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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

川瀬巴水展を見る

二つの巴水展を見た。
過日、京阪守口と礫川美術館とで。
守口のは昨夏の巡回かと気軽く出かけたが、なんとなく違う。出る前に図録を見てきたが、本にない作品がいくつかある。
その中で特に眼を惹いたのは広島の鯉幟を描いた作品だった。
板塀と板塀に囲まれた狭い路地を切るように緋鯉が空を泳ぐ。
その緋色にひどく惹かれた。鯉は決して大きいものではなく金魚のようなものだが、それがこの作品を強く引き締めていた。
広重えがく鯉幟とは発想が違った。
巴水には独特の言わば巴水ブルーがあり、多くの作品にはその色が使われ、見る側もその色をみつけて巴水だと満足する。
しかしここではそのブルーは緋鯉の背後に薄く小さく伸びるだけだった。
主役はあくまでも小さな鯉の緋色なのだ。
心にいつまでも残る佳品だった。

しかし無論巴水ブルーは多出する。私はこの青色はフェルメール、ジョットに並ぶ個性的な色だと思う。
この展覧会はチラシも目録もなく本もあの図録しかなく、東日本での巡回時の内容です、と断りがある。店員に聞いても答えはなかろうから聞かなかったが、もしかするとどこかで取捨選択があったのかもしれない。京阪守口は時々不意に素敵な展覧会をひっそり行う。

mir285.jpg

他方、土井コレクションを見に行く。
自分の愛した作家の作品を展覧会に出せるのは、本当にすばらしい。

東京十二景シリーズがいい。巴水ブルーの氾濫がある。みずみずしさがガラスケースを越えてこちらにまで来るようだ。

青のそばに黒がくれば夜になり、白を配せば朝になる。無論そんな簡単なものではないが。
巴水は夜の雪、朝の雪を描き分けていた。白一つにも様々な色合いがあるのを知る。
展示数は少ないが堪能する。

また版画作品だけでなく巴水特集の図録や資料なども展示されている。
こうしたところにコレクターの濃やかな愛情と言うものを感じる。
それでついでと言ってはなんだが『宗右衛門町』の宗の字が宋になっていたので、大阪人として見過ごすのも良くないし、巴水を愛するものとしてもちょっとお手伝い?したくなってそのことだけ告げて帰った。
前回の感想はこちら。一年経ったのだ、と改めて感じた。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-588.html
近年、清方の弟子たちが世に再評価され、愛され始めていることを想うと、それだけで嬉しくなるのだった。
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コメント
遊行さんこんばんは。TBとコメントをありがとうございました。

京阪百貨店でも巴水の展覧会があったのですね。
いつでも見られるようで、意外とあまり見られないのが巴水の作品のような気もしますので、今回は本当にタイミング良かったなと思います。

私は東博常設→小石川と楽しみました。
本当にいつ見ても素晴らしいですよね。
2007/09/16(日) 00:35 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
はろるどさん こんにちは
東博では時々嬉しくも巴水を出してくれるのが本当にありがたいです。
近かったら展示換えごとに出かけたいのが東博ですが、なかなかそうもゆきません。
千葉市美術館がけっこうたくさん巴水作品を持っています。
それも近々展覧会あるのでしたっけ・・・
2007/09/17(月) 13:51 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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