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美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

やっと見ましたBIOMBO/屏風展

やっと見てきましたBIOMBO/屏風 日本の美。
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サントリー美術館で開催後大阪市立美術館に巡回したのが十月末、こちらでは12/16までの開催なのに、わたしは随分出遅れて12/8に出かけた。
お客さん、多かったな。
入るといきなりサントリー所蔵の『泰西王侯騎馬図屏風』左隻がお迎え。
右側の黒馬が実にオトコマエな馬なので、「おっ」という感じ。
こんな目つきの馬、なかなかあれだな。
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展覧会は基本的に6つのコンセプトで分類されているが、そのとおりの展示はされていない。越境する美意識とでも言うのか、決して順番どおりでは並ばない。
それを一つ一つ眺めて廻る。ただ、7週間の展示期間に頻繁に入れ替えがあり、全部を見て回るのは私には出来ないことだった。
都下にいればサントリーの会員になり全期間を見たろうが、それはそれでもいい。
見たいものを見る一方で、見れないものへの無念さを胸に抱くのもいいかもしれない。

1室-2室 屏風の成立と展開 BIOMBOの時代
山水屏風 国宝で京博所蔵品なので時折見ている。しかしながらこのコンセプトの中で眺めると、またいつもとは違う感興が呼び覚まされる。
平安時代唯一の屏風だと言うが、1面目に描かれた、林を行く騎乗の二人の様相は、その前代・奈良時代の装いに近いように思う。3、4面には亭があり、狩猟か野駆けの一休みを描いたようにも見えるが、そのこと自体がやはり前代風にも思われた。

山水屏風 醍醐寺 開かれた座敷がある。その二畳間から外を眺めると白い木花が咲いている。桜だとプレートにはあるが、むしろハナミズキのような花に見えた。
そしてこれらの絵のはるか上方に二枚の色違いの猟師が貼られている。向こうには高士らしき老人と、琴を運ぶ童子らが見える。
常々思うことだが、中国の高士と童子の組み合わせと言うのは一体ナンなのだろう。
日本では老人と子供は等しく神の領域にあるものと、中世の頃は見做されていたが・・・
そんなことを色々考えると時間が不足するのでまた今度だ。

十界図屏風 当麻寺 無論当麻曼荼羅の体裁も含み、そして六道の様相が描かれている。視線は右から左へと移行する。上部には往生要集などの文章を抜書きした色紙が色々と貼り付けられている。
地獄はつくづく拷問部屋の様相にしか見えず、火の池地獄に煽られる女の顔には不可思議な歓喜も見える。これを絵解きして、「こんなになっちゃアキマセンよ」と説教しても、中にはエエなあと思う者もいたかもしれない。
修羅道は果てしなき死闘が繰り返されている。仁義なき戦いになっている。
畜生道、ここには面白いものがあった。食物連鎖と言うのか弱肉強食と言うのか、ミミズ<カエル<ヘビ<イノシシ<猟師 の並びがあった。救われるものはどこにもいない。
一方母犬のそばに4匹の仔犬が戯れていた。状況を無視して、ただただ可愛いと思う。
仏の世界は交響曲が鳴り響くような色調で描かれているが、どちらが楽しいかは不明。

四季花鳥図屏風 大阪市立美術館 中期には白鶴のそれが出ていたようだ。それはチケットにも使われているので馴染みがあるから、こちらの絵に会えて嬉しい。なにしろ見ていない。狩野宗秀による激しい絵。プレートによれば「本朝画史には永徳に似て荒しとある」そうな。なるほど、と一人合点する。へんな鶴が吠えている。剥落が激しいのがいよいよ恐ろしいようなイメージを見せる。孔雀のつがいもいるが、雀踊りの連中もわさわさいる。
どちらかと言えば見ていても穏やかな気持ちにはならない屏風だった。

書画押絵貼屏風 メトロポリタン美術館 1面につき1絵1詩。5の牡丹と蝶、6の笹ユリ、9のミミズクVSカラス(叭叺鳥か?)の構図が特によかった。その9を見て横山光輝のデビュー作『音無しの剣』を思ったのはわたしくらいかもしれないが。
ミミズクと言うだけに耳が立っている。周囲の黒いやかましそうな鳥たちが非難しても知らん顔しているようにも見える。それがとても気に入ったのだった。

石山寺縁起絵巻 巻5 石山寺 藤原国能の妻が参篭し、夢に観音の訪いを見る。その眠る枕元には浜松屏風が立てかけられている。綺麗に色も残っている。
枕屏風の選択と言うのはやはり大事だと思う。
『八つ墓村』では「三酸図屏風」が、『獄門島』では三つの俳句を貼り付けた屏風が、重要なキーになっていた。

桑実寺縁起絵巻 桑実寺 土佐光茂 阿閉皇女の物語。病床に伏せている。阿閉皇女といえば文武天皇の母で、後に中継ぎの皇位にもついている。土佐派らしい綺麗な色調だった。

