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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

子供の情景 音楽ではなく

子供の情景
シューマンの連作を心の中に流しながらいくつかの展覧会を眺める。

・絵で読む宮沢賢治展—賢治と絵本原画の世界  (平塚市美術館)
・怪獣と美術 成田亨の造形芸術とその後の怪獣美術  (三鷹市美術ギャラリー)
・『少年倶楽部』から『りぼん』まで ふろくのミリョク☆
・華宵の『秋の調べ』
・夢二クラシック 〜古き良き日本への憧憬〜 (以上、弥生美術館)
・キンダーブック 表紙絵 (印刷博物館)
・茂田井茂の絵本  (日本橋図書館)

こうした展覧会はどうして、何もかもが輝いているのだろうか。

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鹿踊りのはじまり おぼまこと・絵
宮沢賢治の文章はそれだけで煌いている。ほんとうの鉱石や植物や星の欠片や生きものたちが、賢治のペンから生まれ出て、悲しんだり・笑ったり・泣いたり・怒ったり・ずるいことをしたり・いいことをしたり・苦しんだり・喜んだりしている。
それらを画家は絵にする。
数え切れない競作。賢治の作品と向き合って、そこから現れた絵本たち。

「よだかは、実にみにくい鳥です。 顔は、ところどころ、味噌をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。 足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。」 よだかの星・冒頭、そしてラストシーン。
「そしてよだかの星は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
 今でもまだ燃えています。」
そのよだかの最後はこのようにも描かれる。
画家たちは自分の眼で見た賢治の世界を描く。
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工藤甲人・絵

これらが何の物語かは、クリックしてみてください。mir346.jpg


平塚で賢治の絵本を見たことで『ゴーシュ』を描いた茂田井武の特集号を手に入れれた。Webでもその新聞の中身は読める。
http://ebook.webcatalog.jp/engine/php/mail/Default/jaMailOpenEBook.html?bc=10625&co=kanagawanp#
日本橋・人形町の図書館に茂田井武の小さな展覧会があると知り、出かけた。
貴重本として大事にされているようなのが、嬉しい。
ちひろ美術館で茂田井武の展覧会を二度ばかり見たが、どうしても『クマの子』が欲しいと希っている。
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ウルトラマンとリカちゃん。彼らの共通点は何か。ほぼ同じ年に誕生したそうだ。
わたしはウルトラマンA、タロウから本放送を見出したが、一番好きなのはウルトラセブンである。ウルトラマンはわたしの会社の先輩の憧れ、わたしはウルトラセブンが好きだ。
このことについてはこれまでのウルトラマン展覧会で度々述べている。
そのウルトラマンに現れる個性溢れる怪獣たちをデザインした成田亨らの原画などを見に行く。
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シュールな発想の中にすばらしい魔法の種が埋め込まれていた。
大好きな怪獣たちが、どういったプロセスを経て生まれたかを知る。
リサイクルから生まれたものもいるとは。
わたしの誕生日に活躍した怪獣もいる。嬉しくて仕方ない。
どきどきする。三鷹ではこれまでハズレがないな、とひとりごちながら何周も見て回る。
エレキング、ダダ、ウー、ジャミラ、カネゴン・・・
ペン画を見るうちに彼らのエピソードがアタマの中を行過ぎてゆく。
チラシに載る怪獣たちは何を思うだろう。
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末吉暁子に『かいじゅうになった女の子』という作品があるが、もしかするとこのときの私のことかもしれない・・・


わたしは昭和50年代に子供時代をすごしたので、『りぼん』のふろくを懐かしむ世代である。ただ、わたしは52年には『花とゆめ』を購読し始めたので、同学年の少女らに比べ、付録と縁が薄かった。わたしはものは捨てない主義なので、今も付録の着せ替えやノートなどを持っているが、これらは『小学3年生』誌あたりの付録である。
その意味でりぼんの付録は、イラストの作者に親しみはあっても、付録そのものとは無縁に近い。その反動か、30年後の今になって付録への愛情がフツフツと湧き出している。

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過去に二度ばかり弥生美術館では付録の展覧会を開催しているが、そこでわたしは祖父母の時代の『少年倶楽部』『少女倶楽部』、叔父の世代の『少年探偵手帳』などに出会い、随分ときめいた。休館中の野間記念館が自社の宝物である『少年倶楽部』の付録展を開催したときも喜んで出かけていたが、付録についての細かい歴史などはここでは書かない。
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こうした組み立て付録がジオラマで遊園地を作っていた。

夢二はやるせない女の絵を多く書いたが、童画も多かった。
わたしにとって最愛の作『パラダイス双六』img610.jpg

わたしはこの絵を見る度、ここに住みたいと強く願うのだった。

華宵の便箋などが欲しくて、という話をよく聞く。華宵の付録作品は一個の芸術である。
弥生美術館の会員になって16年、一期たりとも欠かすことなくこの美術館を訪ねているが、それでも完璧と言うことはなく、必ず新しい発見がある。
それが幸せなのだった。

当時『りぼん』でときめいた陸奥A子、田渕由美子が今も『YOU』で素敵な作品を描き続けてくれていることを、とても嬉しく思っている。

わたしは物持ちが良いので幼稚園で貰った絵本は今も手元にあり、何年かに一度くらいの割合で再読する。子供の目と大人の目の違いを楽しむためもある。
キンダーブック表紙絵。
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『キンダー・ブック』とは無縁だが、その執筆陣を見ては、この展覧会をスルー出来るはずもない。武井武雄、林義雄らの作品があると聞いただけで、胸が苦しくなった。
子供を取り巻く環境は大きく変わったけれど、この膨大なキンダーブックを前にすると、やはり「まっとうな生き方」を子供やその親御さんに勧めたくなる。まず絵本を一緒に読んで、そこから生きていってほしい。きれいな心持ちになることがきっと出来るから。


上記に挙げた展覧会、なにもかもがとても楽しく、もしかすると今回のツアーはこれらのためか、感じたりもする。
幸せな気分が持続するのは短いけれど、それでもこれらの展覧会で少なくともわたしは自分の感じた幸福感を知っている。
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