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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

KYOTOきぬがさ絵描き村

堂本印象美術館は衣笠山のふもとにある。
『KYOTOきぬがさ絵描き村――印象・平八郎・神泉・竹喬・華楊――』
後期を見学した。
mir431.jpg

この美術館は建物そのもの、引き手・装飾・家具、何もかもmade by 印象で占められている。
入ると細川ガラシャの絵があるが、これは森之宮にある教会に飾られた作品。
教会は以前に見学している。こちらへどうぞ。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-570.html
さて皆さんと来たら浜村淳だが、とりあえず「さて」今回は衣笠山近辺に住まいした日本画家たちの作品を集めた特別展が開催されている。
こういうmapがある。関係ないが、思文閣からは来年の源氏物語千年紀を記念して、洛中の源氏物語地図を作成していた。欲しいような気もする・・・

まず福田平八郎。
京都での回顧展はすばらしかったが、http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-838.html
あの展覧会を通過した今改めて対峙すると、和やかな気持ちになるばかりだ。
花々、鮎、小鳥、竹、雪・・・これら皆が何もかも慕わしく、馴染み深い思いがする。
何がいい・どれがいい、というのではなく円満具足というか、何もかもがなんとも言えず良い心持ちがするのだ。
花菖蒲が開いていれば「ああ青くて綺麗」、紅葉の彩があれば「日本の秋やなぁ」、熊笹にホオジロが飛べば「なんとも可愛い小鳥が清冽な」・・・大上段に振りかぶった作品が一つもない、と言うのが実に素晴らしいと思う。
小説ではなく俳句の世界と言うものを感じる。
物語性はないが、叙情性がある。
眺めることでささやかな自然の中に入り込むことが出来る。
そんな良さをしみじみと感じた。

徳岡神泉。
彼も奈良での回顧展で眼を開かれた画家だった。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-739.html
観念的な沈潜した静謐さ。それを心に深く受け止めることが出来たのは、やはりわたしも年齢を重ねたからかも・・・と思ったりする。
平八郎や神泉の作品の味わいを知るまでには、やはり時間が必要なのだと実感した。
神泉も平八郎同様タイトルはごくごくシンプルで、悪く言えばそっけないほど即物的だ。
しかしそのタイトルから描かれた作品までの深い道のりを、目でも意識でも味わえることは、ファンだけの特権ではないか。
名品『筍』『鯉』などに再会すると、それだけで心が静まる。情緒が安定するのを知る。
東洋の心遊び。そんな豊かさを思う。

小野竹喬。
御影での回顧展で見た面白い作品が今回も出ていた。
http://yugyofromhere.blog8.fc2.com/blog-entry-453.html
わたしが勝手にピカチュー山と呼ぶ作品。山なみの雪解け、残雪がピカチューの形に残っているのだ。
奥の細道を絵画化したシリーズもいくつか出ていた。
実のところ、竹喬の描く空と木を見ていると、季節がわからなくなることが多い。春のような陽気な秋の空、夏の明るさのような冬日、日差しとも花とも見える背景にわたしのええ加減な意識は揺らぎを起こすのだ。
「波の間や小貝にまじる萩の塵」
これは例の奥の細道句抄絵で描かれた作品の本歌なのだが、この句がいちばん竹喬の作品に近いような気がする。
小さな貝も花びらも砂利も塵も何もかもがまじりつつ、しかし美しい。

山口華楊。
華楊の回顧展は多く大丸で観た。とにかく好きな画家で、展覧会があると機嫌よく出かける。出かけて裏切られたことはない。特に好きなのは虎ちゃんや黒猫や黒豹などの動物たちと、世評も高い『青蓮院の老木』。
あの絵が世に出てしばらくした頃、遠足で東山に来たとき、絵と同じ風景を見た。根上がりの木。しかし実際に目で見た情景よりも、華楊の描いたそれの方が自分の脳裏に深く刻まれている。つい先日も青蓮院のその前に立った。やはり実際に目の当たりにしつつも、あの絵の方が本当の情景に思われるのだった。
ところで『飛火野』は奈良の風景で鹿が幻想的に飛ぶ姿を描いているのだが、これまた不思議なことにこの鹿がわたしにはカンガルーに見えて仕方ないのだった。
こうなるとちょっと問題かもしれない・・・
もう一つアホな話がある。数年前、華楊展を大丸まで見に出たとき、華楊のタイトル文字を友人が読めないのでわたしがエラソォに「これは▲▲、これは○○、これは」と解説して歩いた。友人は「ほほー」と感心している。調子に乗ったわたしは虎の絵の前でやらかしてしまった。
「これは虎です」「見たらわかるわい!」・・・ニンゲン、あんまり調子乗ってはいかんなぁ。
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最後にこの美術館の創造主の作品のうち、主に絵を見た。

