美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

藤島武二の美人画

小磯良平の師匠は藤島武二だった。
武二は晩年朝日を描くことに熱心だったが、なんとも麗しい美人を多く描いている。
アールヌーヴォーとルネサンス絵画の影響を受けた武二の美人たちは、永遠に美しく生きている。

神戸の小磯記念館で始まった『藤島武二と小磯良平展』に出かけた。副題は『洋画アカデミズムを担った師弟』なるほど、確かにそのとおり。
しかし二人それぞれの名品をイメージすれば、どちらも真っ先に美人たちが思い浮かぶ。
弟子の小磯の描く婦人たちは、洋の東西を問わず・年代を問わず、「清澄」で上品(’50年代の労働者のおかみさんたちを描いていても変わりはない)、それに対し師匠の武二の描く婦人たちは、もう少し脂濃いように出来ている。

‘02にブリヂストン美術館で武二の回顧展があった。名品から知られざる小品まで揃い、素晴らしい展覧会だった。
こちらでは二人展という性質上、数はやや少ない。
しかし良い作品を並べていた。中身はブリヂストンに現れたものと重複もする。
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ただしこの『官女と宝船』はブリヂストンには出ていない。この作品は昨冬の東京美術倶楽部での『大いなる遺産 美の伝統』に現れたのが吉祥となったようである。
一年半前と全く同じ感想をわたしは懐く。
「私の好きな口紅と同じ色の人」
なんとも言えず、いい。

今回裸婦が数枚出ていたが、このうち初期の『桃花裸婦』は肌の色が黄ばみかかった馴染みある身体の裸婦で、いいものだと思った。
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この作品や泉屋分館所蔵の『幸ある朝』などは、いかにも明治初期の洋画家の描く作品と言う趣がある。油絵師とはまた違う味わいなのだ。
明治の浪漫主義が横溢して、この時期にはときめくような作品が多い。

『婦人と朝顔』この作品は『蝶』と同年のものらしい。
とても納得できる。mir321-3.jpg

武二は花と蝶が好きだったそうだ。それは作品を見て回るとよく伝わってくる。
蝶はここには出ないが共に並べると、深い魅力に惹かれるだろう。

少し遡り19世紀末の作品。『桜狩』お女中の結髪などを見ると、なまなましいリアルさを感じる。
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ここには『黒扇』はいないが、彼の描いた西洋婦人の中では、最も美しいひとだろう。
パリ・ローマを旅した武二は、朝鮮や台湾にも渡る。
『花籠』を頭上に載せる美しい朝鮮婦人。しかしこの左頬の赤みは一体なんなのだろう。
いつもとても気にかかる。mir321-2.jpg


『天平の面影』は世にある作品のうちでも特に好きな作品である。彼女はここには来ず、いにしえの美人は江戸時代までとなった。
しかしルネサンスの面影を宿す婦人たちがいる。
『剪眉』中国人形に惹かれ、それをイタリア・ルネサンス風に横顔で描いた。
『芳恵』『東洋振り』もまた彼女の仲間なのだった。
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『台湾女性』は青いターバンを巻いている。フェルメールの少女のように。
その同じ青色で強い印象を残すのが『聖女』だった。
細く小さな作品。イタリアに留学したことで生まれたように思う。
彼女がどんな苦難を受けて『聖女』になったのかはわからないが。
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昭和に入り、武二の裸婦が変わる。モダンな佇まいの女たちになる。
髪型だけではなく、姿態がモダンさを帯び、武二の筆はそれを捉える。


武二の美人画ばかりに主眼点をおいた。
個人的な喜びがここにある。

展覧会では小磯の名品と共に、武二の朝日や海や山の絵も楽しめる。11/18まで。
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はじめまして。カミタクと申します。

私が運営しておりますホームページ「温泉天国・鹿児島温泉紹介!」
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/kagoonin.htm
内のサブ・コンテンツ
○ 岩崎美術館・工芸館訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGKAN29.HTM
○ 長島美術館訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGKANAI.HTM
○ 鹿児島市立美術館訪問記
http://homepage2.nifty.com/kamitaku/KAGKAN24.HTM
から貴ブログ記事にリンクを張りましたので、その旨報告いたします。

鹿児島県は藤島武二の故郷ですので、藤島武二の作品を展示している美術館がたくさんあります。

今後とも、よろしくお願い申し上げます。
2009/11/28(土) 09:48 | URL | カミタク(リンク先は「岩崎美術館・工芸館訪問記」) #O/BmnR6Q[ 編集]
はじめまして
☆カミタクさん こんばんは
ありがとうございます。
いいタイミングだなーと勝手に喜んでおります。
先般、鹿児島市美術館、黎明館の所蔵品展「鹿児島と櫻島の美術」を見たところなので、気分的にピッタリです。
またそちらも記事にいたしますのでよろしく・・・
2009/11/28(土) 22:52 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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