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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

花鳥礼賛 泉屋分館

アートコレクションのおかげで泉屋分館の展示にも招かれる。元々大倉と泉屋とは私の場合、いつも対で行く美術館なので、機嫌よく訪問した。
花鳥画。中国に始まり日本で満開となった分野。
今回の泉屋分館での展覧会は、京都画壇と彼らに影響を与えた画家の作品とが並んでいる。
京都の本館ではおなじみの作品たちが東京出張し、皆さんに喜ばれるのは、とても嬉しいことだ。
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伊年印 四季草花図屏風 右は春の花34、左は秋の花26。花の名前は詳しくないが、百花繚乱を喜ぶ気持ちに変わりはない。

彭城百川 梅図屏風 金地に墨で梅が開いている。寺の襖絵に見かけるような描き方だか、それが随分好ましい。

伊藤若冲 海棠目白図 近年たいへんな人気の若冲だが、このぷくぷくしたメジロたちが文字通り目白押しに並ぶ姿を見ると、なにやら微笑ましい。

呉春  蔬菜図巻 呉春は逸翁美術館に一大コレクションがあるが、やはり関西の美術館にはしばしば名品が見受けられるのが、嬉しい。
その名も「呉春」という清酒がある。地元池田で生まれた清酒。グルメだった呉春は自分の名のついたこの酒を喜んだろう。
ここに描かれているのは野菜ばかりである。おかずになるまえの野菜たち。青物屋の若旦那が描いたものより、おいしそうな感じがする。実に多くの野菜がある。ねぎ、筍、きゅうり、ささげ、白瓜、ナス(細いのと丸いの)、唐辛子、葉生姜、細大根、大豆(枝ごと)、茗荷、水菜、コウタケ、しいたけ(どんこ)、シメジ、チョロギ、かぶら、ニンジン、ふきのとう、慈姑、豌豆、南瓜、鉈豆、里芋……すごいなぁ。

椿椿山 玉堂富貴・遊蝶・藻魚図 これは字面を見るだけでめでたい。溢れる花。匂いまでこちらに届きそうだ。三枚の絵のうち、遊蝶図がいちばん好ましい。とにかく今回は蝶をたくさん見れて嬉しかった。

沈南蘋 雪中遊兎図 兎はどういうわけか茶色い毛のままで、目立つのではないか。
どうもうさぎと言うのは現実より絵画や工芸品のほうに味わい深い愛らしさがあるように思える。この絵を見ると、若冲が影響を受けているような感じもする。
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張秋谷 花卉図 ピンクの牡丹に藤と百合とが眼に残る。清代の花卉図は画布に描かれたものも、エナメルのものも、共に優美で華麗だ。

椿椿山 野雉臨水図 タイトルを見たとき、ふと中国語のスラングを思い出したが、これは純粋に野生の雉が水辺にいる図。名前に椿が二つもあるのに、この絵師の椿図を見た記憶がない。

呉春 松図衝立 金地に墨絵でササッと描かれている。松ぼっくりが可愛い。今でも家のそばにこんな風景があるので、なんとなくそれだけでも親しみがある。

余 花鳥図 白の目立つ画面に、栗の実や地の菊が可愛い。

狩野常信 白鷹捕鴨図 「かわいそー」一目見て呟く。白鷹がガシッと鴨を捕獲して、飛んでいる。ゴハンになるんやねぇ。……(涙)でも鷹ファミリーも生きているし。

森徹山 竹狸図 可愛い狸!去年大倉で姫路のさる人のコレクションを見せてもらい、その中に『雨中狸図』があったが、あれ同様とても愛らしい。バッタを見る狸。残念ながら画像がない。
オジさんは猿を、甥っ子は狸を愛しく描いている。

田能村直入 花卉図巻 色感に独自のぬめりがある。つまり絹の光ではなく、絹よりもっと高価な絖<ぬめ>の触感を感じるのだ。

原在中・在明 春花図 父子で花を描いている。向かって右の瑠璃色の中華の壷には牡丹が(父)、左の玉籠(編み籠にビーズがついている)には蘭やシャガや小手毬が(子)活けられている。とてもきれい。そして図の上には冷泉さんの漢詩風の詩が書かれている。
瑠璃能瓶爾薫 光越佐新添貞 富貴百花濃色 葉美艶 瑠璃の瓶薫る 光をさし添えて 富貴百花の色 はみえん
露奈良伝成珠 籠耳折挿茂色 遠栄多類花農 数賀寿 露ならてなる珠 籠に折り挿すも色 をえたる花の かずかず

松村景文 四季花鳥図屏風 墨絵でさらっと描いている。藤、露草などが見え、文鳥が飛んでいる。

伝・辺文進 鳩図 これは岸田劉生旧蔵で、言われて見るとそんな趣もある。白鳩が下を向いている。嘴をつぐんだまま。

応挙 双鯉図 天明2年にこんな丸々肥えた鯉を吊ったような絵を描いていいのか。天明の大飢饉は、といらぬことを考える。

乾山 椿図 墨絵で白椿を描いている。清楚でもあり、艶やかさを覗かせてもいるようで、とてもいい。
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交趾香合 明代のそれはどれもこれも小さくて愛らしい。狸、インコ、鴨、菊に亀、掌で大事にしたくなる。

花鳥礼賛、なるほどそのとおりだと思う展覧会だった。
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コメント
花鳥画好きにはたまらない展示でした。個人的には今回のアートコレクション関連では一番印象に残っています。沈南蘋は迫力満点でしたね。

>可愛い狸!

