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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

出光の『肉筆浮世絵』後期を楽しむ

前期を大いに楽しんだので、後期も期待して出かけた。
出光の『肉筆浮世絵のすべて』後期。割引券で見ましたよ。
前期はぐるパスで。
例によって延々と書いているので、読まれる方、がんばってください。
前期内容はこちらです。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-819.html

それからこちらは手元から現れた懐月堂安度の『立姿美人図』
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桜下宴遊図 無款  幔幕が張られご馳走もあり、気にもたれたりと、のんびりさんな花見がいい。この時代にカラオケがあれば・・・と想像するような雰囲気がある。

立姿美人図 無款  熨斗地の着物で、中は黒一色なのがいい。しかも辛子色までのぞく。わたし、こういう取り合わせにヨワイのだよ。いいなぁ。

若衆図 無款  8頭身で、野郎帽子のなかなか綺麗な若衆。赤い羽扇がいい。本などが下に散らばっている。これはあれかな、モデルがいて、そのパトロンが描かせたのかもしれない。

二美人図 無款(伝菱川師宣) 硯を摺る女ともう一人と。静かな雰囲気がある。

浄瑠璃芝居看板絵屏風 無款(伝菱川師宣)  これは何の芝居なのかとても気になる。屏風仕立てで12シーン以上あるが、とにかくいきなり乱刃の巷になり、風呂屋かな、そこから逃げ出す人々に刀を振るう。通り魔なのか仕返しなのか。色んな風体の客がいるところで狼藉はいけませんな。なんて言うてられない。
シーンが変わっても殺戮は続く。ざく切り・首跳ね切り・胴断ち割り、首ころころ。戦場の煽情みたいな感じ。わたしは芝居に関してはアクドイのが好きだから、見に行くでしょうねえ。ちょっとフランスのグラン=ギニョールにも似ている。女武者たちもいるが、発端はあの風呂屋からとしたら、世話物と時代物の綯い交ぜですね。

江戸風俗図巻 菱川師宣  舟に乗ろうとする人たち、春駒、碁を打ったり鼓を打ったり。こういう楽しいのが好きだ。享楽的な情景はいつ見てもいい。

吉原遊興図屏風 古山(菱川)師重  太夫それぞれの部屋の様子が描かれている。こっちの部屋にはまだ客もいるし、あっちはくつろぐ。台所では桶の中に蛸や魚がある。内と外もはっきり見える。

遊里風俗図 無款(伝古山師重) 中に絞りの女がいるが、面白いのは蚊帳からはみ出す大黒頭巾のお客。これはなんなんだろう。
 
見立紫式部図 鳥居清倍  花頭窓から月を見る女。紅葉の頃で、廊下には小女がいる。かむろか小女かはちょっとわからないが多分かむろか。

立姿美人図 鳥居清秀  これが実によかった。眉の釣りあがった女。逆八の字眉できりりとしている。女は黒地に扇面散らしの帯を前に結ぶ。着物の雪笹の柄もいい。結い上げた髪の水引もきつくあがっている。いい女だなぁ。でも多分、客には少し冷たい。

立姿美人図 懐月堂安度  左向きの女には何か親しみがある。垂髪の後ろに櫛をさして大正のお嬢さん風だからか。白地に紅葉柄の着物が可愛い。ふっくらした豊かな頬に小さな微笑。

遊女と禿図 伝懐月堂安度  「誰そやたそ たれかハ今日の妻ならめ 定めなき世に 定めなの身や」 二人は似たような着物を着ている。揃いではないが。赤と青がくっきりしているが、違和感のない融和を感じる。

見返り美人図 長陽堂安知  このポーズはこれまた近代だった。やや左肩を上げてぐいっと顔をこちらに向ける。笑っている女。誘惑の見返り美人。

立姿美人図 懐月堂度辰  可愛い柄の着物だった。輪のなかに桜。それがいくつも。この手の着物には細めの帯もよさそうだ。

見立江口の君図 竹田春信  舟に乗る女。波は雲となり、象の姿を浮かび上がらせる。

立姿美人図 東川堂里風  顔は朦朧体で着物の輪郭はくっきり。色んな個性がある。肉筆画にはそれを見る楽しみがある。

見立紫式部図 川又常正  こちらの<紫式部>は巌上に机を置いてそれに凭れている。松の音色も涼やかを越え荒涼の趣があり、月は眼下に丸く照る。

羽根つき美人図 川又常正  この美人の着物が実に凝っている。上下の作りが異なる技法なのですよ。染と刺繍。手の込んだ着物を着ている。

納涼美人図 西川祐信  床几に唐草模様の敷物をしいて、それに座す。豊かな胸をのぞかせて。

虎御前と曾我五郎図屏風 祇園井特  ぎおん・せいとくの作品には独特のエグ味がある。それをグロと見るかアクの強さと見るかによって評価が分かれると思う。
曽我物語で、というより芝居や稗史の中で虎と五郎の仲良しぶりはいい感じだ。ここに描かれた二人も楽しそうだ。虎は笹紅ルージュ。五郎はちょっと見ようによっては阿呆ですが。

