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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

正倉院展#59

秋の恒例行事・正倉院展に出かける。以前は必ず初日または二日目に出かけたが、近年はそうでもない。今年は59回目。わたしは38回目からだが、毎年何かしら初公開があり、再会もあったりで、楽しみは尽きない。少しマンネリ化した年には第一回目の再現もあった。
人気なのはけっこうだが、独立行政法人になって以来、大集客に歯止めが利かなくなっている状況なので、考える時期にさしかかっていると思う。
並び始めは8:20だから早かったが、その価値はあった。見る見るうちに増加する人波、並ぶだけでもたいへんだ。九時前に開館し、制限しながらの入場となった。毎年恒例とは言え、えらいなわたし。
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今回NTTが期間限定サイトでいくつかの宝物の360度ビューや拡大を繰り広げているが、やはり実物をガラス越しとは言え直に見ると嬉しいし、ときめく。映像は他者の眼で得た情報だからだ。
http://www.ntt-west.co.jp/shosoin/
しかしこのサイトはすばらしい。

今回何年ぶりか『羊木臈纈屏風』の羊が出た。木には猿が、下方には山羊の姿もある。44回のチケットにも使われている。かわいい。
大好きな羊歯がいっぱい生えているが、これはスタンプで押したものらしい。
その同工異曲というかシリーズが『熊鷹臈纈屏風』トボケた顔のクマタカといい、麒麟と猪と言い、大陸を感じさせる。これらの残欠も今回展示されている。クリックしてください。
mir408-1.jpg 071110.jpg


フェルトのカーペットたる『花氈』が出ていたが、わたしの持つ絵葉書と虫食いが違うなと思ったら、31枚のうちの別な一枚だから、当然なのだった。このカーペットの柄は今でも十分に使えるように思う。

『犀角坏』 漢方薬にも使われる犀のツノで作った坏だが、変に赤みを帯びた色がイヤだなと思った。血が混じったようだ、と観客の誰かが呟くのが耳に残った。

『新羅琴』 いわゆる伽耶琴。琴も和琴と朝鮮、中国とそれぞれ異なるのだった。

『竿』サオではなくウ。笙の大きい版のような。この細竹を集めた土台には迦陵頻伽が刻まれている。とても綺麗だった。

『青斑石硯』 先般中国の文人たちの愛した見事な文房具を見たところだが、この硯は実用と言うより飾りのように見えるほど、手が細かい。台のモザイクはシンプルな連続文で、みていてとてもかわいい。
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『墨絵弾弓』 放下師、楽隊、力持ちの芸人・・・などなどが墨絵でしっかりと描きこまれている。楽しい絵柄である。

『紫檀木画箱』 モザイクの綺麗な綺麗な箱である。側面のモザイクの綺麗さには感動する。小鳥、花などの小さな小さなモザイクたち。本当に愛らしい。

『刻彫梧桐金銀絵花形合子』 蓋のみのこるというが、その蓋はリアルな花に見える。木彫の巧みさが、とても楽しい。

油を使って見込みに色んな絵を刻んだ『密陀絵盆』が三枚ばかり出ていた。そのうち花喰鳥の図像がはっきりと残っている。

『紫檀金鈿柄香炉』 今回この獅子と屏風の羊とがアイドルなのは間違いない。
僧侶の焼香用のの香炉だと言うことで、少し煤がついているが全く瑕にもならない。
全体の繊細で豪華な装いに目を瞠らされる。
見返りの獅子。わたしはその方向からのぞく。獅子と目が合う。それだけで楽しい。
香炉の杓の部分には綺麗な石がいくつも嵌め込まれている。
それは花を象っていて、そばには小さな蝶たちがいる。そして柄の部分にも花柄が刻まれていて、その先端には金輪をくわえた獅子がいた。

今回は租庸調の関係品が多く出ていて、お仕着せの作業着や調布などが出ていた。
東京の調布と国分寺と言う地名を改めて考える。奈良時代にはもうその地が生きていたことを示す地名。

光明皇后御願経の『四分律』は実に読みやすい文字で、私好みの硬質な字体だった。いくつか文字を拾い読みして感心したりする。こういうことがまた楽しいのだ。

二周目はほぼ無理な状況だったが、時間が早かったおかげでか、随分間近でじっくりと眺めることが出来た。
会期末も間近だが、これからの方はがんばって見に行ってください。
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コメント
38/59
地元の奈良でも、そんなに行っている人はいないのでは?
私の行ったのは、10/28(分数ではない)の、午後2時くらいで、列は建物のひさしの中に収まっていました(折り返しもなし)。中も、「狩野永徳」程じゃなかったです。前々日、京博の案内担当が「朝一から午後の2時くらいまでが混んでいる」と、言っていたので、奈良博で応用してみました。確かに、数年前の初日あるいは二日目の朝一の列に比べたら可愛い列でした。
『墨絵弾弓』面白かったです。『紫檀金鈿柄香炉』もよかったです。やはり、単眼鏡は必需品でした。
ライトをあてているオッサンがいました。困ったものです。昔は、レーザーポインター使っている人もいましたが、今は禁止で何よりです。

