 川辺にいる。紗か絽を着ている。不意に風が通る。昔の人はそんなのを巧く表現した。「極楽の余り風」確かに。

雪中傘持美人図 勝川春章 江戸時代 これは凄い着物だった。色んな浮世絵を見てきたがこんな着物初めて見る。雪にまみれた笠をすぼめようとする女の着る、黒にぼかされた朱の花。なんだか凄いような絵だった。

娘と童子図 喜多川歌麿 江戸時代 抹茶色に花模様の裾。娘の立つそばにはちびっこがいる。まるで国芳の猫のように、歌麿の女には子供がつきものなのか、と思うくらい自然。
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蚊帳美人図 鳥文斎栄之 江戸時代 団扇を咥える女。朱楽菅江の賛が楽しい。
「待ち人の来るか来ぬかを簪のからみし蚊帳をたたみうちかた」

雪中太夫歩行図 鳥文斎栄之 江戸時代 男衆が大傘を刺しかけている。吉原の男衆はかなりの重労働だというが、それだけではなく色々と大変だったろうと、この絵を見て不意に思った。遊所で遊ばず働く男はなんとなく、かなしい。

乗合船図 鳥文斎栄之 江戸時代 恵方萬歳と言うわけではないが、猿回し・巫女・僧侶もいる。波のまにまにユリカモメも泳いでいる。のんびりしていいムードがある。

亀に宝珠の図 葛飾北斎 弘化4年(1847) めでたい絵で、亀の吐く煙が<寿>の字になっている。ガメラなら炎なのだが。

月下歩行美人図 葛飾北斎 江戸時代 仲秋の頃、藤柄の着物の女が歩いている。抑えた色彩。静けさがある。京伝の賛がついている。

桟橋美人図 蹄斎北馬 江戸時代 裾を気にする女。水には丸い月が浮かんでいる。どこか遠くで三味線の音色が聞こえてきそうな、そんな夜。

円窓美人図 歌川豊国 江戸時代 これがまた凄艶な女で。洗い髪のまま煙管を手にしている。評価はあまり高くなくなった豊國だが、わたしはこの歌川派が好きだ。

万歳図 歌川豊広 江戸時代 室内に呼び込んで萬歳と才蔵の予祝芸を楽しむ。座敷。子供はほたえている。母親はその子の帯を掴む。行ったらだめですよ、と。

岩井半四郎・悪婆の図 歌川国貞 江戸時代 やっぱり國貞の役者絵はいい。円窓に半四郎の顔が映る。何の芝居か。鬼神のお松か、土手のお六か。なんだかぞくぞくしてきた。

念仏鬼と美人図 歌川広重 江戸時代 大津絵の念仏鬼にもたれてうたたねをする。こういうのも楽しい。鬼は仏道修行中?らしい。

夜桜図 三代歌川広重 江戸時代 女の帯に目を惹かれた。グラデーションになっている。こういう表現もするのか、ということに感心した。

・・・・・かなり、長かった。これで来月の後期をみれば出光の肉筆はほぼ押さえた事に・・・?
ところで今回気の毒に一覧表に載らなかった工芸品たちを紹介したい。

青木木米『青磁双魚八角盃』 小さな可愛い盃の見込みに二匹の魚が浮き彫りにされている。これだけ鉄か辰砂のように見える。

色鍋島『柴垣桜向付』 ソバチョコ大で綺麗な発色を見せている。藍に桜がぽんぽんと咲いている。やはり鍋島はいい。

ノンコウ『赤楽茶碗・酒呑童子』『黒楽茶碗・此花』 どちらも好きな作品だが、特に此花がいい。口の薄さがとても好ましい。

仁清『色絵桜花文角香合』 見込みに桜が咲いていて、とても愛らしい。

あとは名前のわからぬ職人の作品。
『色絵山水文猪口』 10個セットのミルクピッチャー大のもの。こんな小さなものが日本人は特別に好きなのだ。

『色絵女人像』 柿右衛門様式。紅葉の打掛を着た女が脇息にもたれつつくつろいでいる。
有田焼にはこうした女人像が多い。

感心したのは蒔絵。
『柳蹴鞠蒔絵提重』 これはシュールな柄だった。キリコの空間とでも言うか。蹴鞠が飛ぶ。蹴る足は見えないが飛んでいる。落ちる蹴鞠もある。
そして裏を見て驚いた。
蹴鞠型に刳り貫かれた穴に青貝が嵌め込まれている。そして柳はそよいでいる。
すばらしい作品だった。