洋人奏楽図屏風 永青文庫 MOAのと似ているそうだ。兄弟絵か。華やかな彩色。
ここにはルルドの泉を勧請したような小さな窟が見える。
いつも思うが、こうした洋画風の作品はなぜこんなにも<静か>なのか。リュートを弾く女、バイオリンを奏でる男もいるというのに、いつもいつもその作品は静寂に包まれている。話し合っている人物たちがいるのに音そのものが消失している。
不思議な空間に描かれた人々・・・

南蛮屏風 サントリー 狩野山楽 船の入港図。殆どサーカスのアクロバットのような仕事をする黒人水夫もいる。陸には蘇鉄を植えた庭もある。堺の南宗寺の蘇鉄を思い出す。或はそうなのかもしれない。
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このとき船のこの部分を見て「持衰かな・・・客人にしてはちとあれかな、外国にもそんな役目のものがいるかどうかは知らんが描いたのは山楽だしな」と思っていたところへ、見学していた学生の一人が友人たちにそのことを口にしたので、わたしもお仲間に入ってしまった。彼女たちがその問題を解き明かしたら面白いのだが。
だが持衰にしてはやはりキレイすぎるような気もする。
そして振り向けばガラスケースには、サントリーの織部南蛮人燭台があった。
持衰の次は『燈台鬼』か…早々に逃げた。

3室 近世屏風の百花繚乱
聚楽第図屏風 三井記念美術館 百万遍から始まる京の町を描いた屏風。井戸周りで働く女たちがいる。聚楽第の栄華は短かった。そういえば秀吉は文字にあまり拘りがなかったらしく、第の字が面倒だったのか「大」でもいいと言ったそうだが・・・
関が原合戦図屏風 左隻 大阪歴博 元は津軽候の所蔵だったそうだ。嶋摂津守の旗には十字架のような紋所が示されている。島津のそれとは違う十字架。崩れる戦線。丘では今しも腹を召さんとする武将たちがいる。その背後には介錯人が刀を下げて立っている。
何もかもが炎上している。石田光成の旗も燃えている。伊吹山まで描かれたところで、敗残の兵はどこへ逃げ延びたろうか。

阿国歌舞伎図屏風 京博 色んな阿国歌舞伎図があるが、この京博と大和文華館のそれと徳川のがベスト3だと思う。あでやかに笑う阿国がいい。舞台を見る観客も、四百年後の観客も、みんな彼女に魅了されている。

帝鑑図屏風 永青文庫 またここで説明をやらかした。たまたまここは空いていたからまだしも・・・。するとさっきの一団とは違う中国史が好きだという女の人と色々議論になった。迷惑なわたし・・・。絵は夏殷周から漢そして唐までの皇帝行状記を、絵と文とで構成している。しかし実際のところきちんと順序良く絵が並んでいるわけではないので、そこも考えねばならない。
かすみ網の法律が制定していること、彼女は調べられたかなぁ・・・?

小袖・屏風虫干し図 大阪市立美術館 一粒で二度おいしい、ような作品。朝顔が咲く透き通る屏風があったが、紗か羅かで作られたのか?と思うようなものもあれば、派手な小袖も多く掛けられていた。なかなか楽しい。チケットにも使われた。
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邸内遊楽図屏風 大阪市立美術館 女郎屋の門前で輪になって踊る人々、まだ苦界ではなく公界であった頃の遊郭。色んな遊びをしている。二階ではうんすんカルタをするのもいる。湯女もいて立ち働いている。杉戸絵には記事が描かれ、屋敷の釘隠しは桐に菊だった。

洛中洛外図屏風 大阪市立美術館 左右どちらも見れた。金雲は型押しの入ったもので、祇園小橋や三条小橋もしっかり描きこまれている。三十三間堂の通し矢に賀茂の競馬もある。賑やかでけっこうなことだ。

京大坂図屏風 サントリー おお、これは先般サントリーで楽しませてもらった屏風だ。
今現在のわたしが遊びに行く先々が描かれているのが楽しい。遊行してますな-

四天王寺住吉大社図屏風 サントリー これがまた今日ぴったり。展覧会は天王寺(四天王寺から徒歩15分)、この後に堺に行くので住吉さんも通るから、ますますバッチリだ。
金雲型押し。松林の中に一心寺の文字があるが、建物は見えない。
このお寺は骨仏を安置している。十年ずつ信者さんのお骨で仏を拵えている。私の祖父や父もそれぞれの仏像の一部になっているし、知人もそうだと言う。
宗派関係なくボーンチャイナのブッダ。
先日、よくしてもらった方が亡くなり落ち込んでいたが、やはりここへお骨を預けるようで、仏像が完成すればお参りに行こうと決めている。
さて隣の四天王寺は春の舞楽もあるし、桜も咲いている。南門はいってすぐの林の中ではいちゃつくのもいる。そして古代は波が寄せていた西門の前には店店が賑わいでいる。
今もこのあたりには釣鐘饅頭本舗や手相など色んなお店がある。彼岸の前後にはやっぱりここに来たくなる。キリキリ舞いする巨大な夕日が見たいし、日想観もこらしてみたい。
春の宵に訪れたとき、巨大な満月を見たこともある。世界唯一の四天王寺様式の建造物の真上に月はあった。あの黄金の盆のような満月は、それ以後見ていないが永遠に記憶に残ると思う。
一方、住吉大社。太鼓橋も鳥居も何もかもが白く塗られている。ちょっと不思議な感覚がある。蓮の咲く池の上の舞台ではお弁当を食べる人々もいる。初詣にはここもたいへんな人出になるが、北摂民のわたしはそれには行かないのだった。

