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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

風流と美 湯木美術館開館20周年記念

茶道具を見るのが好きだ。
お茶をいただくのも好きだ。
茶道に関する伝承やちょっとした挿話が好きだ。
しかし習わず・出かけず・集めず、で暮らしている。
型の美を身につける作業が出来ないことが原因なので、それはそれで仕方ない。
だから見ることが一番たのしい。
mir406.jpg


湯木美術館で開館20周年記念・風流と美 展の後期に出かけた。
湯木貞一さんが集めた茶道具や懐石の器などを集めた、とても親密な空間。ここに来るといつも柔らかくいい気持ちになる。

小堀遠州『紅葉鹿図』 これは「さほ鹿の 声なかりせば 山里に…」の歌を踏まえて描かれた絵で、雌鹿の後を雄鹿が追って山裾を走っている。可愛く楽しげな作品。

乾山『銹絵染付』短冊皿と絵替筒向付 それぞれ10客セットだが、とても素敵だ。皿には和歌が書かれ、向付には梅や蕨が描かれている。
同じ絵で揃わせるのではなく、手は同じでも異なるものを描く。
それがまた楽しい。どれにあたるのだろう、と思う楽しみもある。

祥瑞本捻鉢 これはたいへん親しみのある鉢で、いつ見ても嬉しくなる。
絵柄の綺麗さ・色の濃さもさることながら、家にもあるなという気持ちが湧いてきて、それがこの作品への愛情を増すのだ。

黄瀬戸福之字鉢mir406-2.jpg

今現在のチケットに使われている。見込みに福の字が刻まれていて、なるほどめでたい。

道八『色絵桜透かし鉢』 仁清や乾山を慕った道八は先人に倣ったと言いながら実はオリジナルな器を多く作っている。ニュアンスはたしかに先人のそれに習っているのだが、味わいはやっぱり道八は道八なのだ。
わたしは仁清より幕末の道八の作品のほうを愛している。

片桐石州『茶杓 銘・宗仙の面影』 この茶杓は櫂の匙が大きい。指で確かめたくなるほどの匙の具合。

山本春正『住吉蒔絵平棗』 住吉文だから当然ながら太鼓橋と松と流水がある。文様は棗全体に及び、立体化された空間として、住吉そのものがここに封じ込められている。

禾目天目茶碗 これがまた手にしっくりきそうな茶碗で、そして禾目の繊細さにはときめくばかりだ。他の煌く器同様、この建盞にも小さな愛情が湧いてくる。

ここではお仕覆も大事に展示され、名も教えてくれる。
相良間道、紫地花兎金襴、荒磯緞子、木下裂…何もかもが愛しい。
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茶道具のうち、懐石の器とお仕覆と茶杓がわたしの三大フェイバリットだ。

近代ヨーロッパにシノワズリー趣味が流行ったのも理解できるが、日本でも無論、中国趣味は大きな人気を得ている。

佐野長寛『絵萬歴食籠』 漆に描かれた文様は明らかに明代のそれの写しで、ご丁寧に嘉成年間とある。エキゾチックな美。日本の中国趣味と言うより、やはりこれはヨーロッパのシノワズリーに近いような気がする。

最後に『石山切』 をみた。これは鈍翁旧蔵品で、表裏がそれぞれ趣の深い作品なので丸めぬ軸にした。箱は殆ど呉服のそれのようで、色紙も手も美しいが、箱そのものにもときめいてしまう。

これら重文ものは入れ替えも続けていて、佐竹本の業平は九月の展示だった。
展覧会は12/9まで。
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コメント
こんばんは。
あぁ、やっぱり秋はこんなお茶碗で、
おいしい御菓子とお薄で一服が幸せですね。

黄瀬戸の福の字は良い感じですね。
姿のさっぱりしすぎる黄瀬戸ですが、
こんな姿なら、嬉しくなります。
お茶の稽古をするべきかどうか、
未だにチャンスが訪れません。
これ以上体も廻り切れませんし、
友人達に教わればいいや~で済ませています。←単にあまのじゃくなのでした。
2007/11/09(金) 22:52 | URL | あべまつ #-[ 編集]
あべまつさん こんばんは
黄瀬戸は普段使いにもいい感じがありますよね。
わたしもこれだけ茶道具を見ているのに、稽古する縁がないです。
でも立礼式から更に「座礼」を生みだした今の裏千家家元には大賛成です。
茶道で身も心も美しく律する、ということが怖いので、こうした優しさに惹かれます。
2007/11/09(金) 23:13 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
今日は、お茶のお稽古、炉開きです。
いよいよ冬が来るんだなぁと実感します。
懐石の器と仕覆と茶杓がお好みですか。
う~ん、通ですね。
仕覆の種類を覚えるだけでも、四苦八苦です。
それにしても、吉兆の事件は、悲しいですね。
2007/11/10(土) 08:47 | URL | 一村雨 #-[ 編集]
一村雨さん こんばんは
ああ~冬の始まりの茶事ですねぇ~
冬のよさを感じるのは茶道がいちばんかもしれませんね。
通かどうかはわかりませんが、とにかく好きで。眺めるだけで、静かで豊かな気持ちになるんです。
実際お稽古されている一村雨さんだけに、結び方一つにしてもたいへんなのでしょう。

>それにしても
ううううう。父親の偉大さを子孫たちが穢してどうするんでしょうね。
2007/11/10(土) 22:21 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
遊行七恵さん、こんばんは。
最近ようやく茶道具を見る楽しみが分かってきた
・・・ような気がする、菊花です。
私、茶道は、興味あるんですけど、あえて習っていません。
だってねー、茶道をやり出したらもう、
道楽の収拾がつかないと思うんですよ。
道具に凝ってみたり、着物にはまったり、
生け花を復活させたり(以前習っていたので)、
筆をもったり、とうとう庭まで造ったり。
・・・や、そんな道楽資金は何処にもないけれどね。
でも、やりたくなっちゃうことは目に見えている。
だから、眼で楽しむことにしています。
今はまだ、目で楽しむのは初心者ですけれども。
2007/11/10(土) 22:46 | URL | 菊花 #-[ 編集]
菊花さん こんばんは
>道楽の収拾がつかないと思うんですよ。
わははははme tooです。
ねぇ!(なにに対してのねぇ!だ)
わたしも本当にそれは思いますよ。
一つのセットを持ったとしても次から次欲しくなるだろうし、あれもこれもになるし。
ですから夏目漱石のキャラじゃないけれど『門』の外に佇み、中に入れない・入らないでおろうと。
とりあえず門の外からのぞき見です♪
2007/11/10(土) 23:50 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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