美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

2018.6月の東京ハイカイ録

六月の東京ハイカイ録
梅雨なんだが金・土とうまいこといき、日曜もあまり歩かずに済むコースを選んだので、そない困ることもありませなんだ。

九時半に東京につき、いつものロッカーに荷物を放り込んでから丸の内線・都営新宿線と乗り継いで府中へ。
今回は長谷川利行の展覧会。
ここはいつも江戸祭が楽しいが、日本の洋画家の回顧展も大抵いい。随分昔だが児島善三郎展なんか最高に良かった。
田園の輝き 児島善三郎展 当時の感想はこちら

今回の長谷川利行展も本当によくぞ開催してくれた。
感謝しかない。尊い。
細かい感想はまた例によって別項。
こないだのガラス絵展でも長谷川のを見たが、あれもよかったなあ。

それから分倍河原から登戸、そして町田へ向かった。
府中から町田が案外行きやすいことを初めて知ったよ。
こういう発想はなかったからなあ。
だが、この組み合わせをしないと後後困るので決めたら、意外と「ええやん」になったのだ。

芹が谷公園からが勝負の町田市国際版画美術館。
以前にツイッターで「この道がマシ」というのを教わったのを思い出しながらその道を行く。
確かにマシ。マシだが近くはないのが町田市国際版画美術館。
とはいえ行くと確実にいい展覧会なのも泣ける。
公立でいえば、ここと板橋区立美と世田谷美術館とは、行くの面倒だけど行くと確実にいい展覧会があるのだよなあ。
「浮世絵モダーン」。
その前週は「大正モダン昭和レトロ」。
あとあれだ、日比谷では「大正モダーンズ」だ。
時代は確実に動く。←特に意味はない。

さて町田は神奈川という言葉もあるけど、実際そのまま横浜へ向かう。菊名で乗り換えてみなとみらい。
今日は横浜美術館夜間開館日。ヌード展。
充実してたけど、結局のところわたしは自分勝手な見方しか出来ない。
それで書くけれど、好みとそうでないのとに分かれすぎた。
ただ正直に書くと、ホックニーの連作は会えて非常に嬉しかった。
ただしその絵を見ながらわたしは自分の推しカプの姿態を想っていたのだけど。
フジョシというものはどんなときにも妄想が前面に出る…

都内に出て定宿の送迎バスに乗り、部屋に入ったのが22時。意識が飛んで、次に目覚めたら日付変わって3時前。
オイオイ待て待て。わたし、アウトやん。歯磨きもメイク落としもお風呂も何もしてない。
慌ててシャワーしながら全部こなすが、これだけの寝落ちは滅多にない。まずいのう…
初日ここまで。

二日目は土曜日。
8時過ぎに出て松戸へ。乗り継ぎはうまくいったが、それでも9時についた。案外遠いんだな。
松戸に来るのは久しぶり。以前ガンダムカフェがあった時以来か。えーと2004年頃か。…うわ。
それでよくわからない道順で聖徳大学に向かうが、開店前の商業施設のエスカレーターて使えるのか、と謎に思い横の階段を使ったら結構しんどい。
アジサイが綺麗なのだけが救い。

大学は幼稚園も併設してるのでけっこうセキュリティがしっかりしている。
わたしのような野放図なのにはちょっとあれだけど、まあなんとかがんばって博物館へ。
奈良絵本の展示を見る。なかなか綺麗なものが並ぶ。酒呑童子は伊吹山系。
これまで天理、慶應、龍谷、國學院などの奈良絵本を見てきたけれど、ここのも綺麗でした。

乗り継いで押上。たばこと塩の博物館へ。
「モガ・モボの見た東京」 これまた面白い展覧会で、たいへん好み。
大正モダンいいよねえ。資料で見た花王の資料が面白すぎる。いつか記念館に行こう。

そして本所吾妻橋から一旦定宿に戻り支度し直してから再びおでかけ。
今度は東洋文庫。
「悪」展の一つ。面白かったな。パチパチ撮りましたわ。

駒込の方が千石より近いんちゃうかな、ここ。

太田浮世絵美術館。こちらは「江戸の悪」展。
おもしろかったね、こういう展示は大好き。
「たばこと塩」にも「江戸と悪」の本が売り出されていた。

渋谷から國學院まで歩くようやくわかったわ。ほっとした。
國學院では山本東次郎所蔵の面を見てから「悪 まろわぬ者たち」をみる。
するとさっきみた「武悪」、かれもまた「まつろわぬ者たち」の一人のように思えた。

