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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

アートコレクション・西洋絵画篇

ホテルオークラのアートコレクション展も13回目を迎えた。
ほぼ毎年出かけているので、八月の東京ツアー=アートコレクション+全生庵の幽霊画というイメージがある。
西洋絵画・日本画・日本洋画の三本柱の構成で、それぞれ楽しめた。
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コロー『夜明け、草原にて』から展示が始まる。
緑の中に女が二人いるらしい。遠目なので若いのかどうかはわからない。コローは実のところ圧倒的に人物画がいいと思うのだが、ここでは風景の中の存在に過ぎない。

ピサロ『座る農婦と跪く農婦』 色合いの明るさがいい。健康そうな二人の女。なにを話しているかはわからないが、ほのぼのしている。
村内の所蔵と言うことだから、八王子に出かければまた会えるかもしれない。
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モネ『日本風太鼓橋』 モネはジヴェルニーに自分のパラダイスを作り上げたのだ、と実感する。太鼓橋のこちらからの視線でモネは描いているが、我々も同じ位置から橋や池を眺めている。

ルノワール『浴女』 これは絵葉書もチラシも良くないと思う。裸婦の肌が赤く見える。実際の女の背や腹には複雑な青色が滲んでいたのに。(照明のせいでそう見えたのか?)
赤の方が豊かに見えるが、<ルノワールの青色>は実に効果的な使われ方をしているので、なにやら勿体無い気分がある。
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『タンホイザー』 これは二度目だ。所蔵先は知らないが、再会になるのが嬉しい。ワーグナーのオペラからの物語絵、タンホイザーが誘惑される情景である。女神の額には☆飾りがついている。彼女に手を差し出すタンホイザー。周囲のコロコロした天使たちが愛らしい。

『化粧する少女』 やはりこちらにも再会。片方の胸がこぼれている少女。髪をあげようとしている。魅惑の深い少女。ふと誘惑されそうになる。

コロモン『ナナ 幻想』 19世紀末から20世紀初頭にかけてゾラの大ブームがあった。
ルーゴン=マッカール叢書。その中にナナがいる。『居酒屋』に現れるちびが『ナナ』であり、成長してファム・ファタールになり、やがて無惨な最期を遂げる。
『ナナ』は舞台劇としても各地で大成功していたようだ。このナナは椅子に座っているが顔は描かれていない。何らかの意図により顔を持たないナナがいる。だからタイトルも『ナナ 幻想』なのかもしれない。1910年代が舞台の少女マンガ『キャンディキャンデイ』にも人気女優がナナを演じ、それに夢中だというエピソードが描かれている。

コラン『樹下』 誰がどう見てもコランらしい作品だと思う。コランの描く作品には嵐は来ないだろう。温和で優雅で、気持ちの良い作品だと思う。
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マルケ『ポン・ヌフ 霧の日』 白ピンクの色彩の霧に包まれたポン・ヌフ。それを少し離れた窓から描いた感じ。走る車ももやって見える。'47年のパリ。解放され、二年経ったパリのある日。

『ベニス』 水の色がいい。雲は灰色だが水は青白色に広がる。雲を映す水ではない。

ヴラマンク『花』 シンプルな花瓶に活けられた花たち、ヴラマンクの筆により、却って生命力を奪われたように見える。命を与える筆もあれば逆もあるのだと知る。
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『森』 この森の下草は不気味で仕方ない。ヒトクサのようだ。さるゴルフクラブの所蔵らしいが、いいのだろうか。機嫌よくコースを廻り、クラブハウスに帰ると壁にはこの不気味な森がある。なんとなく怖いような気がする。

モディリアーニ『ポール・アレクサンドル博士の肖像』 チラシに選ばれた作品。この肖像には黒目部分がある。シックな色調にまとめられた肖像画。落ち着いた気持ちで絵と対峙できるのは、この作品の特性かもしれない。

藤田『猫を抱く子供』 ‘23年の作だから子供も口をつぐんではいない。戦後パリに帰ったフジタの子供たちは硬く口を噤んでいるが、この時代の子供たちにはその頑なさはない。腕の中のキジネコが可愛い。私も抱いて頬ずりしたい。

『猫の教室』 戯画。猫の戯画は国芳とその弟子たちに多いが、フジタの戯画の猫たちもいい。AM8:35の授業風景。机の前にはオムツの赤ん坊も転がっている。暴れる子、オシャベリする子、どこ見てるかわからない子、廊下の向こうの猫は小遣いさんだろうか。ケンカしたり骨をかじったり、手前の奴は不逞な顔つきだった。壁に貼られたアルファベット・ポスターにはその文字から始まる単語を示すイラストがある。ナゾなのがマネキン・トルソの腹にハサミが突き刺さっているもの。なんなんだ? 鳩時計ならぬ▲▲時計もある。なんとなく明るい気持ちで眺めた。

