美術館・博物館・デパートでの展覧会を訪ね歩き、近代建築を見て周り、歌舞伎・映画・物語に溺れる日々の『遊びに行った日を記す』場所です。 

木の国フィンランドの伝統と革新 ー工芸村フィスカルスとニカリの物語ー

竹中大工道具館でフィンランドの工芸の展覧会が開催している。
2/18までである。
わたしは何を勘違いしたか来月までだと思い込んでいた。
あわてて出かけた。
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ありがたくも撮影可能である。

2時頃につくとかなりにぎわっていた。
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ニカリ社やフィスカルス村で創作に励む作家たちの仕事を目の当たりにする。


ニカリ創業者カリ・ヴィルタネンの道具。ヤットコ可愛い。
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環境が違えば当然ながら使用する道具の強度や用途すらも変わってくる。
テープ一つにしても寒冷地と湿潤な地とではその接着性に文句が出るものと好まれるものとに分かれる。
しかしながら偶然に同時発生的に同じ形のものが生まれることも少なくはない。
影響を見いだせないにもかかわらず。
とはいえ、どこかで意識がつながっていることもありえなくもない。
今回、フィンランドの職人たちが使う道具と、東アジアのそれとを見比べても興味深いだろうと思いながら見歩いた。

カリ・ヴィルタネンの椅子20180217_142012_Burst01.jpg
サイズの違うものが並ぶ。サイズを変えてもデザインは劣化しない。

ルディ・メルツの椅子 椅子にも表情がある。
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ヘラ製作工程と工具。トングもあった。
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無垢の木で拵えたテーブルとベンチのセット。
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寒い国で活きる木を使うことは暮らしを堅固にし、足元もかためてくれそうだ。


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家具からインテリアへ

キャンドル、モジュールプレート、ガラスボウル
フィンランドのデザインはシンプルで、そして確か。
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この後、帰宅して調べてみた。

PCでようやく「鏟」の字が出た。「せん」でなく「さん」「ならし」という読みがついていた。
ただし大辞林ではこうある。
せん [1] 【銑▼・ 鏟 ▼】
両端に柄のついた鉈(なた)様の刃物。桶(おけ)・樽(たる)・曲げ物細工の部材加工や,鉋(かんな)・鑿(のみ)などの刃の裏すき,地金削りに用いる。

更に調べると沙悟浄や魯智深のもつ武器にもその字が使われていた。


椅子。
構成と成立。
Mメルツ・スツール
ミッコ・メルツのデザイン。ペトリ・コイヴシピラ製作。
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面白い。

これも楽しい。




楡のボウル
マッディ・ソデルクルタラハティ
全面轆轤仕上げ。
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何故かわからないが、この曲線をみて、若い頃の若尾文子を思い出した。
それも増村や「性典」シリーズではなく、川島雄三作品での若尾である。


写真資料を見る。
ヘルシンキ駅 1925年の写真
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いい風貌の駅だ。

フィスカルス村
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短い秋に村は美しい姿をみせる。
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テラスにもテーブルがあった。
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新神戸にも似合っている。

2/18まで。


最後に新設された休憩室の紹介をする。
本館からすぐ左手の山側へ進む。
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瓦を載せたシンプルな建物である。
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中にはテーブル席がある。
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飲食可能だそう。

お手洗いと自販機がある。
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窓の外には茶室が見える。
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いい庭
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かつてはここも使われていたのだろう。
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和やかないい空間だった。

今度は遅れないように出かけたい。

「江戸後期の京焼陶工―奥田頴川と門下生を中心に」@東博 その1

やきものが好きだ。
特に好きなものは色鍋島、高麗青磁、樂焼なら三代道入。
京焼は乾山、幕末になると道八も頴川も木米もとても好きだ。
近代なら楠部弥弌、少し前なら塚本快示が最高だ。

以前にそういうキモチをここで挙げたことがある。
やきものへの偏愛について

やきものの展覧会にいそいそと出かける。
今だと丁度出光美術館で「色絵 Japan CUTE!」が開催中。
これにきゅんとなったココロモチはこちら

また間もなく根津美術館では「香合百花繚乱」展も開催するので楽しみにしている。
むろん大阪には天下の東洋陶磁美術館がある。
ほかにも多くの美術館が実に魅力的なやきものをたくさん持っている。
欠片のよいのを見せてくれるところまである。
いいものを見て歩けるのが現代のいいところだ。