ブンカムラで「くまのバディントン」をみる。初めて知ったことだが、たくさんの画家がくまを描いてたのだなあ。
わたしは最初のペギーのがやはり一番残っている。

二日目終わり。

最終日。
送迎バスで東京へ。例によっていつものロッカーに荷物を置いてさてそこから。

霞が関から日比谷公園へ。
図書文化館で「大正モダーンズ」を見る。
これはもう自分の好きなものだけで構成されてて、震え上がったね。
大好き。

次は出光美術館「宋磁」の最終日をじっくりと…
いいなあ、の一言しか出ないわ。

銀座一丁目のスパンアートギャラリーで諸星大二郎原画展を見る。
色々と想うことの多い展覧会だったよ。
猫いいよね、猫。

四丁目まで出てそこから汐留ミュージアムへ。
と今書いてて、ここから宝町でるのとどっちが早かったか考えたわ。

ジョルジュ・ブラックのジュエリーがとてもよかった。これは素敵だわ。
いやまじで欲しいわ。特にブローチが綺麗だったなー。

それから三井で不昧公のゆかりの茶道具を拝見。
脳内で勝手に不昧公と対話を楽しみながら茶道具を眺める楽しさ。
これはなかなかくるね。

おっ久しぶりに一村雨さんに遭遇。お忙しい中、またこうして展覧会めぐりを再開されてなにより。
希望の持てるお話を聞いて、いい気分だ。

最後に東京ステーションギャラリーで「夢二繚乱」。岩田準一の所蔵品も含まれてて見ごたえがあった。
「出帆」全話挿絵が出ていて、これは貴重だった。

タイムアウト。少し買いものしてから新幹線にのる。
東京はやっぱり二泊三日くらいじゃまだまだ足りないな。
また来月までサラバ。

「荘厳 香 華 燈」@白鶴美術館

白鶴美術館の2018年春季展は「荘厳 香 華 燈」として仏具を中心とした展覧会である。
毎年3月から6月10日前後までの春季展の後はお休みになり、次は9月から開かれる。
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暑い日に出かけた。御影から延々と上らなくてはならないので根性がいる。
その根性が足りなくて先週はあきらめた。しかしこの展覧会は6/10までなので、どうしてもこの日に行かないとならない。
つつしみうやまうてきがんたてまつる… などとつぶやきながらようようついた。

中は大変涼しく風通しが良く、とても心地よい。それでいつも長居する。
ここに来るまでが灼熱地獄だと思うからよけいありがたくなる。

白石蓮台 中国 北斉時代・武平元(570)年 高さ25.3㎝  今回初めてチラシに出てきた。
そして資料もサイトに上がっている。助かるなあ。
以下、引用。
乳白色の白大理石による蓮華の台座。仏像の足元に置かれた台座は、香炉、蓮華や宝石、輝く光の要素、そして神獣を散りばめ、仏を飾る荘厳具を代表する作品の一つである。
本作も当初は、上面中央部に大きく空けられている枘穴に仏像を挿して用いられた。その枘穴内には朱字の銘文が書かれる。ここから、本作が北斉時代・武平元(570)年に呂氏により、国の繁栄と儲宮(皇太子か)の幸福を願って発注・制作された観音像の台座であったことが分かる。八方五段の蓮弁によって構成される本作には、蓮を支える獅子や畏獣、博山炉などを配し、それぞれに緑青、群青、朱で彩色し、墨で面貌が描かれる。仏像にたむける香を入れる博山炉が当初は正面にきていたはずで、博山炉及びそれに近い獅子や畏獣には、貼金がふんだんに施されていた。それに対して、博山炉とは逆の背面にある像には貼金がされず、また人面や猿面の畏獣や蓮華化生、連珠内の獣面など新たな要素が加わっている。
蓮弁をはじめとして各モティーフはいずれもぷっくりと肉付きよく、柔らかみがあり、白大理石という素材や彩色方法と共に、6世紀後半・北斉時代の中心地であった現・河北省辺りの作品の特徴をよく備えている。しかし、本作ほどに立体感のある蓮弁、保存良く残る彩色を備える作品は他に例がない。