シャガール『緑の太陽』 サーカスの風景。花をもらう。綺麗な女。白馬に乗る馬術師、この顔に見覚えがある。ああそうか、若い頃の岸恵子に似ているのか。綺麗だった。

キスリングはエコール・ド・パリの一群の中でも生存中に認められて、裕福に機嫌よく暮らした画家だと聞いている。絵もとんでもない作品は少ないはずだ。
・・・そのトンデモな絵が2点あった。
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『ブイヤベース』 さっきルノワールで『魚の静物』をみたが、あれは魚たちが「どれん」と置かれていた絵だった。このキスリングの魚たちはどう言うのだ。ブイヤベースとはそもそも「その日、海辺で釣れた魚を海水でグツグツと煮込んで作った料理です」と紹介がある。・・・これだけの魚、ブイヤベースにするのか・・・?なんとなく中毒しそうである。
それで思い出したが、玉城末一の『魚』を基にした森村泰昌氏の『魚』、あれの親戚に加わりそうな気がした。
しかしエイは可愛い。mir216-3.jpg

・・・魚類の復讐がありそうだ・・・

『サナリー風景』 これもまた不気味な森である。変な矮木がいっぱい生えている。まるで湖に突き出した助清の足のようだ。手前にはチューリップがあるが、キスリングどうかしていたのか、と問いかけたくなるような不安な絵だった。

『水玉の服の少女』 上二点に比べ、こちらはキスリングのパブリック・イメージに沿うような綺麗な少女図だった。

日本画と日本洋画はまた別項で。
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コメント
タンホイザー
やはりヴェーヌスでしたか。画家も男性。そちらに惹かれたわけですね。
わたしはシャガールと東山魁夷の「緑」に惹かれました。
そごうのキスリング展にも「魚」が登場してました。
2007/08/22(水) 19:46 | URL | とら #8WYMted2[ 編集]
ホテルニューオークラって何ですか遊行さん/笑。
ああ暑くてダメだ。ホテルオークラとホテルニューオオタニ画あるなら、ニューオークラがあってもいいか!

さてそんなことよりキスリング。
「ブイヤベース」ここにもありましたか。
実は横浜そごうを皮切りに全国を廻る「キスリング」展でも出てまして、ぎょっとしたものですよ!
案外この画家この画題がすきなのかもー。
2007/08/22(水) 22:40 | URL | oki #-[ 編集]
☆とらさん こんばんは
うふふ、ルノワールの嬉しそうな顔が想像できますね。
シャガールの大きな絵には惹かれました。ああいうのを見ると、壁画にほしくなります。タピストリーもいいか。
今回は本当にいいバランスでした。


☆okiさん こんばんは
ニューでもオールドでもまっいっか(笑)
'50にも『魚のある静物』かいてますからね。
'92の回顧展で見ました。
あれから15年か・・・ミモザとレースが綺麗でした。
2007/08/23(木) 23:00 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
アートコレクション展
こんにちは、joshと申します。
「アートコレクション展」を最終日に見てきました。寄せ集め感覚満載でしたけれど、面白い絵がたくさんありましたよね。
パンフについてくる投票券で「この一枚」の投票、されました?
joshは、ダークホース狙いで?ワイエスの水彩画に入れたんですけれど、かなりマイナーなチョイスだったかなとは思っております…
2007/08/26(日) 13:59 | URL | josh #-[ 編集]
はじめまして
joshさん こんにちは
やっぱり秘蔵の逸品が現れるので、面白いんですよね。
>ダークホース狙いで?ワイエスの水彩画
あれはいつものヘルガと違い、それこそ面白い作品でした。
わたしは感想にだらだら書いた挙句、タンホイザーでした。
あはは^^b
2007/08/26(日) 19:18 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
七恵さん、いつもながらブログの更新が早いな~(@@;)ノノ

ついこの間、キスリングのエイの顔のアップを見て『そうそう私もこれ好き!』と思い、ボツ倉庫からエイの裏の顔の写真を引っ張り出してみたら、七恵さんの所はもう新しい記事がいっぱいで、エイはもうこんなに下の方に…

エイ繋がりでTB、記事にもURLを貼付させて頂きました。 宜しくお願いします。
2007/08/29(水) 14:43 | URL | 山桜 #-[ 編集]
山桜さん こんばんは
浅漬けみたいなもんで・・・あはは。

あのエイの顔いいですよねー裏の顔がゆるい系なのに表の顔は超コワモテ。
ご紹介どうもありがとうございました。こないだ海遊館のそばに行くと入場行列してたので諦めて帰ったところでしたよ。水族館は楽しいですね~
2007/08/29(水) 22:08 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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