さて今回は東博の所蔵品の内、京焼のいいのが集められていた。
色絵飛鳳文隅切膳 1口 奥田頴川
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頴川の赤と緑の使い方、いいよなあ。このヒトは十二支をモチーフにしたお皿が特にすばらしくて、あれを見るためにあちこち出かけることがある。

幕末には煎茶ブームもあった。
その中心にいたのが青木木米。絵師では山本梅逸らも仲間。
そこらあたりは甲東園の頴川美術館(えいせん、じゃなくて元・幸福銀行のエガワさんが開いた美術館ね)で度々名品をみている。
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抹茶の茶の湯とはまた違う楽しみ方が文人墨客の間に流行ったのだ。
梅モチーフは特に文人らに好まれた。

色絵草花浮文煎茶碗 5口 青木木米作
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可愛いなあ、可愛い。
小さいのによく出来ている。


銹絵雪笹文大鉢 1口 仁阿弥道八
先年サントリー美術館で道八展があった時、各美術館所蔵のそれが一堂にずらっと並び、比較できた。あれは楽しかった。
陶磁、いや、当時の感想はこちら
天才陶工 仁阿弥道八 その2
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雪が深いわ。

こちらもサントリーで各所蔵先のを比較したなあ。
色絵桜楓文木瓜形鉢 1口 仁阿弥道八
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大好き。

ところでSF作家星新一はとんでもなく個性的な絵を描く人で、通称「ホシヅル」なるものを誕生させた。
あれは首の長さはないんだけど、やきものの中にたまーにそのナカーマがいたりする。
とはいえ、道八の鶴はやっぱり鶴ですな。

黒楽鶴亀文茶碗 1口 仁阿弥道八
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こちらは讃窯バージョン
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銹絵秋草文水指 1口 仁阿弥道八
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この文様、とても現代風だと思った。

長くなるので一旦ここまで。

「江戸後期の京焼陶工―奥田頴川と門下生を中心に」@東博 その2

続き。
ついつい新しいスマホに浮かれて画像が大きくなるよ・・・

朱泥急須 1口 岡田久太
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柳と蝙蝠。
急須の良さを教えてくれたのは出光美術館でのこの展覧会から。
三代目山田常山 ときめきの急須たち
当時の感想はこちら

いいポジションをとる背後の急須も紹介。
色絵急須 1口 仁阿弥道八、左平合作
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色絵花鳥文急須 1口 尾形周平
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躍るような感じがいいね。

青磁唐草文角皿 1口 三田焼
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サンダね、ミタではないのよ。兵庫県のサンダ。
ここの釉薬の深さが好き。
元代のそれにも近い。

青磁鴛鴦香合 1合 瑞芝
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妙にカクカクしているところが却って可愛い。

三彩牡丹文碗 1口 偕楽園
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法花風。わたしは好き。

楽雀香合 1合 讃窯 仁阿弥道八作
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可愛いなあ。随分前にフランスのクレマンソーがコレクションした幕末の陶工たちの香合ばかり集めた展覧会が西宮大谷で開催された。あのときにもこの兄弟が出ていたかもしれない。


色絵菊文手鉢 1口 讃窯 三代高橋道八
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脈々と続く。


色絵紫陽花文鉢 1口 讃窯
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角度を変えて眺める。
現代もこうした文様はわりと写されていて、わが家にも近い文様のものがある。愛でている。