見るのはこれで3回目。可愛いなあ。
獅子も仏も謎のヒトもみんないい。描かれた連中も可愛い。
これだけで「北斉の遺物全般」に愛を感じるくらいだ。
正座をしていたり胡坐だったり中にはヤンキー座りもいる。いい拵え。
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青銅鍍金透彫豆形香炉 中国・戦国時代  マメ形ではなくトウ形という。透かしは二頭の龍。薫炉。

後漢の博山炉も青銅のものと緑釉とがある。レリーフが多く頂点に孔雀がいるのが前者、身づくろいをする鳥がいるのが後者で、やきものだけに土中に埋もれたことで化学変化を起こし、白っぽく滑らかに光るラスター状になっている。

龍泉窯の砧の袴腰香炉、筒形香炉などは日本の茶人の美意識を刺激したことで、誕生した時よりずっと価値が高くなった。

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華やかな唐代に作られた仏具は華麗なものが多い。豪奢で見栄えがいい。
青銅鵲尾形柄香炉、青銅鍍金獅子鎮柄香炉…
サイズの違う似たものがある。
青銅鍍金透彫獣脚香炉 中小なので大もありそう。
小の方は獅子五頭、なんと肉球もあるそうな。
さすが「その龍に肉球はあるか?―ささやかな日常感覚から見た古美術」著者・山中さんのいてはるところだけある。

中尊寺伝来、法隆寺伝来のいにしえの美を楽しむ。
金銅垂飾や幡を眺めると、薄く刻まれた天人たちと目が合うこともある。
唐の鍍金五尊板仏たちはみんな薄目なので視線も合わない。

法華寺伝来 青銅浮牡丹文花生 鎌倉時代  一対とも富士山型の足つきで、足は木。

白掻落花文水注 北宋  可愛いなぁ、みっしり花で埋まるボディ。こういうのを見ると色白の女の人が秘かに刺青をしているように見える。

源氏物語画帖 胡蝶 伝・住吉如慶  紫の上と秋好中宮の雅な競い合い。墨絵に近い淡彩もので、六人の少年による胡蝶や迦陵頻伽。きらきらしい。

室町の謡本数冊。紺地に金線。「杜若」「芭蕉」「老松」。江戸の光悦とはまた違う良さがある。

螺鈿蓮華文経箱 鎌倉時代  綺麗わ。半パルメットの文様。法輪状の金具。

仏画を見る。
敦煌・莫高窟からの絵が二点。いずれも五代時代
莫高窟の仏画はシステマティックに製造。上部に仏画、下段に願文など。
薬師如来画像  虚空蔵菩薩などが脇侍。左から右への願文。父の冥福と母の幸福を祈願。
千手観音菩薩  実に明るい彩色の派手な仏画。しかし下段枠内の文は近代のもの。
西暦851年にこの絵は窟内に隠され、1900年4月に発掘された。そのことが綴られている。

わたしが莫高窟の仏画のことを知ったのは映画「敦煌」からで、その時廃人になった柄本明が死んだ者のような目で暗い窟屋の中でひたすら仏画を描いていた。いくら佐藤浩市が呼び掛けても反応もしない。そんな彼のことをそこの高官である田村高広が、彼はもう絵を描く以外には生きる価値はないのだという意味のことを言う。
怖かったなあ…

文殊菩薩像  鎌倉時代  少年文殊。五髷で可愛い。朱唇で胡坐を組む膝もいい。
騎獅文殊菩薩像 南北朝時代  こちらは大人。獅子がブサカワ。

几帳飾りの赤い糸が鮮やかなのと、涙柄の鈴が金属なのとそうでないのとがあるのが印象的。木の鈴みたいだったが、あれは後補かな。

鍍金四天王彫珠子箱 鎌倉時代  蓋には多宝塔で、周囲に四天王。箱の中はカラ。釈迦の不在ということでつまり舎利箱だったそう。なるほどうまいなあと思った。

阿弥陀三尊画像 高麗仏画  先年、泉屋博古館と根津美術館とで高麗仏画のいいのをたんまり堪能したが、この作品もその仲間。裏彩色もしてたいへん丁寧。ヴェールの白が綺麗し、釈迦の赤地に金色の水玉柄もいい。それが皺によって玉がみんな野球のボールに見えるのも面白い。

高麗仏画-香りたつ装飾美 当時の感想はこちら
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お水取りの練行衆のごはんのお盆もあった。永仁の頃の物。