あと、三枚のムンクの裸婦がよかった。少しドイツ表現派風で、緑色や紫が目立つ。
立つ裸婦より座ってこちらを向く裸婦に惹かれた。胸と言い眼差しと言い、とてもいい。うずくまるバラ色の布地の上の裸婦より、やはりこの正面を向く裸婦がいい。

出光の肉筆浮世絵は前期が今月27日まで。
後期は5/30?7/1まで。
本は買うとちょっと痛いので、延々とノートをとり、それをここで公開する。

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コメント
遊行七恵さん、こんばんは。
記事を読みながら、ひたすら浮世絵のお勉強させていただいてます。
と言っても、基礎がないのですんなり頭に入りませんから、もう2,3度読み返さないとコメントもままなりません。
実際に出光美術館に出かけて作品観ながら読んだ方が良いと思うのですけど生来の怠け者ですから記事を読む方に再度挑戦してみます。
2007/05/08(火) 00:02 | URL | sekisindho #7JPwz3bk[ 編集]
sekisindhoさん こんばんは
わたしのダダモレな文にお付き合いされるだけでもお疲れでしょう(焦)。
浮世絵は好き嫌いが分かれる分野ですが、今回のは良かったです。
おっとりした作品が多かったです。

どうやら今年は浮世絵年のようです。
2007/05/08(火) 00:47 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
遊行カタログの解説、楽しみました。
それぞれの絵が頭の中にフラッシュバックして
メロメロになりました~
2007/05/08(火) 06:11 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
一村雨さん こんにちは
今回の展覧会は本当によかったですね~何と言うのか、楽しい気分でおねえさんたちを眺めて回った感じです。
しかし出光のコレクションは凄いです。肉筆だけなら、東博よりすごいかも・・・
2007/05/08(火) 12:35 | URL | 遊行 #-[ 編集]
流石、七恵さんですね。読んでいて面白いです。

美人画で足がとまったのは西川祐信の“柳下納涼美人図”。柳の枝の垂れ具合とまるっこい顔の女に惹きつけられます。

奥村政信の“中村座”では桟敷席の赤い敷物が目に焼きついてます。また、鳥文斎栄之の“乗合船図”もいい感じですね。同タイプの絵がV&A美展にもでてます。
2007/05/08(火) 14:17 | URL | いづつや #RK0OJ0uw[ 編集]
いづつやさん こんばんは
西川は上方の絵師なので、わりと地元で見る機会がありますが、本当に丸顔です。(笑)
中村座は、江戸東博に再現されているあれですね。昔は見物席が今と違うので面白いです。
>同タイプの絵がV&A美展にもでてます
やはり歌舞伎の『乗合船恵方萬歳』から来ているのかもしれません。
V&Aは来春早々の神戸まで待ちます。
2007/05/09(水) 00:01 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
マッハ3で空飛ぶ唐獅子
(ガメラ~♪)
失礼致しました お世話になっております (春秋美人図は かように観るか ううむ)
蚊帳美人図 鳥文斎栄之 でしたか 衣に透けた白い腕がつやっぽく 絵葉書を2枚購入 我ながらしょうもないことよ 石橋図 礒田湖龍斎は 刷り物とは別の面白み(「ああ 夢だったのね」ってやつも 好きでして)
労作レヴュー 拝読できまして多謝
それではご自愛ご健筆を
2007/05/10(木) 13:08 | URL | TADDY K. #fjJSDZ0o[ 編集]
♪日月火水、日月火水~
TADDY K.さん こんばんは
ガメラマーチでお応えしました。

北斎、わたしの感想に「・・・けっ」でしょうね、霊芝?柄・・・それとも夏の方も。
これはいいものを見ました。
肉筆画は去年からいいのを色々展示してくれて嬉しいです。
来月はこことたばこと塩の後期が楽しみです。
2007/05/10(木) 21:41 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
前期と後期
・・・に分かれていなければ、大変な記事になりましたね。わたしも図録を買ってこなかったので、この記事をみて思い出したり、笑ったりしています。多謝。
2007/05/14(月) 19:41 | URL | とら #8WYMted2[ 編集]
とらさん こんばんは
あの図録はよろしいのですが、ちょっとお値段がよろしくなくて(笑)。
自分のけちさを棚に上げてのたくた感想文を書くものですから、きっと描いた絵師には睨まれてますよ、わたし。
2007/05/14(月) 22:14 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
講演会
おはようございます。

昨日講演会参加してきました。
メモ程度の内容で上手く書けてませんが
TB送らせていただきます。
2007/06/14(木) 08:06 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
Takさん こんにちは
水曜講演会は大阪に出光があったときも開催されましたが、レベルが高くてそのくせわかりやすく、楽しいですよね。
2007/06/14(木) 09:21 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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