立姿美人図 宮川長春  これはアレレと思ったのが、絵の背景と女の着物の色が同色だということ。珍しいような気がする。

雪中出立図 宮川一笑  似たような顔立ちの男と女。男の方が面長。奴が控えているが、寒いだろうな。男の方はちょっと鷹匠タイプの遊び人にも見える。

曲芸図 宮川一笑  高坏を枕にして上げた片足に女を乗せる。その女が注ぐ酒は男の左手の盃へ・・・。昔の力技・曲芸は楽しいなぁ。

藤娘と念仏鬼図 窪俊満  大津絵からのキャラ。今も大津に行くと専門店もあるし、美術館もある。日舞にも大津絵から作った舞がある。そう、藤娘。二人仲良く歩いている。
山東京伝の賛がついている。
「咲く藤の蔓にまかれては 鬼接骨艸も角を隠し 塗笠の紐に結れては 鬼印華布も色を失ひ 悟れば鬼も鉦をたたいて佛に成り 遂へば粋も金を使ひて痴になる 鬼に鬼なく 人に人なし 嗚呼 」
ところで丁度今、たばこと塩の博物館ではミニ特集が大津絵だった。

桜下美人図 水野廬朝 文化13年(1816) 確かこの絵師は旗本だったはず。カラフルでちょっと中国のめでたい絵のように見える。対の軸がそれぞれ濃い。

遊里風俗図 勝川春章  蚊帳の中のふたり。襖の向こうには火鉢を囲む女たち。季節はどうなっているのか。

花見図 鳥文斎栄之  傘差してみんなぞろぞろ。墨のにじみがいい。このにじみを見れるのは肉筆画ならではだ。

人形遣図 無款  若衆人形を遣う女。これを見て思い出した。『人でなしの恋』は女の人形だが、『蝋人』は男の人形だった。若衆の人形を遣って舞ううちに女の狂気が育まれていくのではなかろうか。

墨堤二美人図 蹄斎北馬  お高祖頭巾の女と女中らしき女。風が強くて足元が。前にも北馬で風に裾をなぶられる女を見ている。

五節句図 蹄斎北馬  五人の女それぞれが一つの節句を体現する。羽根持つ女もいれば鮎の着物もいて、菊酒をささげる女もいる。

煙管をもつ立美人図 歌川広重  裾に白猫がもぐりこんでいる。
国芳は猫じゃ猫じゃだが、広重も意外と猫を多く描いている。
羅宇がきれいだ。
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芸妓と嫖客図 歌川豊春  寝転ぶ客にしなだれながら三味線を弾く女。うじゃじゃけていて、いい。売り買いをこえていちゃつくのもいい。

遊女と禿図 酒井抱一 天明7年(1787) 抱一上人もお若い頃はせんど遊んではりましてんなぁ。姫路に帰らんと江戸の下屋敷に居座って機嫌よう<北国>行かはったんでしょう。でもこの遊女、黒い羽織みたいなのを着ている。羽織は・・・・・。

役者夏之夜図 歌川国芳  役者たちは浮世絵的手法で描かれているが、その影や背景は洋風画の技法。こういうのを国芳はわりと多く作っている。

前回、通期展示と併設されているムンクの3枚の裸婦、陶磁器、提重のことなどをわりと長々と書いたので、今回は措く。
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コメント
あぁ~出光はぐるパス使えたのですね。
正規の入場券、買ってしまいました。
ちょっと悔しいです。
後期も肉筆画に魅了されました。
鳥文斎栄之の花見図のとぼけた味わい。
う~ん、彼もこんな絵も描いていたのだと
うれしくなりました。
2007/06/14(木) 05:35 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
一村雨さん こんにちは
今年は出光もぐるパス組ですよ、秋の乾山展などが使い応えありますね。

>鳥文斎栄之の花見図のとぼけた味わい
あのぞろぞろ・ダラダラムードがいいですね、声とか聞こえてきそうでした。

今年はどうやら浮世絵の当たり年みたいです。
2007/06/14(木) 09:18 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
ギメ、たばこ塩、出光、ヴィクトリア・・・行けなかった千葉などなど、浮世絵の良いのが、続きますね~
我が足立のローカル郷土博物館にも
渓斎栄泉がやってくるくらいです。

本当に今年は、浮世絵の当たり年、ですね。
横浜の常設に芳年を見に行くつもりです。
2007/06/14(木) 15:08 | URL | あべまつ #-[ 編集]
あべまつさん こんばんは
>我が足立のローカル郷土博物館
そういうところのレベルは意外なほど高いですよ~
品川、港区、中野、千代田区・・・どこのコレクションも全て「ううむー」とうなりましたよ。
結局地元の寄贈とか蒐集が良いのを集めることになるんでしょうね。

