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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

『名所江戸百景』と『旅』のない旅

いつのまにやら重陽の節句を迎えている。わたしはまだ八月の東京ツアーの記事を書き連ねている。日も良いのでこれで〆にしよう。
今回、惜しくも三井記念館の『旅』展を見損ねた。それを以って8月のツアーを終いにしたかったが、行き損ねた。
本来はブリヂストン―フィルムセンター―三井記念館と無料バスで廻り、新日本橋から両国に出て江戸東博の列車の旅の展覧会で円満が、八重洲の二つで終わってしまった。
『旅』をテーマにした展覧会二つを捨ててしまったのだ。
だから「旅のない旅」というタイトルになった。

広重の『名所江戸百景』は随分以前から好きなシリーズで、しかし欠落していた。
今回藝大美術館で展覧会があり、おかげで大方見れたし、楽しめた。
金比羅さんの展覧会と併催なのだが、日本人は基本的に広重の抒情を愛しているので、こちらも随分人気だった。どれを見ても楽しめる作品たち。
丁度百五十年ほど前の江戸のあちこち。
現在の場所と頭の中で比較しながら見て歩いた。

本もあるが画像は全て私の持つ絵葉書などから。
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こちらは比較的よく知られている作品ばかり。深川十万坪、亀戸の梅、四谷、王子の狐火。
最初に見たとき、十万坪を眼下におさめる猛禽の姿にドキッとしたものだ。
また梅ノ木の遠近などにも。

こちらは実は、さる団子屋さんがお菓子の箱に入れていた栞なのだ。
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四季により絵柄を換えて箱に詰めていた。どれもこれもいいが、私は特に夏の七夕がいい。絵がいいと言うよりその構図の興趣に惹かれるのだ。

桜もいいし、今戸焼の煙もいい。mir263.jpg

橋場に真崎と言えばついつい『秋山大二郎が住まう処』と思ってしまう。
つまり私にとって『名所江戸百景』とは馴染みの時代劇・時代小説・歌舞伎の舞台に他ならないのだった。

家に五十三次の画集があったのと、『東海道中膝栗毛』などを読み耽っていたためか、すんなりこの世界に入り込めた。
そして子供のくせに江戸には詳しかった。
母は洋物がメインで、父が和物だったためか、私はどちらも好きだが、江戸には本当に親しんで育ったと思う。
近代建築史の研究をしつつ、東京に行く都度、江戸の名残を探して歩いた。江戸切絵図なども好きで、比較しながら歩くのが、本当に楽しかった。
今でも暇な時間は都内の路線図を眺めるのが好きで、各地には何があるかと言うことを思うのが楽しい。
半七ごっこ・鬼平ごっこと称して、作中に現れる場所を訪ね歩くことも繰り返した。
その度に広重のこのシリーズなどと比較したりもする。
楽しくて仕方がない。

一枚一枚じーーーっと眺めているだけで妄想や追想が湧き出して、それだけで幸福になる。
花見も京や奈良との兼ね合いをみながら、隅田川・上野・飛鳥山を楽しむ。隅田川に行けば必ず白鬚あたりまで伸す。(そしてユリカモメをモチーフにしたお団子をいただくのだ)

今ではこのようなこいのぼりは見れまいが、五月といえば端午の節句で柏餅が楽しみだ。
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両国の花火も素晴らしい。
そういえば昭和初期を舞台にした横溝正史『夜光虫』の冒頭はその両国の花火から始まるのだった。歌舞伎では大抵この花火の混雑から、かどわかし・カンチガイの恋が始まったりする。

最後にきれいな月を。
なんだか嬉しい気分が持続したまま、この『旅のない旅』は終わる。

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コメント
遊行さん、
こんばんは。
こうやって眺めると構図の大胆さに舌をまきますねえ。
すごい才能だ・・・なんて今更素人が何を言うか、っとことですけど(笑)
2007/09/09(日) 07:07 | URL | OZ #-[ 編集]
OZさん こんにちは
光の採り入れに懸命だったパリの画家たちにとって、「なんなんだー」な構図でしたろうね。
しかもこの構図、大胆ではあるけれど納得しますもんね。

わたし風景に関しては北斎より断然、広重です。
2007/09/09(日) 14:17 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
広重の展覧会はまだ未経験なのですが、本当にハッとさせられる構図の数々に、あらためて勉強させてもらえるなあ・・・と思います。
よく考えると、私も、ブログに載せる写真を撮る時、遠方に見える景色をバックに、近くの花などをマクロで撮影、ということをよくしています。無意識のうちに広重の構図を参考にしていたのかも・・・と思いました。


2007/09/10(月) 20:56 | URL | tanuki #-[ 編集]
tanukiさん こんばんは
写真撮るときって構図のことを考えると、色々試したくなるのですが、やっぱりそこで自分のシュミが出るのかなと思います。
tanukiさんは写真の構図が巧いので(特に花が好きです)感心してましたが、広重と聞いて「おお~~」という感じです。

ふと思いましたが、人物のupは歌麿風大首絵とは・・・言わへん、言わへん・・・
2007/09/10(月) 22:00 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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