洋食器よりやっぱり江戸、そして東アジアのが好きなんですよ、わたし・・・
いいもの・ほしいものをたくさん見れてよかった。



宋と遼・金・西夏のやきもの

大和文華館で北宋から南宋時代にかけて生み出されたやきものをみた。
今回は特別出陳として愛知県陶磁美術館と京大総合博物館から名品がいくつもきていた。
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展覧会の狙いをサイトから引用する。
「中国の北宋から南宋時代(北宋:960-1127年、南宋:1127-1279年)にかけては、中国全土に多くの窯が築かれ、活発に陶磁器が作られました。北方では耀州窯や定窯、磁州窯、鈞窯など、南方では龍泉窯や南宋官窯、建窯、吉州窯などが台頭し、多様な陶磁器が登場するようになります。この背景には、陶磁器を享受する層が民衆へと拡大し、需要が高まったことが挙げられます。
多様な需要に応えて装飾技法も発達し、印花や刻花、劃花など凹凸による施文技法や、唐三彩の流れを受け、色釉を駆使した技法も展開されます。それらは唐時代までの技法を受け継ぐだけでなく、技術や作風を取り入れた新しい陶磁器としても生み出されています。
また、北方に勢力を持った契丹族の遼(907-1125年)やタングート族による西夏(1038-1227年)、女真族による金(1115-1234年)においても、磁州窯や定窯、三彩技法など中原の影響を受けながら製陶が行われ、それぞれに特色を持った陶磁器が作り出されています。これらの国々が栄えた時代は、中国陶磁史の中でも特に華やかな様相を呈する時代といえるでしょう。」


11世紀頃の面白い時代背景を踏まえながらやきものを見ると、いよいよ楽しくてならなくなる。

唐までの名品もいくつか出ている。
唐文化を尊敬し、我らこそその文化的子孫である、と遼の人々は誇った。
このことを踏まえてやきものをみる。

青磁雕花花文合子 越州窯 南北朝  浙江省から。米色に近い青磁。常盤山文庫で見たものと色めが似ている。

白磁蟠龍博山炉 隋―唐  ぐるぐる巻きの龍がついている。これは下にお湯をためるように出来ているそうな。今まで知らなかった。
というか、香炉だと思っていたがどういう使い方をしていたのだろう。

小さくて釦のようなものが二つ。唐後期―五代
白磁褐斑花文合子
白磁褐斑蝶文合子
形ではなく表面に ・ が5つあるのが花文で4つあるのが蝶文。それが釦穴のようで可愛いのだ。

唐代の紺地の三彩壺と盤もいい。色付けは白化粧してから。


【北宋】
青磁多嘴壺 北宋・元豊三年(1080)銘 龍泉窯  これはいつもなんとなくモヤモヤしていたが、今日になって何か分かった。
心臓だわ、これ。蓋なしだから余計そう思える。それで嘴は全て大動脈。
蓋有の方のも並ぶが、そちらにはそんな感じがしない。
ああ「心臓を捧げよ!」

青磁雕花蓮華文瓶 北宋 耀州窯 彫りの深さで色が変わる。オリーブグリーンの優品。
青磁雕花牡丹文鉢 北宋 耀州窯  こちらは一輪の花が咲く。折枝文という。

白磁緑彩瓔珞文輪花合子 宋  モコモコ風味。白地にユズ餡な感じが美味しそうに見える。
白磁印花蓮花文盤 北宋~金 定窯  愛知県陶磁美術館から。印花は人気がある。それにしてもこれはとても細かい。

北宋の定窯は白が中心。
他に白磁刻花蓮華文輪花鉢、白磁印花牡丹文鉢などがある。
しかしその「白が中心」に対し、珍しいものがあった。
柿磁金彩碗、黒地金彩碗、柿磁輪花碗。
濃いねえ。


【遼】
遼には唐の文化を継いでいるという意識があった。
それについてはこちらの展覧会で知った。
契丹 草原の王朝 美しき三人のプリンセス
当時の感想はこちら

緑釉皮嚢壺 遼 缸瓦窯 愛知県陶磁美術館  おお、リアルに皮嚢風。
ところで先ほど「心臓を捧げよ」と書いてしまったのでそのまま書くが、「進撃の巨人」の調査兵団の兵士たちはそれぞれが皮嚢を持って水を飲んでいた。
皮嚢は丈夫なので水漏れしないのだ。パラディ島の彼らは故あって文化の発達をある程度まで止められているので、その皮嚢を使用していた。