金曜は、午前中、都心方向に出張だったので、午後は半休(こんな制度が有ります)とって、鳥獣人物戯画絵巻/サントリー、グラフィックデザイン1930/Fuji Xerpx Art Space、大徳川展/東博見て来ました。東博の常設に、狩野秀頼筆 観楓図屏風があって、歴博甲本でみた同じ酒盛りが描かれていました。やはりネタを仕込んだ見本があったのね。サントリーも東博も蟻の行列で、土日はキツそうです。
2007/11/11(日) 02:01 | URL | 鼎 #-[ 編集]
こんにちは。朝一は結構混むのかもしれません。私の行った初日も大変な行列でした。開館前に開けていたというのも同じです。会期中、ずっとコンスタントに混雑する展覧会なのでしょうね。
作品では紫檀木画箱や硯のモザイクが綺麗だなと思いました。全部木で組み合わせているのかと思いきや、石などもはめ込んでいるのですね。精巧です。

>わたしは38回目からだが

もう20年も通われておられるのですか!
来年は60回なので展示も派手になるかもしれませんね。そうするとさらに混雑にも拍車がかかりそうです…。
2007/11/11(日) 11:38 | URL | はろるど #GMs.CvUw[ 編集]
正倉院展、おつかれさまでした!
8時過ぎに既に博物館に到着されたとはすごすぎます!(笑)でも土曜日だったらそれくらいの気合で行かないといけないんでしょうね。
今年で59回目になるのに、いまだに初公開の品があるというのが驚きですよね♪
『羊木臈纈屏風』は、本当に可愛らしいデザインですね。動物が素朴で生き生きしています。香炉の獅子も愛嬌ありますね。
千何百年の時空を越えて、動物たちとコミュニケーションできる嬉しさを感じました。(^^)
私の記事では、正倉院展の内容そのものより、他の鑑賞客のマナーのことばかり挙げてしまいましたので、やっぱり充実した内容は遊行さんのブログにお任せしちゃいます♪(笑)
私の記事をTBしようと何度かトライしたのですが、うまくいきませんでした。あとで変な風にたくさん反映されてしまったらごめんなさい。。
2007/11/11(日) 16:14 | URL | tanuki #-[ 編集]
奈良の人口過密も明日で終了
☆鼎さん こんばんは
どうなんでしょうね、わたしは高校生くらいから古美術に走ったのと、『年中行事』をスルーするのが厭な性質なんです。
だから春のお水取り、秋の正倉院展は欠かせない奈良の二大楽しみなんです。
サントリーも前に比べて圧倒的に集客率を向上させましたが、いつ行っても大入袋が出そうな状態で、きっちり見て回れているのかちょっと・・・です。
それにしても裏を返しにこられ、更に正倉院展も楽しまれたとは・・・火縄銃のタマもよく飛んでいるなぁとしみじみ実感です。


☆はろるどさん こんばんは
木と石のコラボがいいですよね。
ああしたモザイクは正倉院の御物にはとても多いのです。
その時代の大陸の趣味が見えてくるようですね。
古代の宝石の嗜好は輝く石=貴石だったようです。丸くするのが、カットするより重要視されていたのでしょう。
丸石信仰とも関係があるのかもしれない・・・

>もう20年も通われておられるのですか
'86の学生料金は350円でした。今昔物語。


☆tanukiさん こんばんは
なにしろ遊ぶときだけは早起き、えっへん。
(胸張って言う台詞か?!)
やっぱり初公開と言うのは、それまでの間は展示できない事情が大きかったから、と言うのがあるようです。
ホホーと言う感じです。
修復の技能がこうしたことからどんどん向上するのはとてもいいことですね。
布もガラスからその形専用の容器に変更されましたし。
なんで今までしなかったんだ?という疑問もありますが、一つでもよくなるのはいいことですね。
TB残念でした。私の方からもお送りしましたが・・・

2007/11/11(日) 18:05 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
骨董品はつらい
> 火縄銃のタマもよく飛んでいるなぁ
金曜は午後から雨の予報でしたが、帰るまで降りませんでした。ラッキー。
土曜は結構な雨、火縄に火がつかず、お休み。
たばこと塩の博物館に行こうと思っていたのに・・・・
「昭和30年代物語 街角のたばこ屋さんをさがして」終わってしまいました。
2007/11/12(月) 00:22 | URL | 鼎 #-[ 編集]
鼎さん こんばんは
たばこと塩、わたしも行き損ねました。
渋谷に出かける最大の理由はここに行くことなんですよ、わたしの場合。
正倉院展も終わりました。
2007/11/12(月) 23:43 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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