>横浜の常設に芳年
美術館にはなかったような・・・博物館でしょうか。
もし息子さんとご一緒なら日本郵船博物館を絶対にお勧めします。
2007/06/14(木) 21:44 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
肉筆浮世絵
水曜日に出光の講演会に行ってきました。懐月堂安度は元絵馬師だったそうで、この太い力強い輪郭線はその名残だと…なるほど~納得です。 食べられなくなってしまった画力のある絵師が春画やブロマイドや挿絵や絵ハガキみたいなものを描いて食いつないでいたんですね。

菱川師宣の作品の6割は春画だったとか…私は特に春画に強い興味がある訳ではありませんが^^;許されるものなら「秘蔵春画展(成人限定?)」なるものを見ないことには、本当の浮世絵は語れないのでは~なんて思いつつ帰宅致しました。
2007/06/15(金) 15:21 | URL | 山桜 #lSqELJtw[ 編集]
山桜さん こんにちは
安度は絵馬師でしたか。それであの力強い輪郭と筆勢が。

>菱川師宣の作品の6割は春画だったとか
なんでも色子の春画もあるようです。芳町あたりで実際お客として上がり、弟子と色子との行為をスケッチしたのでは・・・というのもあります。
版画より肉筆画の方がいいのが多そうです。
2007/06/15(金) 15:48 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。
TBありがとうございました。

内藤先生のお話は大変勉強になりました。
浮世絵少しは観られるようになったかな。

懐月堂安度の観方も随分と変りました。
2007/06/17(日) 23:46 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
Takさん こんにちは
絵馬師というのが効いてますね、納得です。
西洋絵画に造詣の深いTakさんが浮世絵にも括目されたら、鬼に金棒ですね(笑)
わたしは逆に西洋絵画の勉強を始めます。
また教えてください。
2007/06/18(月) 10:24 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
美人だらけ
遊行さん、こんばんは
TBがうまくいきませんのでコメントだけで失礼します。
今回はそんなに名も知らない梅翁軒永春の美人図に見惚れてしまいました。
ですから名前を覚えるのが大変でしたよ(笑)
それにしても「美人図」が多い展覧会でしたね(笑)
2007/06/25(月) 00:08 | URL | アイレ #YpLFnTR.[ 編集]
アイレさん こんばんは
>それにしても「美人図」が多い展覧会でしたね(笑)
出光さん、面食いだったんですね(笑)

名の知らない絵師の肉筆ってそそられますよね。
わたしは川又一派を知りませんでした。
今回寛文美人や懐月堂のいいのを多く見れて本当に嬉しかったです。
たばこにしろ出光にしろ、すごいコレクションを蔵匿してますねー。
保存の観点からしょっちゅう出すわけにはいかないでしょうが、またまた見たいと思う名品ぞろいでした。
2007/06/25(月) 21:47 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。

>それをグロと見るかアクの強さと見るかによって評価が分かれる

私はせいとくにやはりアクの強さを見たいですね。
何故にこのような表現をとっていたのでしょう。こんな面白い美人画はなかなかありません。

抱一の黒い衣装はやや奇異でしたね。
もう少し描き込みが欲しい所でした…。まあ習作ということで…。
2007/06/26(火) 22:21 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
はろるどさん こんばんは
せいとくは『京の美人画』展でたくさん見ましたが、美人画の範疇からはみだす絵師だと思いましたね。
でもモノスゴイ個性で、一目見ると忘れられません。がんばって追っかけてください。京都には時々出るのですが、関東の出光にあるのが不思議でした。

抱一の黒い羽織はもしかすると遊女ではなく辰巳芸者かな・・・と予測を立てていますが、ちょっとそこまでわかりません。
2007/06/26(火) 23:22 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
遊行七恵さん、こんばんは!

展覧会期も終わった今頃、ようやく観覧レポを書いています^^;
七恵さんを初めとして素晴らしいレポが出揃っている今、私は
少し違う自分の偏った興味の視点から纏めてみようかと…
とりあえず、美人並べてみました。 美人コンテストか^^;

つきましては、正統派美術ブロガーとして、遊行七恵さんとTakさんとを
拙ブログでご紹介し、出光の「肉筆浮世絵」前・後期のレポにリンク貼り
させて戴きました。 こちらからの訪問者の方々もどうぞ宜しくお願い致します。
2007/07/04(水) 19:44 | URL | 山桜 #lSqELJtw[ 編集]
山桜さん こんばんは
早速楽しませてもらいました。
山桜さんの月初め恒例の花曼荼羅の浮世絵美人版!
素敵でしたよ~~
そういう楽しみ方もあるんだ~という感じです。
グッジョブ!山桜さん!
2007/07/04(水) 22:17 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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