西周時代の青銅器についている怪獣がグズラぽいのが可愛い。水木サンのキャラにも似ている。


次に新館で見た絨毯。
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このミフラーブというものに改めて関心が生まれたよ。

ランプの下に咲きこぼれる花と言う構図が素敵なのが多かった。
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いろいろいいものを見て満足。次は秋。

「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」展にわくわく

横須賀美術館は浮世絵のいい企画展が多い。
「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」展も面白かった。
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こういうテーマは好きだ。
2003年の松濤美術館「武者絵 江戸の英雄大図鑑」展も面白くて、図録もよかったなあ。
この頃はまだネットにデビューしてなかったので、何も記せていないが、いい展覧会だった。
他にも平木浮世絵財団のukiyoe-TOKYO時代に「武者絵 国芳から芳年まで」展があり、あれは感想を挙げれた。こちら
国芳が好きなのはやっぱりこういう武者絵のカッコよさがあるわね。

中右コレクション、早大演劇博物館といったところのいいのが来てるなと思ったら、「額縁のタカハシ」さんというコレクターからもいいのが出ていて、びっくりした。調べたら長野県の会社のよう。だからか川中島の絵がとても多い。
やっぱり好きな人は好きやよねえ。嬉しいね。
素晴らしい。前後期入れ替え。

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・江戸のヒーローたち
歌川国芳  本朝水滸伝豪傑八百人一個 上総助広常  狐退治の様子。
歌川国芳  本朝水滸伝豪傑八百人一個 尾形周馬寛行  児雷也ね。こちらは大蛇を倒してるのだけど、狐退治と構図はほぼ同じ。迫力あるよ。
舞台ではたいてい美貌の八世団十郎が演じている。
児雷也は明治になっても講談本もあるし、目玉の松ちゃんこと尾上松之助がキネマでドロンドロンとやったから長らく命脈を保ち、更に戦後では杉浦茂が「少年児雷也」でこれまた人気を呼んだ。

歌川芳艶 大江山酒呑退治 安政5(1858)年  大判三枚続の真ん中に巨大な酒呑童子の首が飛ぶ!色が赤黒いのが迫力ある。太田浮世絵美術館で芳艶の展覧会があった時にこの絵がイチオシになっていたな。

三代目歌川豊国 東海道浜松舞坂間 鳥居縄手 五右衛門 嘉永5(1852)年  刀を担ぐ五右衛門。国芳ほどの迫力はなくても国貞には「ファンが喜ぶ」視点がある。だから面白くない絵は少ない。

三代目歌川豊国 本朝高名鏡 牛若丸  これなどもそう。大天狗が出した腕にちんまり乗る稚児輪髷の牛若丸。可愛い。

横須賀だけに三浦半島と縁のある武将や戦いの絵も集めている。
長生きで有名な三浦大介義明の絵も色々。
国芳のも芳年のも出ている。前田青邨のもあればよかったね。

それで美術館ニュースには三浦大介の菩提寺の紹介もある。
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海の前の美術館だけに源平の海戦絵も並ぶ。
壇之浦や義経の流浪始めの大物浦の絵などなど。

時代は進んで川中島合戦絵がずらり。勇ましい。
泰平の世が長くなり、講談を聞いたりこうした錦絵を見たりして、在りし日の英雄豪傑に憧れていた江戸の人々。
今よりずっと義経や弁慶が人気キャラで、清盛と時平が巨悪キャラだった時代。

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・神々のすがた
明治の絵が多い。まあ時代背景がそれを望んだわけだしね。
記紀に現れるスサノオノミコト、ヤマトタケル、神武天皇のエピソードがやはり絵になる。

素戔嗚は登場したときええ年こいて泣きわめいたりなんだかんだと暴風雨なことして、「天っ罪」までやってのけて高天原追放の憂き目にあうけど、そこから先は全部かっこいいわけです。
月岡芳年 日本略史之内 素戔嗚尊出雲の簸川上に八頭蛇を退治し給ふ図
鈴木松年 八岐大蛇退治図
どちらも明治の絵。豪儀な感じがあっていいよな。
松年の退治されるヤマタノオロチたち、目が妙に可愛くて、何か物言いたげな顔つきがいい。

因みに素戔嗚はここで出会った娘と結婚し、子福者になるが、後に可愛がっている娘をオオクニヌシのオオナムチにとられることになる。パパは娘の彼氏に意地悪して色々難題を課すけど、賢い娘の協力でオオナムチはクリアーし、娘と共にラナウェイ。
その背中に悔しさもあるけど、娘の幸せを願って応援の言葉を投げかける。
この辺り、もうすっかり若い頃の暴れん坊のイメージは消えている。