4室 儀礼の屏風 婚礼調度
主基地方風俗歌屏風(平成度) 高山辰雄 先日亡くなった高山辰雄の作品。これは皇室の至宝展で見た屏風で、秋のもあもあと紅葉した景色を描いた作品だった。
不意に20世紀末の作品を見たと言っても違和感はなく、却って和やかな気持ちになれた。

法然上人絵伝 巻2 知恩院 ついに叡山へ行くことになる少年。母との最後の別れ。まだこの頃は剃髪前なので黒々とした長い髪が輪に結われている。剃髪して初めて彼のアタマが『法然アタマ』だと世に知られることのなるのだった。

白絵屏風 京都府立総合資料館 原在中 これは胡粉を主材にしたもので、ちょっと鏝絵の無色風にも見える。めでたい鶴の図が描かれている。意外なくらい大きな屏風だった。
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栄花物語図屏風 東博 土佐光祐 藤原道長の栄華を描いた物語を屏風にしているが、殿方の衣裳はフルカラー(ただし無地)なのに対し、女たちの衣裳は繊細な筆書き描写で、綺麗な柄のものばかりだった。これに目を惹かれた。こういうのが見たいような気がする。

人の一生図 ライデン民族学博物館 出産・祝言・死去が描かれている。絵が巧いとかどうとか言う問題ではなく、物語性を排除した記録図の様相を呈しているようにも思う。
しかし最後の最後に湯灌があったのには、ちょっと苦笑してしまった。
ナマナマしいなぁ・・・

長々と続けたが、ここまでの見学で2時間かかった。一旦地下レストランへ出たので、今日の記事もここで終わる。続きは後日また。
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コメント
オヤジ、感傷にひたる
お世話になっております
「見たいものを見る一方で、見れないものへの無念さを胸に抱くのもいいかもしれない」・・・かような一文を目にいたしますと なんとも たまらなくなりますな

大阪会場でしか かかっていないものも 結構あるようで
今週末までですか・・・うーむ(山科の方までは出るつもりなのですが) しばらく香月堂(靱公園)のきんつばも食ってないし 検討してみるとしますかな (東山の老松堂(饅頭)も食ってない・・・)

(続編楽しみにしつつ) ご自愛ご健筆を それでは
2007/12/10(月) 19:33 | URL | TADDY K. #fjJSDZ0o[ 編集]
こんばんは。
私は9日(日)の朝一番で入館したせいか、お客さんは少なかったです。
途中の展示室では私1人の時間もありました。
11月に行った時もお客さんは少なかったです(この時も日曜で時間はお昼前)。

大量の屏風を一気に見てまわるのは非常に時間がかかります。
まして、逸品ぞろいだったので尚更でした。
2007/12/10(月) 22:15 | URL | meme #z8Ev11P6[ 編集]
こんばんは。
大阪のチラシ、チケットのデザインはグッドですね。
サントリーの方は泰西の騎馬図にスポットが当たっていたのですが、アタシの趣味としてはこっちの方がずっと好きです。
四天王寺にまつわるお話は日常生活と密着した
大阪ならではのいいお話でした。

パタパタと畳んだ屏風が沢山東海道を移動したのを
面白く思います。
続編も楽しみにいたします♪



2007/12/10(月) 22:16 | URL | あべまつ #-[ 編集]
☆TADDY K.さん こんばんは
無念さもまた一つの味わいですね、それを糧にしたり執着にしてもいい。

ぜひぜひ行かれてください。
出入り橋のきんつばもいいですよ♪
わたしはイートインですが三番街の菊屋のアイス最中が最愛です。
中に忍ばせたゆず餡が絶品です。

しかしこの展覧会は本当にいいものが多かったです・・・


☆memeさん こんばんは
あれれそうなんですか。わたしは8日に出かけ、けっこう繁盛してました。タイミングかなぁ。
日曜日はけっこう家におる人が多いのかもしれないです。(そりゃ私か)
見学に・妄想に・解説に時間がかかったような気がします。
しかし屏風も実際色んなパターンがあるなぁと実感しました。
屏風絵ばかりの展覧会は、'90年代初頭のボストン美術館所蔵屏風絵展以来でした。


☆あべまつさん こんばんは
チラシ一つでそれぞれのコンセプトがわかったりして、面白いですよね。
実は東西のチラシ、選ばれた絵が違うだけでなく、書かれた文章もそれぞれ違うんです。
それがなんとも言えず興味深くて。
屏風って色んなエピソードがありますよねぇ・・・
そういうことを思いながら眺めて廻るのが楽しかったです。

後半はこれまたええかげんな感想文が続きます。
2007/12/10(月) 23:22 | URL | 遊行七恵 #-[ 編集]
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