堂本印象。
とにかく印象はピカソもビックリの完全なる変容を繰り返した。わたしが好きなのはチラシにもある『木華開耶媛』などの美麗な作品なのだが、この上に挙げた作品のように、全く別人ぽい作風に変化した。
そもそもこの建物そのものがby堂本印象なのだ。
物語性豊かな作風から、どうしてこんな激しい抽象絵画に変遷したのかがわからない。
しかし自分の中にある芽に水を注ぎ育て上げ、次々と花開かせたのだから、やはり堂本印象と言う作家は凄いと思う。
館内には20個の椅子がある。それが全て違う柄に刻まれているが、それも堂本印象のデザインだった。座り心地は悪くない。なにより手作り感が楽しい感じ。
次回展覧会のチラシを最後に挙げる。
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わたしは『乳の願い』『洛陽女子』に惹かれるが、それでも立体作品にも目を向けようと思う。

見応えのある展覧会だった。
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コメント
「神泉」と「平八郎」の小品よかったですね。
とくに神泉の「富士(小下絵)」がおもしろかった。神泉もこのようにして色の組み合わせをいろいろと考えていたのかと思うと、また神泉の絵を見る目が変わります。

衣笠近くには木島桜谷の「桜谷文庫」や「高津古文化会館」などもあり、楽しめる地区になって来ました。
TBさせてもらいますので、宜しくお願いします。
2007/12/06(木) 01:18 | URL | 好日 #-[ 編集]
この美術館も私のお気に入りです♪
と言いつつ、もう何年も行ってないような気が・・・(^^ゞ
堂本印象の作風は、もうホントに色々変化に富んでて、どれが本当の印象のイメージなのだろうか???という迷いというか、面白さを味わえますね。まさに名前の通り(笑)
マン・レイも、ビックリ変容と言いたくなる数々の作品を残しているので、なんとなく重ねてしまいます。
2007/12/06(木) 17:57 | URL | tanuki #s.Y3apRk[ 編集]
☆好日さん こんばんは
お久しぶりですね、なのにTBが来ない~(泣)
>「桜谷文庫」や「高津古文化会館」
いずれも北野白梅町からテクテクですね。
高津は最近開館してるのかしら・・・
神泉が色調を実験していたのは興味深かったですね。
それとあのスケッチ。色んな富士が可愛かったです。


☆tanukiさん こんばんは
>まさに名前の通り(笑)
ホンマや~~!
ここはバスの便もよいのですが、やっぱりかなり遠くへ来たような気分になります。
不思議なくらい変容を繰り返して、しかも一つとして失敗ではない、と言うのは凄いと思います。
さなぎと蝶の繰り返しみたいです。
2007/12/06(木) 21:07 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
こんばんは。
こちらのチラシ、すばらしい色使いですね。
チラシも美術館の入りにかかわる大事な位置。
次回のチラシもご近所なら、
絶対行きたくなります。

美術館の立地条件、建築美、来歴などなども
行きたい気持ちにさせるもの。
衣笠方面は未踏の土地で、
あこがれます。

私も遊行さんにキュレーター役してほしいですが、
多分「虎」はわかると思います、にゃ~
暮が近づくとそれだけで、気ぜわしく美術館にあとどんだけぇ~
行かれるのか、どげんとせんかいかん、
とそんなの関係なく思うのです。←誰か止めてください。


2007/12/06(木) 22:26 | URL | あべまつ #-[ 編集]
秋に京都に行った時にやっていたのですね。
見たかったですね。
2007/12/07(金) 21:58 | URL | 鼎 #PgtEBqSc[ 編集]
☆あべまつさん こんばんは
>チラシも美術館の入りにかかわる大事な位置。
同感です。
実際、たった一枚のチラシに打ち抜かれて、時間も距離も経済も跳ね除けて走りこんだ展覧会がいくつあることか・・・
今度そんな企画を立ててみよう・・・
>虎
もぉホントにね(笑)周囲にいたほかのお客さんらにもウケたからええのですが、申し訳なかったですよ(笑)。

正月の東博が陽明文庫展なのが素敵です。


☆鼎さん こんばんは
これはいい展覧会でした。
リサーチが足りなかったのでしょうか。
ここの企画はいいものが多いです。
またぜひむかわれてください。
2007/12/07(金) 22:37 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
すみません、TB着かないみたいですね。
何回か試みたのですが、だめみたいです。
すみません!!
2007/12/08(土) 23:03 | URL | 好日 #-[ 編集]
好日さん こんばんは
わたしからのTBはなんとかうまくいったようです♪
タイミングはなかなか難しいようですね。
2007/12/09(日) 18:07 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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