暁斎、小堀鞆音、伊藤快彦らの神武天皇図。天孫降臨、金鵄勲章の神武天皇。
わたしなどは安彦良和「ナムジ」「神武」のイメージが物凄く強いけど、ここでは力強い征服者として描かれている。

そしてヤマトタケル。
これまでいくつかヤマトタケルだけの展覧会を見てきた。
珍しくも伊東深水の弟橘姫の入水絵もある。久しぶり。明治神宮の宝物殿で見て以来か。
昭和17年と言う時代を考えればこうした歴史美人画を深水が描くのも納得する。

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その弟橘姫ゆかりの神社がこの横須賀美術館から徒歩数分の走水神社。






吾妻はや!

・歴史画の興盛
幕府があった時代「日本」という国家は実はなかったのではないかと思うことがある。
いや、「国家」という意識はやはり明治からのものだということか。
だからこそあわてて「大日本帝国」の前史として歴史画が望まれ、江戸庶民の楽しみとは形の異なる英雄豪傑を描いたものが溢れたのだ。
と、勝手なことをかいておく。

小堀鞆音、鈴木松年らの絵がいろいろ出てきて個人的には面白い。
尾竹兄弟の絵ももっと並べたらよかったのに。

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源平合戦、太平記、そうしたメジャーなところだけでなく地方の戦乱絵も集まっていたのはいい。
特にここは三浦半島なので話も多い。
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いつか神奈川県下の中世のポイントめぐりをしてみたい。

猪飼嘯谷 頼朝手向の躑躅  三浦家の墓所へ。今も前掲のお寺に咲いているそう。すごく強いな、躑躅。
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京都市美術館では見ていないよ、この絵…

川端龍子  源義経(ジンギスカン)  最初にこの絵を見たのは龍子記念館のリーフレットから。それを探してて別なものが続々と現れ、肝心のがない。
しかし以前龍子記念館でこの絵が出たときに見に行ったのでその時のチラシを挙げる。
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龍子とロマン主義 神話・伝説の絵画化
当時の感想はこちら

ところでこの義経=ジンギスカン伝説を真っ向から描いているのがモーニングで連載中の瀬下猛「ハーン –草と鉄と羊–」。
かなり面白い。既に義経は「テムジン」の名を与えられている。

いつのどの時代と言うことは関係なしに、こんな情景もあったろう。
菊池契月 交歓
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好きな絵。特に右端の坊やが可愛い。

ところで貴種流離譚もまた英雄を形づくる大きな要素だけど、この展覧会でもその意識は活きているようだった。
そしてチェ・ゲバラもその系譜に連なっているのには、胸が熱くなった。

戦後20年ほどたっても歴史画は続いた。
羽石光志、守屋多々志らが名作を多く残している。
その中でも珍しいものを見た。
守屋多々志 雑賀孫一 昭和59(1984)年  ああ、孫一を描いた絵を見るのは初めて。
司馬遼太郎「尻啖え孫市」は面白かった。萬屋錦之介で映画化されもした。
それから川原正敏の歴史マンガの「修羅の刻」シリーズでも孫市はいい役で出ていた。

・子どもたちのヒーロー
幕末のおもちゃ絵いろいろ。
立版古もある。双六が好きだ。
これは笑えるぞ。
吉川保正 英雄豪傑運動競技双六  1924
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ツッコミどころ満載とはいえ、ファンの二次創作は昔も今も変わらない。妄想はどんどん肥大化する。

最後は野口哲哉さんの作品や本物の変わり兜などの展示。
相変わらずリアルなフィギュア。リアルな構造でうそをつく。
いつだったか、猫に甲冑つけた絵がツイッターで、戦国時代の様子だと信じた人たちを生み出していたな。
しかし驚いたのは今回の展示の案内役の博士と坊やのキャラを野口さんが担当したこと。
全然似てないなあ、普段の絵と。
この落差がとても面白い。



面白い展覧会も6/17まで。


美しき金に心をよせて

中之島香雪美術館の開館記念展第二段は「金」が集められたものだった。
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最初に菊水蒔絵硯箱が現れた。全体を菊水で埋めた箱である。
まんべんなく菊水。梨地に菊水…

