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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

民博一周世界旅行

民博一周世界旅行
’80.11.7、わたしが初めて民博を楽しんだ日。
‘77に開設された国立民族学博物館(通称・民博)が開館30周年を迎えた。
大阪万博の跡地に作られた博物館は文化人類学の宝庫なのである。
わたしは万博を知らない世代なので、この地に来ても特にどうと言う感慨もないのだが、それでもこの大きさを思うと当時の人々の期待と熱気などを感じたりするのだ。
しかしこの万博公園の構造は実はまずいと思う。たいへん歩きにくいというか、合理的ではないと言うか、どうも色々含むところが生じる。
それでもこの民博にくると、それまでの腹立ちとか不条理感が消えるから、本当に凄いところだ。
先日亡くなった黒川紀章氏の名作。
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この建物の構造は、博物館に収蔵されている宝物たちにとって、最大に居心地の良い場所だと、わたしは確信している。
以降、全て画像はクリックしてください。
正面階段からの中庭風景。IMGP2825.jpg

中庭はパティオであり公開場所でもある。
なんとなくこの情景はイスラームの『閉じられた庭園』=パラダイス、インド細密画の楽しそうな庭園、そんなものを思わせる。静謐で和やかな情景。古楽器の静かな音色が明るく静かに響いてくるようだ。

そこから階段を上りきると、ビデオコーナーがある。この映像コーナーは今も進化を遂げ続けているが、20年以前は本当に最先端技術を体感している、と言う想いが強かった。今はビデオテークを見ることはどこであろうと避けているが、ここのボックスは見るだけで嬉しくなる。
常設展の最初に現れるのはオセアニアの舟と精霊小屋である。
わたしはここでオセアニア文化に衝撃を受けた。
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そして同時期に諸星大二郎『マッドメン』を知ったことでいよいよオセアニアに深い関心が湧き立った。数々の仮面を見るといよいよ動悸も高まる、独り言も多くなる。
「あああ、オンゴロの仮面だ?コドワだ?」
刺青文化にも憧れがあるので、苦しいくらいだ。
今回、特別展が『オセアニア大航海展:ヴァカ モアナ、海の人類大移動』といってこちらとリンクしているから、一層深く楽しめた。特別展には小さなアストロドームが設けられ、それがプラネタリウムとして南洋の星々を映し出していた。
そこでは機械彫りの刺青の実況映像も流されていたが、この刺青文化と言うものも調べれば調べるほど、奥が深いのだった。
日本のそれは、松田修『日本刺青史』または『刺青・性・死』に詳しい。
どちらもどうにもならないほどわたしの偏愛の書である。
いつまでもこのオセアニアの地域に埋没していたいのだが、そうもいかない。次に廻るように道は作られている。
オセアニアへの憧れは、灰谷健次郎『我利馬の船出』でいよいよ強固になったが、実際のわたしはニュージーランドに行ったくらいなのだ。
いつかミクロネシア、ポリネシアの島々を訪れてみたいが、多分わたしはそこへは行くこともなく、この空間だけで憧れを拡大させるに留まるだろう…

南米の文明と文化にもときめいた。
今丁度神戸ではマヤ・インカ・アステカ文明展が開催されているが、しばらくはそちらへの関心が薄れているのを感じる。その一方で、この場に立つとトキメキが深くなる。
高階良子の描いた南米を舞台にした作品群…
そしてヘルツォーク『アギーレ神の怒り』『フィッツカラルド』の映像…

やがてアフリカへつく。
アフリカの不可思議さを考えれば迷路にはまり込むようだ。
謎としか言いようがない。ここに並ぶ展示物を見ていても、やはり不思議で仕方がなく、なにがどう不思議に思うのかも、実のところ説明できないのだった。
やはりヘルツォーク『コブラ・ヴェルデ』(ブルース・チャトウィン原作・『ウィダの提督』)そしてカメラマン・アーヴィング=ペンの『ダオメー』の映像が強烈に思い浮かび、それらが一層この不可思議さを構築するのだった。

アジアの片隅で。IMGP2802.jpg

吉田拓郎はアジアの片隅・日本で生きることを情念をこめて歌ったが、ここへ来るとアジアの広大さに、新鮮な発見を見出す。
東アジア、南アジア、東南アジア、中央アジア…全て異なる文化が生きている。
巨大な葬送山車、ポップでキッチュなリキシャ、中華思想、両班の生活様式、文明の十字路。
北方民族の狩猟具を見る。ここにはその働く民具しか展示されていない。彼らの歌も娯楽も見えない。それが残念だ。伊福部昭は北方民族に伝わる伝統音楽をモチーフにした組曲を発表しているが、それらはどの国の音楽とも離れた、そのくせとても優しく柔らかな音曲だった。

音楽と言葉もまた、独自の発展を遂げているため、展示も独立している。
ここには百万陀羅尼、ロゼッタ・ストーン、キープ文字などのレプリカがある。
そして楽器も多く展示され、近づくとそれらの音色が流れる
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日本の民俗展示も多い。これらが拡大したのが佐倉の国立歴史民俗博物館か、という理解を以前は持っていた。わたしはあの歴博もとても好きだが、行くのに気合が必要なのだった。
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やがて世界一周ツアーも終わる。つい先日、30周年記念のイベントがあったようだが、わたしの行った日はカウントダウンの最中だった。
近い割には遠い場所。また楽しみたいと思っている。
わたしの原点の場所なのだから。

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