鳳首掻落緑釉牡丹文瓶 遼 缸瓦窯  肩下から胴の半ばまで緑釉のベルトが回り、そこに貼り付けの花が開く。掻き落としの線も入った花。とても個性的。素敵だ。

三彩印花魚文長盤 遼 缸瓦窯  集まる魚たち。2013年の「中国陶磁の広がり 愛好・写し・展開 」展以来の再会。
当時の感想はこちら

その時はこの鹿枕もあった。
三彩浮彫鹿文枕 北宋~金 枕を支える首のところに鹿が浮かび上がる。

張文藻というヒトの未盗掘の墓があったそうだ。
その写真が参考資料として出ていた。
その墓には明器だけでなく生きていた頃同様に食事の支度もされていた。
やきものも残っている。
ここにあるものはそれに似ている。

京都大学総合博物館からもいいのが来ていた。
白釉碗  繊細な文がある。
蕎麦釉壺  焼みそをつけているようだ。妙に美味しそうに見える。
どうも露胎はニガテだ。


【南宋・金】
青磁鯱耳瓶  龍泉窯  親しい感じがある。色もいい。

月白鉢 北宋ー金 鈞窯  ああ、いい色。綺麗な水色。

紅斑文盤 北宋ー金 鈞窯  月白地に紅が取り返しのつかないように広がる。

玳玻釉碗 南宋 吉州窯  内側の文様がどうも人魂がたくさん飛び交っているように見える。

油滴天目碗 南宋 建窯  たいへんおとなしい…


【西夏】
黒掻落牡丹文梅瓶 霊武窯 「経瓶形」の梅瓶…勉強不足でビール瓶とかワイン瓶がアタマに浮かんできた。
実際にはそんな首も長くはない。周囲に青海波が刻まれているのもいい。

磁州窯の特集もあり、これまで親しく眺めていたものが多く出ていた。
白地黒搔落緑釉牡丹文瓶 北宋  チラシには白く出ているが、実際に見たところ緑の玉のような色だった。

赤絵牡丹文小壺 金  小さい中に眼いっぱいの花を咲かせるのが愛しい。

赤絵蓮華文碗 金  どうもこの兄弟を逸翁美術館でも見ている。あちらではうまく継いでいて「家光」と銘を付けられている。

やはりやきものは楽しい。
いいものをたくさん見れてよかった。

2/18まで。

今泉今右衛門の色鍋島

横浜そごうで今泉今右衛門さんの近年の作品と、江戸時代の鍋島焼の名品とを見た。
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いいセンスのチラシ。

今右衛門さんは近年はプラチナ彩を駆使されて耀くばかりのやきものを拵えておられる。
たいへん綺麗で、しかも深みのある作品が多い。
父祖の技を継承されて、元の色鍋島の写しを拵えたのも出ていたが、そちらはあまりよいとは思えなかった。
技術力の高さは目を瞠るが、やはり昔風の絵柄で拵えても今のものはあくまでも今出来の匂いがあり、それよりも今右衛門オリジナルの新作の方が良く思えた。

では元の色鍋島は良くないのかと言うとそうではない。
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やはり乳白色の肌の上に鏤められた朱や青の美に打ち震えるのだった。

古いもので特によいものを挙げる。
色絵御所桜皿  片輪車に桜がまといつく。
龍田川皿  紅葉・楓が丁寧に描かれている。
椿柴垣皿  これがもう一番かわいかった。柴垣に椿が次々にからまる。無言のまま求愛しているかのようだ。
染付手毬文皿  花の手毬が青で表現される。形も花柄なのがいい。
青磁色柄桃宝尽文盆  脚付盤には宝の文様がからみ、桃もまた花と実とを同時に披いている。

他にも毘沙門亀甲の皿もあれば、スギナと土筆とが優劣を決めあおうとガチバトルをはじめそうなもの、柳に燕の柄もある。
皆これらは17世紀のもので、いずれも魅力的な作品ばかりだった。
今泉さんの所蔵品と田中丸コレクションの優品なのだから、これはもう眼福というものだ。

ただただ愛でて見歩いた。
そして最後に楽しいプレゼントがあった。
テーブルコーディネートされたいくつかの場がある。
それらはテーブルアーチストの阪口恵子さんがしつらえたもので、いずれも今右衛門さんの新作を使っている。
これらは撮影可能。
楽しくぱちぱちさせてもらった。

正月
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ひなまつり
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小さく愛らしいのにとても精巧だ。


七夕
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翡翠が可愛くて。


お月見
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クリスマス
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プラチナ彩の面目躍如

2/18まで。
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