第一章、 第二章と分かれてはいるが、ところどころに章を飛び越えて名品が姿を見せる構造となっている。

阿弥陀三尊像 一幅 鎌倉時代 14世紀 絹本着色  両肩を覆う今朝の美しい文様は截金細工。襟ぐりには花柄、他には雷文、卍崩し、七宝繋など様々な文様が綾成している。
向かって左の勢至菩薩と右の観音菩薩の間には蓮が咲き、薄紅色が清楚に光る。
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冠にもそれぞれの標がみえる。勢至菩薩の水瓶、観音菩薩の化仏、それらは更に背後の壁面に展示されている解説プレートで詳しく紹介されている。
作品を楽しむだけでなく、顧みればそこに濃やかな教えがある。いいシステムだ。

第1章 金色の光
続いて仏画を見る。

普賢菩薩十羅刹女像 一幅 鎌倉時代 13世紀 絹本着色  院政期の仏画の美を堪能する。
十人とはいえわたしには八人しか確認できなかった。
向かって左の和装美人が目立つ。右の唐様美人たちのうち、このチラシの「て」の字の横のご婦人が苦笑しているのが面白い。
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「黒い十人の女」ならぬ「金色に輝く十人?の女」である。
そして普賢を乗せる白象は左を顧みて、金色の菩薩を見つめる。

平安時代のお経の豪奢さ、そしてそれを収める経筒や経箱の美麗。
一つの時代が終わる直前に文化の頂点が来るが、まさにそれを目の当たりにする。
そして必ずしも古人に従わず、後世の人はその美意識を以て、違う者同士を組み合わせ、新たな美を創造もする。

無量義経徳行品 むりょうぎきょう・とくぎょうぼん。  名前に義経が入っているので勝手にうれしくなる。 金銀二本線の界線が入って、そこに力強い文字が続く。
文字の背景というか「下地」には金銀砂子、切箔、野毛(刷毛を糸状に細く切った切箔の一種)などで装飾されている。

ところでここで「野毛」という言葉に遭遇し、野毛とは横浜の地名、または上野毛とか思い出し、ちょっと調べても崖くらいの意味しか浮かんでこなかったが、よくよく調べるとこういう名称として「野毛」が使われている。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
切箔 きりはく
金、銀、錫(すず)などの箔を用いた装飾技術。仏画、仏像、経巻、料紙、屏風(びょうぶ)などに古くから用いられた。切金(きりがね)と同じ手法で、箔を種々な形に細かく切って貼(は)り付けるものだが、切金のように整然としていないし、貼るときも薄い糊(のり)をはいた上に振り落としてゆくので、配置にも偶然性の効果がみられる。その箔片の形によって、大きいものを石、細かいものを野毛(のげ)、小粒のものを山椒(さんしょう)または霰(あられ)、細粒のものを砂子(すなご)とよぶ。平安後期以降、蒔絵(まきえ)と併用され、金銀の強い輝きと蒔絵の淡い光とが効果的に模様を表現した。[小笠原信夫]


覚えよう。

蓮池蒔絵経箱 一合 室町時代 15~16世紀 木製漆塗 蒔絵  二層の脚がある。格狭間(こうざま)の下に床脚。そして後補らしいが、さらにその下層に脚がつく。
恭しい感じがあって、これはこれで素敵だ。

蓮池蒔絵経箱 一合 桃山時代 16世紀 木製漆塗 蒔絵  こちらは小さめで下段に金具付き。

(伝)徐熙 じょき(生没年不詳) 蓮池水禽図 対幅 明時代 15~16世紀 絹本着色  続きものの対幅ではなく、右vs左な構図で面白い。左には鷺、右には鴨。それぞれの出方を伺っているよう。蓮はそんなこと関係なしによく咲いている。複雑な鳥たち…
掛軸の上下は縦じまで褪色してはいるが五色くらい並ぶ。

月下菊雁蒔絵硯箱 一合 江戸時代 18世紀 木製漆塗 蒔絵  いい構図。五羽の雁がくつろぐ様子。金銀の菊、銀は酸化して黒くなっているが、それもまた寂びた良さがある。

阿弥陀二十五菩薩来迎図 三幅対 鎌倉時代 13~14世紀 絹本着色  なんとこれ並列なんですよ。三幅対で同じ緯度で菩薩たちがずらりと待機中。仏の体は金泥塗り。それが横並びにズラリというのはなかなかな迫力で、いつもはオーケストラだが今度はEXILEみたいな感じもするなあ。そして左幅には天蓋やと思う傘らしきのものの飾りがあるが、それがどうもUFOに見えて仕方ない。それもフルーツ籠風な。