可愛かったですよね。森派の動物たちは本当に愛くるしいなと思います。狙仙の猿だけではないようです。
2007/08/26(日) 11:14 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
はろるどさん こんにちは
今回は本当にいい展覧会でした。
皆さんは若冲に喜ばれてましたね。
わたしは沈さんのうさぎに感心しました。今まで避けてたのですが、いいものですねー。
森さんの猿も狸も愛くるしいです。
2007/08/26(日) 19:15 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
今回の作品も京都からお出ましですか。
さすがに京都。細見美術館なぞも
いい絵をお持ちで。
京博の作品なぞも、こちらに来て
もらえないものかなぁと思います。
2007/08/27(月) 08:55 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
垂涎(とくに呉春さんのくだり)
お世話になっております
美味しそうな野菜が
列記されておりますな たまらぬ
当方にとっては
更なる後押しになりそうで
今週末は この展覧会だけに絞り
部屋に戻って 焼き野菜でもつくり
観てきたものの おさらいしつつ
一杯やるのもよさそうかと
それでは ご自愛ご健筆を
2007/08/27(月) 19:57 | URL | TADDY K. #fjJSDZ0o[ 編集]
☆一村雨さん こんばんは
やっぱり古美術は関西にええのが多いです。
細見さんのも一見の価値大ですし京博の深さにもビックリです。
でも東博の懐の深さには敵いません。
コレクションを撮影させてくれる、それだけでも東博はとてもいいところです。


☆TADDY K.さん こんばんは
呉春の野菜は本当においしそうで…
どんなんがあるかをメモる間もヨダレヨダレでしたよ。
今はナスですね。
ナスのてんぷらもいいし、揚げびたしもいい・・・
うう、書いててもヨダレです。
2007/08/27(月) 22:27 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
たぬたぬ♪
遊行さん、こちらにもお邪魔しています。
若冲のメジロも可愛かったのですが、徹山の狸はラブリーすぎて、めろめろでした。
絵葉書がなかったのが残念無念でした。
呉春はどうも司馬先生の小説のせいで印象が自分的に良くないのですが、この野菜の楽しさはとても良かったです。
2007/08/27(月) 22:51 | URL | アイレ #-[ 編集]
アイレさん こんばんは
目白押しって言葉がリアルですよね。
今回はたぬきとうさぎですよ!
(この取り合わせってカチカチ山?)
『芦雪を殺す』ですね。
ふふふ。わたしは南原幹雄の作品で、菱川師宣の印象が悪いんです。
2007/08/28(火) 22:08 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
中国への憧憬
とても有名な画家たちが中国の作品を模写していることが印象的でした。
2007/08/28(火) 23:11 | URL | とら #8WYMted2[ 編集]
とらさん こんばんは
そうですね、やっぱりお手本を模写する、と言うのは狩野派だけでなく、絵師の正統な修行なのだと思います。
そのことを思うと、お能の「守破離」と言う言葉を思い起こしたりします。
2007/08/28(火) 23:47 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
花鳥礼賛
こんばんは。今日、行って来たところです。
なかなか充実した展覧会で、満足してきました。
沈さんの本物図にあえて、嬉しかったです。
ウサギ達の様子にすっかり魅了されました。
お月様を呼んでいたのでしょうか。
最近、松村景文のご贔屓になっています。

2007/09/14(金) 23:16 | URL | あべまつ #-[ 編集]
あべまつさん こんばんは
ウサギたち、なかなか役者ですよね。
未知との遭遇みたいな感じで。(笑)

景文いいでしょう、わたしは地元・逸翁のおかげで呉春兄弟の名品を折々味わわせてもらっています。
秋はやはり大和絵がよいですよ♪
2007/09/15(土) 00:17 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
野菜
こんにちは。

呉春の野菜図は愉快でしたね。
若冲を意識したのでしょうか?
尤も身近にあるものですから
画題としてはもってこいだったかも。

2007/09/17(月) 13:14 | URL | Tak #JalddpaA[ 編集]
Takさん こんにちは
>若冲を意識したのでしょうか
いやむしろ呉春は応挙を意識する絵師でしたしね。
ふふふ、あれです、イヤシだったそうです。
(イヤシとは食いしん坊+食道楽+α)
おいしそうなものを見たから食べる前に書かずにいられなかったのかも。
2007/09/17(月) 14:11 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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