当麻曼陀羅 13世紀 鎌倉時代   中央はいつもの極楽アイランドで周囲のコマはそれぞれ仏と関わった人々の話などだが、そのコマ絵がなんだか可愛くていい。
向かって左の縦はイダイケ夫人の物語、中央下は定義13観音、右は日想観。ちまちましたところが可愛いのかな。

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等伯 柳橋水車図屏風 これはフェスティバルホールの緞帳の一つ。右から左へとゆく間に橋の袂の柳がどんどん姿をかえてゆく、細かい描写がいい。左端の蛇籠、水車がポイントになる。銀の月の下で。

柳橋蒔絵伽羅箱  小さい正方形の箱。ふっくら。被せ箱。この箱を持っていたのはきっと手の甲の柔らかな姫に違いない。
そんなことを思うのも楽しい。

日月桐鳳凰・竹孔雀図屏風 江戸時代  青い桐の花、日月は金銀板、左の孔雀ファミリー、ママの羽根の下にちび達が収まる。
しかし一羽だけナマイキに外に出てパパに向かって何かさえずる。可愛いなあ。

日根対山 桐鳳凰図 1849  泉州・日根の日根対山。薄い桐、それを背景に鳥は案外カラフル。先年対山の展覧会が泉州で開催されたが北摂にはなかなか情報が入らず、とうとう行き損ねたのが残念だ。

岩佐又兵衛 堀江物語  絵の背後にモニターがあり、ようよう逃げ延びた乳母が太郎を抱いて泣いているところへ岩瀬家の人々が発見するシーンから成長した太郎が不思議な老人から出自を聞き、乳母に問い質し泣きあうシーンまでが見れる。
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そして本当の絵巻は太郎が元服し、養父・岩瀬氏の助力を得てついに仇討に出陣するシーンまでが出ていた。
またいつか全編みたいな…
ところで6/5までMOAで又兵衛「浄瑠璃物語」展示中。わたし、まさかの日にち間違いで今回見に行けないのでした。

景徳鎮窯 赤絵唐人物図鉢 銘・大マレモノ 磁器 16世紀 明時代  チラシの「香」の口の部分な。
この絵柄、ぐるりと左へ回ると、虎に懐かれる坊やがいる。そして反対側には山羊もいて、虎をじっと見ている。

橘蒔絵硯箱 室町時代  橘のふっくら実る木の上を鶴が三羽。下の岩には葦手で文字。
「花散里」の「橘の香をなつかしみ郭公花散る里をたづねてぞとふ」がベース。

仁清の可愛いのがある。この画像はフリー雑誌からだが、丁度わかりやすいサイズになった。
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本物の△はもっと小さい。色がとても清い。
そしてこの作り方をパネルが説明。

花兎蒔絵面中次 江戸時代  ウサギと言うよりハイジに出てくる山羊たちにしか見えないが、このウサギたちはみんな表情がちょっとずつ違い、それでみっしりと表面を覆う。
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土佐光貞下絵の二本松蒔絵面中次もある。
原羊遊斎の菊蒔絵大棗も出ている。
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かれの弟子・中山胡民の花鳥蒔絵棗も可愛い。蝶に小さな花に鳥。

松島蒔絵硯箱 幕末ー明治  千鳥が一斉に飛び立つ。中には小舟の水滴。

芝川又右衛門創業の日本蒔絵合資会社が拵え、村山が購入した物一式がある。
浪草花蒔絵文台・料紙箱・硯箱 1896  おー大胆な模様替り。波側には千鳥も。そして浜辺には花々。

綺麗なものをたんと見てご機嫌。
6/24まで。

御影では明治の刀工・月山貞一の展覧会。
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倶利伽羅紋の入った刀が綺麗だったな。

資料で見る大邸宅

本物を一度だけ見たことがあるが、むろん撮影禁止。
庭園ツアーも開催されていて、庭園撮影は可能だがネットに挙げてはいけないので、挙げないまま。
しかしカレンダーなどで出ている分があるので集めてみた。

今ではありがたいことにVRで邸宅内部を確かめることは出来る。
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模型もあるし、VRをたのしめるから、記念室に行くのもとても好きだ。
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